略儀ながらの意味・使い方と例文

略儀ながらの意味・使い方と例文

略儀という言葉は、儀礼・作法を簡略にしてとか、一部省略してという意味です。

従って、略儀ながらは、「略式ではございますが」という意味になります。

これは手紙文でよく使われる言葉であり、多くの場合、本来なら直接伺ってお礼・ご挨拶を述べるべきところですが、取り敢えず手紙でお礼・ご挨拶を申し上げます、という意味合いのときに使われます。

ただし、お礼や挨拶の手紙を出した後に、直接会ってお礼・挨拶をする予定がなくても、この言い方を使って構いません。あくまでも伝統的な慣用句に過ぎません。手紙文の結語として大変よく使われる便利な言葉です。

 

 

略儀ながらの例文

略儀ながら書中にてご挨拶申し上げます。
略儀ながら書中をもってご御礼申し上げます。
略儀ながら書中をもちまして御礼申し上げます。
略儀ながら御礼かたがたご挨拶申し上げます。

「略儀ながら」を使う相手は目上の人とは限らない

略儀ながら、という言葉を使うシチュエーションは主に「お詫び」や「お礼」「お祝い」です。

社会人マナーとして、特にお詫びやお礼は対面で行うべき挨拶と言われています。それをこちら側の事情や都合により、書面で伝える失礼を詫びる言葉とも言えるでしょう。

そのため「略儀ながら」という言葉を向けるのは目上の方だけとは限りません。相手の年齢や立場によらず、文面でのお礼やお詫びを伝える場合の決まり文句の一つです。

口頭で伝える場合は「簡単ではございますが」

特にお祝いの場などでよく耳にする言葉に「簡単ではございますが」があります。

この「簡単ではございますが」は「略儀ながら」の意味を口頭で表すものです。

「略儀ながら」に比べて「簡単ではございますが」には謙遜の意味も含まれます。

結婚式などのスピーチで「簡単ではございますが、お祝いの言葉に代えさせていただきます」などと使われることが多く、この言葉には「もっとお祝いを述べたい気持ちはあるが、諸々の都合もあるのでこの辺りで」という意味を持たせると同時に「こんな簡単な言葉ではお祝いになっていないかもしれないけれど」という謙遜の気持ちも乗せることができるでしょう。

日常のシーンでも「簡単ではございますが、資料を添付いたしました、ご査収くださいませ」などとして、「至らない資料かもしれませんが確認しておいてください」といういう謙遜の気持ちを伝えることもできます。

「略語ながら」の類語表現

「略儀ながら」という言葉にはいくつかの類語表現があります。状況や相手、内容によって最も適した言葉を選択すれば、こちらの伝えたい気持ちがより正確に伝わるようになります。

「不躾ですが」

略儀ながらの代わりに「不躾ながら」を使うこともできます。

不躾という言葉には「礼儀がなっていないことは承知しておりますが」という意味があり、相手に対しての失礼を詫びるニュアンスを含んでいます。

「不躾ながらまずはメールにてご連絡いたします」「不躾ではございますが、書中にてお礼申し上げます」などと使うことができます。

「非礼」

非礼という言葉には「礼に外れる」という意味があります。

「礼儀を欠く」という意味の「失礼」、「礼儀が無い」という意味の「無礼」よりも、さらに相手に対して詫びるべき態度です。

「まずは書中にてお詫びする非礼をお許しください」「非礼ながら書中にてお礼申し上げます」などと使うことができます。