報告書・レポートの例文と書き方

報告書・レポートとは

ビジネスの場では、上司やチームに向けて「報告書」や「レポート」を提出する機会が多くあります。この報告書やレポートが苦手、という人は多いのではないでしょうか。

何を書けば良いのかわからない、自分の書いたものが報告書・レポートとして正しいのかがわからない、と考えてなかなか手が進まないかもしれません。

まずは、報告書・レポートがどのような文章を指しているのかを確認しましょう。

報告書とは「事実のみを伝える文書」

まず「報告書」とは、文字の通り「報告をする文書」です。この「報告」とは、自分が見たり聞いたりした状況を結果と共に誰かに伝えることを言います。

報告書とはその場で起こった「事実や状況、結果」を、その場にいなかった人やそのことを知らない人へ伝えるための文書です。

報告書には、必ずこうでなければならないという形式はありません。しかし、その事実や状況が伝わりやすくなるための書き方は存在します(書き方については後述します)。

レポートとは「その事実についての主観的視点を含む文書」

次にレポートとは、報告書の要素に「自分の主観的な考えや解釈を含む文書」です。ある事実について自分が体験や理解をし、その結果自分なりの見解を述べるのをレポートと言います。

大学で提出するレポートなども、学んだ事実について自分なりに追求や研究を重ね、その結果を自分の考えと併せて書きます。
一般的なレポートについても、特に書き方が決められているわけではありません(学校で提出するレポートの中には決められているものもあります)。

報告書とレポートの違いは「主観を含むか含まないか」

何かと混同してしまいがちな「報告書」と「レポート」ですが、その大きな違いは「自分の考えを含めるか含めないか」という点です。

報告書は基本的には事実だけを書きますが、レポートには報告書の要素に自分の視点による考えがプラスされます。むしろ、その「自分の視点による考え」がメインとなるのがレポートであり、報告書との大きな違いです。

 

報告書の書き方のポイント

報告書はある程度決まったフォーマットで書かれます。そのため一度書き方を覚えてしまえば、その後も応用できることがほとんどです。

まずは基本的な報告書の書き方について知っておきましょう。

日付・宛名・名前を書く

まずは日付と宛名、自分の名前を書きます。

日付は用紙右上に和暦で書いてください。「2/5」などのように「/」で省略することはしません。「令和〇年〇月〇日」と正式に記載をします。

この日付は基本的には提出日です。報告書作成日を書かなくてはいけない場合は「作成日:令和〇年〇月〇日」と書いておきましょう。

宛名は、用紙の左上に書きます。相手の所属と役職・名前を順に書いてください。社外の人へ向けた報告書の場合は「会社名」も含みます。

報告書作成者である自分の所属と名前は右下に書くようにしましょう。

報告書のタイトルを書く

用紙の真ん中に報告書のタイトルを書きます。

「〇〇についての報告書」「〇〇レポート」など、特に決まった形式はありません。

しかし、タイトルは簡潔で短いものの方が読みやすく、内容の認識もしやすくなります。

報告書本文

報告書本文は「以下についてご報告申し上げます」という文言から始まるのが通常です。

冒頭の文章以外は、基本的には箇条書きにします。これは読み手が内容と報告・結果を把握しやすくするための工夫です。

報告する事項の基本情報・内容・結果という順でまとめると内容がまとまりやすくなります。

報告書を書くときの注意点

報告書は、自由に書くことができる分、書き方を誤ると内容が込み合ってしまいます。内容がわかりにくいと、改めて口頭での補足や説明が必要となるので、以下の注意点を意識して書くようにしましょう。

所感は書かない

その報告書についての自分の所感や意見があっても、報告書には書きません。報告した内容について自分の所感を伝えたい場合は、別紙に記載して添付します。

また、問題提起や指摘などについても同様です。「〇〇についての問題点」などとタイトルを付けた別紙で伝えるようにしましょう。

事実だけを書く

報告書には事実のみを書きます。「もしこうだったらこうなった」や「ここはこうすべきだった」などの、仮定や反省は含みません。

あくまでも事実と結果だけを相手に伝えることを目的として作成するようにしてください。

誤字脱字に注意する

これは報告書に限ったことではありませんが、報告書の場合は特に誤字脱字に注意をしましょう。

報告書は作成者の前で読まれることばかりではありません。作成者がいないところで報告書に基づいた議論がなされることもあります。そのときに、誤字脱字があれば報告書の内容が理解できないかもしれません。

また、誤字脱字の内容によっては報告内容が変わってしまうこともあります。報告書を書き終えたら、一度声に出して読み最終的なチェックをするようにしましょう。

【クレーム対応報告書例文】

令和3年3月3日

業務推進部
鈴木部長

お客様サービス課
佐藤花子

クレーム対応報告

以下の対応が終了いたしましたのでご報告いたします。

≪クレーム発生日≫
令和3年3月1日

≪お客様氏名≫
田中一郎様(会員番号:0000123)

≪クレーム内容≫
販売員 高橋二郎(社員番号:12345)の顧客対応と配送システムについて。
ご親戚のお祝いに、スーパー〇〇より〇〇を翌日の午前中に届けてほしい、との要望。
担当した高橋より「できません」とだけ回答されたことについて気分を害される。
その場で〇〇店斉藤店長にて特急便対応と商品券3,000円のお渡しにて解決。

≪結果≫特急発送と商品券3,000円分にて了承いただく
≪対策≫配送の特急便利用条件を緩和していただくよう配送課へ要望書を提出、該当社員へ指導係を付け再教育(期間未定)
≪事後対応≫佐藤より謝罪文を送付(発送日付3月3日)

以上

レポートの書き方のポイント

ここからは、先に解説した「報告書の書き方」をもとに、レポートの書き方について解説します。

レポートは、自分の考えを多く含むため報告書以上に書き方が決まっていません。また、学生が書く勉強や研究についてのレポートとビジネスの場で書くレポートでは、目的や分量も異なります。

以下では、ビジネスの場で書く簡単なレポートについての書き方について解説します。

報告書としての内容を含ませる

ビジネスの場で書くレポートでは、報告書の役割をする部分も含ませる必要があります。報告書の役割をする部分とは、基本的な日時や目的、背景やテーマ、その場で出た結論、などです。

学生のレポートでは、報告書の役割をする部分を全員の共通認識として省くこともありますが、ビジネスの場で書くレポートではそうでないことがほとんどです。

その場にいなかった人はもちろん、物事の背景や経緯などを知らない人が読んでも全体を理解できるような書き方を意識しましょう。

自分の考えや感想を含める

レポートと報告書のいちばんの違いは、主観的な視点を含ませるかどうかです。レポートを書くのであれば、自分は何をどう感じたのか、という点を意識して書くようにしましょう。

レポートの中での自分の考えや感想は、「所感」や「感想」「提案」などの項目をつけて書かれることが多いです。
注意すべきは、所感の分量です。ビジネスの場で求められるレポートは「簡潔でわかりやすくまとめられたもの」であることが多いため、所感部分もコンパクトにまとめた方が良いでしょう。

【研修レポート例文】

平成24年10月15日

販売促進部
販促企画課 井上課長

販売促進部 販促企画課
安田花子

研修レポート

以下の研修を修了致しましたので、ご報告申し上げます。

《研修名》 マーケティング研修・基本編
《主 催》 財団法人マーケティング研究機構
《実施日》 平成24年10月14日
《テーマ》 マーケティングのベーススキル
《目 的》 マーケティングのベーススキル向上

《内 容》
(1)マーケティング理論チャートとグラフを多用したマーケティング理論の講義。
(2)ケーススタディとグループディスカッション 他社の実例をケーススタディ。さらに、グループディスカッションで理解を深める。

《成 果》
●マーケティングの専門知識がレベルアップした。
●ケーススタディでマーケティングの実務を具体的に知ることができた。
●グループディスカッションでマーケティングの理解を深めるとともに、様々な見解があることを知った。
●マーケティングに対する関心が増大した。

≪所感≫
今回は「基本編」ということで専門用語の解説などもあり、初心者である自分にもわかりやすかった。しかしその一方で、今日一日でかなり多くのことを学んだと感じているのに、まだ基本編であるということに不安も感じる。研修に頼りきるのではなく、自分なりの勉強も重ねていかなくては知識やスキルを定着させることは難しい。今後は研修を学びと確認の場にできるよう、自分の努力も重ねていきたい。

以上