電報の書き方とマナー

電報とは即日の電信文書サービス

電報(でんぽう)とは、電気信号を使った文書サービスのことです。以前は固定の電話回線や郵便局でしか申し込むことができませんでしたが、現在はインターネットなどでも申し込むことができます。

電報は当日でも届けることが可能

電報は申し込めば最短数時間、遅くとも当日中に先方へメッセージを届けることができます。そのため急な不幸ごとや、事情によって電話が使えない人への急ぎの伝言などにも使えて便利です。

手紙や対面では間に合わない用件を電報にすれば、至急の用件を遠隔地の人にも伝えることができます。

電報の主な3つの種類

電報は「連絡がつかない人へ至急伝えたいことがある場合」もしくは「電報という形式を使ってメッセージを伝えたい場合」に使います。

どちらでもない状況でも電報を使うこと自体はできますが、現代では電話やメールという手段があるため、あえて電報を使うということはほぼありません。

祝電(しゅくでん)

祝電とは、お祝いのメッセージを送るための電報です。何かの受賞・叙勲などの祝賀パーティで祝電が披露されることもありますが、一般には結婚式の祝電が最も馴染み深いものでしょう。

基本的には結婚式やその式典に出席できない人が「メッセージだけでも」という思いで祝電を打ちますが、出席していて祝電も打つということも特にマナー違反ではありません。

その他には「○○企業一同」など団体からのお祝いにも祝電が使われます。

弔電(ちょうでん)

弔電とは葬儀の場に送るお悔やみのメッセージです。亡くなった故人への哀悼の意を弔電に込めて、式場へと送ります。弔電の場合はその場に出席できない人が送ることがほとんどです。

弔電は式に参列している人は送らず、やむを得ない用事でどうしても式に葬儀に参列できない人が送ります。お祝いごとと違い、参列とだぶって送ることはあまりありません。

祝電と同様に「○○企業一同」など、団体からのお悔やみにも弔電は使われます。

それ以外の電報

祝電でも弔電でもない、他の用件で送る電報もあります。

入学祝い、卒業祝いなど学生に送るものや、昇進祝い、退職祝いなどビジネスシーンで使われるものまで、その種類は多く、特に電報を使ってはいけない用件はありません

ただし、あまり些細な用件で電報を送ると先方が気を使ってしまうこともあるので、記念すべき出来事のときなどに送ると良いでしょう。

電報の書き方とマナー

電報は基本的なテンプレートが用意されていることが多く、特に結婚式や試験合格への祝電、葬儀に送る弔電は「電報を送る目的」を伝えれば適切なものを準備してもらうことができます。

いくつかある候補の中から選ぶこともできますし、基本的な文章の一部を変えて送ることも可能です。

しかし、特に祝電や弔電は内容によって相手に不快な思いをさせることもありますので、基本的なマナーは知っておきましょう。

祝電の忌み言葉

「忌み言葉(いみことば)」とは、嫌がられる言葉、縁起が良くない言葉のことです。

祝電での忌み言葉には以下のようなものがあります。

  • 切れる
  • 別れる
  • 離れる
  • 戻す
  • 戻る
  • 終わる
  • 破れる
  • 去る
  • 帰る
  • ではまた
  • かさねがさね
  • みなみなさま
  • くれぐれ
  • たびたび
  • 繰り返し
  • 冷める

祝電の忌み言葉は限りなくたくさんあり、ここに挙げたのはほんの一部です。

いずれにしても「別れを連想させる言葉」「実家に戻ることを連想する言葉」「夫婦仲が冷めることを連想する言葉」「何度もくりかえされる言葉」などは、いずれも忌み言葉として認識しておきましょう。

 

祝電でありがちなミスは「お二人で新しいスタートを切ってください」などです。「切って」は忌み言葉ですので「お二人で新しいスタートラインに立ってください」など、言葉を変えなければなりません。

弔電の忌み言葉

弔電の忌み言葉は以下のような言葉です。

  • 死亡
  • 浮かばれない
  • 苦しむ
  • 続く
  • たびたび
  • またまた
  • かさねがさね
  • ますます
  • 繰り返し

祝電の忌み言葉と同じように、繰り返される言葉に注意してください。

不幸ごとで重ね言葉を使うと、同じ不幸が繰り返されるという連想に繋がり嫌がられますし、何よりご遺族に失礼です。

電報の送り方

電報は自宅の固定電話や郵便局窓口などで申し込めますし、インターネットからの申込みも可能です。

まずは電報の申込先を決めて、申込みをするところから始めましょう。

電報の届け先は会場

電報を結婚式や葬儀に送る場合は「会場」へ送ります。これは結婚式や葬儀の式典の場で読んでもらうことが目的であるためです。

自宅に電報を送ってはいけないわけではありませんが、他の人たちが全員会場へ送ってくる中、1通だけ自宅に届くと不自然な印象となります。

入学のお祝いや、新築のお祝いなど特に式典を催さないお祝いの場合は、自宅の住所に宛てて送ります。

祝電の届け日は前日または当日

電報を申し込んだときに、希望する配達日を設定することができます。

電報の配達日は基本的には式典の「前日」を指定してください。

たとえば5月10日の結婚披露宴への祝電であれば、前日の5月9日に式場へ送ります。

結婚式の場合は、前もって日にちが決まっているので前日に届けるのがマナーです。しかし、仕事の都合などで前日に届けられなかった場合は、結婚式当日でも構いません。ただし、披露宴などの時間には間に合うように送りましょう。

弔電の届け日は早すぎないよう注意

弔電は不幸ごとに送るので、事前に日にちを知ることができません。故人となったことを知り、お通夜や葬儀に出席できないとわかった時点ですぐに申込みをすれば、葬儀の前日には間に合うでしょう。

注意すべきは「早すぎるタイミングで弔電を届けない」ということです。

お悔やみごとは喜ばしいことではなく、誰もが予定していないことが前提ですので、あまり早すぎるタイミングで届くと、まるで不幸ごとを待っていたかのような印象となることもあります。

早くてもお通夜の1時間前くらいに届くように送るよう、手配をしてください。

弔電の敬称

弔電は、結婚式などのお祝いごとと違って、直接知り合いではない人の葬儀などにも送ることがあります。たとえば、同僚の父親、上司の母親、などです。

弔電では独特の敬称が使われますので、知っておくと良いでしょう。以下では相手の親族に不幸があったことを想定して、それぞれの敬称をご紹介します。

  • 相手の父:御尊父様・お父様
  • 相手の母:ご母堂様・お母様
  • 相手の義理の父:ご岳父様
  • 相手の義理の母:ご岳母様
  • 相手の夫:ご主人様
  • 相手の妻:ご令室様
  • 相手の息子:ご子息様
  • 相手の娘:ご息女様

電報の例文

以下では一般的な電報の例文をご紹介します。

祝電の例文

晴れの日に際し 心よりお喜び申しあげます。 お互いを想いやれる温かな家庭を築いてください。 ますますのご多幸と健勝を祈っております。

弔電の例文

ご訃報に接し、惜別の念を禁じ得ません。弔問かなわぬ非礼をお詫びし、謹んで哀悼の意を表します。

就任電報の例文

この度のご就任、誠におめでとうございます。この輝く栄誉を心よりお祝い申しあげます。健康に留意のうえ、一層ご手腕を発揮されますことを祈念いたします。

退職電報の例文

長年、ご指導ご鞭撻頂き、ありがとうございました。心より感謝しております。今後のご健康とご活躍を祈念いたします。

昇進電報の例文

長年にわたるご努力に敬意を表し、心より祝辞を述べさせていただきます。ますますご健勝で、後進の指導にご尽力されますよう、祈念いたします。