【目上へ】承知しました の意味と使い方・例文

承知しました の意味

「承知しました」は、ただ単に知った、理解したということではありません。

相手の要求・希望・依頼などを聞き入れ、承諾する、あるいは引き受けるという意味になります。

ビジネスシーンで相手の希望や条件などをすべて聞かないうちに「承知しました」と言ってしまうと、無用な誤解を生じさせる危険があります。また、軽薄な人間と見られるかもしれませんので要注意です。

承知しました のビジネスでの使い方

口頭では「承知しました」の方が言いやすくて良いように感じられます。

しかし、ビジネス文書では、「承知致しました」という謙譲表現の方が通常です。

どちらも丁寧な言い方ですが、相手への敬意を含んだ謙譲語にした方が、先方の受ける印象が良くなるでしょう。

従って、取引先など対外的な文書やメールでは「承知致しました」と書き、「承知しました」は社内文書・社内メールに限るようにします。

承知しました の例文

 配送先変更の件、承知いたしました。次回のお届けから下記のご住所へ配送させていただきます。
今後とも変わらぬご愛顧のほど、よろしくお願い申し上げます。
 この度は弊店駐車場の照明設備の不具合につきお知らせいただき、誠にありがとうございます。また、夜間の不審者の問題につきましても承知いたしました
駐車場のご利用者と近隣にお住まいの皆様にご不便とご心配をお掛けしましたことを心よりお詫び申し上げます。早速、警備員による巡回警備の回数を増やし、照明設備を修理・増設いたしました。
 この度は、アナウンサーやナレーターの標準語アクセントの間違いについてご指摘いただき、誠にありがとうございます。また、ニュースや教養番組において間違った用語が多用されていることにつきましても承知致しました。深くお詫び申し上げますとともに、正しい言葉遣いと正確な日本語表現の普及に当たることを放送事業者の社会的責務として自覚し、今後なお一層の改善に努めますことをお約束致します。
株式会社神奈忠商事 店舗開発部
設計課長 安藤爽太郎様
観音建設の望月です。
いつもお世話になりまして誠にありがとうございます。
新店舗の設計変更の件、承知致しました
工期の関係で明日にも詳しくご相談したいのですが、
明日のご予定はいかがでしょうか。
当方はいつでもご指定の時間にお伺い致します。
郡司課長
社内通達の誤記の件、承知しました
訂正した文書をプリントアウトし、各部署に通達しておきます。
なお、訂正済みの文書ファイルは共有フォルダーでご確認ください。
以上、よろしくお願い致します。
内藤常務
諏訪工場の神林でございます。
昨日の式典では貴重なご訓示を賜り、誠にありがとうございました。
若い従業員たちも真剣に拝聴致しておりましたが、
とりわけ私どもの世代にとりましては心にしみるお話でした。
大切な式典にふさわしい訓話を頂戴し、重ねて御礼申し上げます。
なお、私事になりますが、
本社囲碁クラブとの交流対局のお話、承知致しました
こちらの面々も大いに期待しておりますのでよろしくお願い致します。
以上、簡単ではございますが御礼かたがたお知らせまで。

承知しました の目上の人(社長・上司・義父母など)への使い方

「承知しました」は「承知する」に丁寧語である「ます」の過去形を加えたものです。

対して「承知致しました」は「承知する」に「する」の謙譲語である「いたす」と丁寧語である「ます」の過去形を加えたものです。

謙譲語+丁寧語の組み合わせは敬語の中でも最上級に当たる敬語で、相手が目上の人に対して使う言葉としては適切だといえます。

「承知致しました」は二重敬語?

「承知致しました」が二重敬語だという意見がありますが、そもそもの言葉の成り立ちを考えるとそうでないことが分かります。

「承る」は謙譲語ですが「承知」は単なる単語ですから混同しないようにしましょう。二重敬語ではありませんのでそのまま使用しても問題ありません。

「承知しました」と「了解しました」の違い

「承知しました」に似た言葉で「了解しました」という言葉があります。

意味としてはほぼ同じですが、「了解しました」は目上の人に使うべきではない敬語です。

「承知しました」は「わかりました」、「かしこまりました」は「仰せの通りに」

「承知しました(いたしました)」という言葉自体も丁寧な表現ですが、「かしこまりました」という言葉を使うことで、さらに丁寧な受け入れを示すこともできます。

「かしこまりました」という言葉には、「相手の要求や依頼を理解しました」という意味以外に「その要求や依頼に従います」という意思も含まれています。

「かしこまりました」と一言伝えるだけで「あなたの要求に従います」という部分まで表現できるということです。ホテルやデパートなどで、お客様へ「かしこまりました」とは言っても「承知しました」とは言わないのはこのためです。

「承知いたしました」の「承知」は「知った」「わかった」など、そのことについて「理解しました」ということに留めています。

つまり、「承知しました」と返事をしたからと言って、相手の本意に沿うというところまでの意思表示はしていないことになります。

「私はAよりBを希望しています、ぜひBをお願いします」と希望された場合に、「かしこまりました」を使えば「わかりました、ではBにしましょう」というところまで伝えることになります。

一方で「承知いたしました」を使えば「承知いたしました、では早急に検討してお返事いたします」などと続くことが多く「あなたの気持ちはわかりました、しかしBにするかどうかは検討させてください」というニュアンスです。

「承知しました」で足りない時は「承りました(うけたまわりました)」

「承知いたしました」という言葉でも十分敬語として成立していますので、目上の人へ使っても問題はありません。

しかし、「承知しました」だけでは「そのことを引き受けるのか、そうでないのかまで答えられない」ということになります。

そこで「承りました(うけたまわりました)」という言葉を使えば「あなたが言っていることはわかりましたし、そのようにいたします」と「かしこまりました」と同じ意味を持たせることもできます。

ただし「承りました」は上記のように「引き受けた」という意味を持ちますので、まだハッキリと返事ができない時点では「承知いたしました」に留め、「すぐに確認いたします」などと続けた方が良いでしょう。

「承知」の間違った使い方

「承知いたしました」は謙譲語ですので、自分が承知をした場合にしか使いません。

反対に「相手に承知をして欲しい」という場合は「何卒ご了解いただけませんでしょうか」などと言葉自体を変えて表す必要があります。
また、相手に「こちらの要望に沿って欲しい」と伝えたい時も「お引き受けいただきたいと存じます」などに変化します。

さらに、「承知」という言葉は「理解」「知る」という意味を持っていますが、「自分が理解していない」「自分が知らない」などを表す場合には「私の理解が追いついておらず」「私が存じませんので」などを使いましょう。

 

相手に対して「○○様も知っているように」などと共通の内容について話す場合は「○○様もご承知の通り」と、「ご」を付けて尊敬語にした「ご承知」を使います。