【目上へ】この度 の意味と使い方・例文

この度 の意味と使い方・例文

「この度」は、「今度」・「今回」という意味です。今度、今回という言葉を丁寧にしたものが「この度」です。

ただし、前回・次回というように順序を意識した言葉ではありません。現在進行中である事柄を意識し、「今のこと」、「今の状況」、「ごく最近起きたこと」といった現在の事態・状況を指して用いる言葉です。

「この度」は話の始めに使うことができる

たとえば「今度、自社では新商品の開発に取りかかることが決まりました」という内容を、「この度自社では新商品の開発に取りかかることが決まりました」などと、「この度」を使って話すことがあります。

これは「今度~することになった」ということを、ビジネス感を持った言葉にしています。

このように「この度」を話の始めに使うことで、「これから話すことは最近のことです」「まさに今現在のことを話します」という、話の時制を表すことができます。

「この度」は目上の人に使うことができる

「この度」はビジネスシーンだけでなく、目上の人に向けた丁寧な言葉としても使うことができます。たとえば「この度は息子に大変高価なお祝いの品をいただき、誠にありがとうございます」などがその例です。

もちろんビジネスシーンで目上の人に対して使うこともできます。

「この度は部長にお力添えをいただいたことで、契約がスムーズに進みました」などと使えば、改まって相手へお礼を伝えることができます。

「この度」は冠婚葬祭でも使うことができる

結婚式の挨拶などで「この度は誠におめでとうございます」、葬儀などでは「この度はご愁傷様でございます」など、「この度」を使った冠婚葬祭の挨拶は多く存在しています。

冠婚葬祭というフォーマルな場面では、「今回」「今日」などよりも「この度」の方が場に合っていることから、積極的に使われているのです。

「この度」と「このたび」の違い

「この度」という言葉は、もともとは「このたび」と書きます。理由はさまざまありますが、簡単に言えば「度」という文字と、「この度」が示す「時」というニュアンスがかけ離れていることが要因です。

しかし、ビジネスシーンなどでは「この度」と漢字で書かれることの方が多くあります。これは「このたび」という平仮名の表記よりも、「この度」という漢字表記の方がビジネスシーンに合っているからです。

そのため、ビジネスシーンでも「このたび」を使っても間違いではありません。

「此の度」「此度」はほぼ使わない

「この度」の「この」の部分にも当てはめられる漢字があります。それが「此の」です。「此の度」としても「このたび」と読みますし、意味も同じです。

しかし現代では「此の度」はほぼ使われません。中には読めないという人も一定数いる可能性があります。

また、「この度」と同じ意味で「此度(こたび)」というものもありますが、こちらも「此の度」と同様に現代では使われません。

「此度」は「此の度」よりもさらに古い言葉であるため、現代の言葉使いにはほとんど出て来ないためです。

「この度」を使う場面

「この度」はフォーマルな言葉として、さまざまな場面で使われています。以下では「この度」が主に使われる場面についてご紹介します。

挨拶の場面で使う「この度」

改まった会議や式典、歓送迎会や冠婚葬祭などの挨拶で使う「この度」は、改まって挨拶をするタイミングで使われます。

「この度課長に任命されました○○です」「この度定年退職をすることとなりました」などがその使用例です。

お礼の場面で使う「この度」

相手や複数の人々に何かのお礼を言いたいときです。やはりこの場合の「この度」も、改めてお礼を伝えたいタイミングで使います。

「この度はお忙しい中お集まりいただき誠にありがとうございます」「この度は皆さんのお力添えにより、無事事業を終えることができました」などがその使用例です。

お詫びの場面で使う「この度」

相手や複数の人々にお詫びを伝えたいときにも「この度」が使われます

「この度は弊社の不手際により、大変なご迷惑をおかけいたしました」「この度のミスにより、御社に多大なる損害を与えてしまいましたこと、深くお詫び申し上げます」などがその使用例です。

「この度」の言い換えに使える類語

「この度」という言葉は、ある程度フォーマルな場面で使われます。そのため日常では、別の言葉を使った方が良いことも多いようです。以下では「この度」と似た役割をする言葉をご紹介します。

「今回」「今度」

日常的な会話や報告であれば「今回」または「今度」などが良いでしょう。「今回の契約にご同行いただきありがとうございました」「今度の打ち合わせでは○○の件を提案するつもりです」などとすれば、「この度」を使うよりもナチュラルな会話にすることができます。

他にも「今般(こんぱん)」や「本件」などの言葉もありますが、単に時制の意味での「今」「最近の」という意味を表したい場合は「今回」や「今度」あるいは「先日の」などがよいでしょう。

「○○の件」

ビジネスシーンで使われる「○○の件」という言葉も「この度」と似た役割をすることができます。「この度」よりも指している内容が具体的で、ビジネス感が強くなります。

「○○の件では本当にお世話になりました」「○○の件では大変なご迷惑をおかけいたしました」など、日常のお礼やお詫びにも使うことができます。

ただし「例の件」という言葉は少しニュアンスが異なります。「例の件」という言葉には、単に何の件であるかを省略している場合と、暗に言葉にせず意味を含ませた場合があります。

人によっては「例の件」という言葉に違和感を覚える場合がありますので、「例の件」を使ってお礼やお詫びをすることはほぼありません。

「この度」の例文

この度は大変お気の毒でした。
この度の異動で□□支店支店長を拝命しました。
この度の帰国に当たり、留守宅の処分を手配する所存です。
この度は、受賞おめでとうございます。
この度のこと、きっと不思議に思われることでしょう。(ある歴史的事件の遺書から)