転勤を断る理由の例文

転勤を断る理由の例文

転勤を断る場合は、まず上申書を作成し、人事部長に提出すべきでしょう。

ただし、辞令の交付と人事異動の発令を担当する部署が人事部でない場合は、当該部署の責任者(総務部長など)に提出します。

また、上申書に記す宛名は、辞令が社長名で交付されている場合は社長宛とし、それ以外の役員・人事部長等の名前である場合には、その人物宛とすべきです。

なお、上申書は、要望事項の内容が相手に明確に伝わるよう、箇条書きで簡潔に記すことが基本です。特に、転勤を断る理由が理解されやすいよう、理由説明は端的に表現すべきです。

転勤の上申書の書き方

上申書とはもともとは官公庁へ嘆願などをする場合に用いられる文書形式のことです。上申書は部下から上司や経営者に向けて、何らかのお願いや意見をするときにも使われます。

しかし、上申書は書いたことがないという人がほとんどです。まずは上申書の書き方について知っておきましょう。

上申書はパソコンで作成する

会社で提出する上申書は、基本的にはパソコンで作成します。手書きでも良いのですが、上申書は必要な事柄が正確に伝わることが大切です。そういう意味ではパソコン作成した上申書の方が読みやすく、誤字や脱字に気を付ければきれいに仕上げることができます。

手書きで上申書を書く場合は、字の癖などで読みにくくならないように注意しましょう。

また、上司によっては上申書はパソコン作成するもの、と認識している場合もあります。いずれに理由であっても、手書きよりパソコン作成の方が無難です。

左上に上申書を宛てる人の名前を書く

上申書は、用紙の左上に「代表取締役社長 ○○殿」など、役職と名前を書きます。このときの敬称は「殿」です。

この宛名は、基本的には辞令を出した人です。そのため社長とは限らず「人事部部長 ○○殿」とする場合もあります。

まずは辞令を確認し、誰宛に上申書を送れば良いのかを確認しましょう。

日付と自分の名前は右端に寄せる

次に、上申書を提出する日にちを書きます。日にちは和暦で書き、右端に寄せてください。このとき3/1など、/を使って日にちを書くのではなく、令和○年○月○日など略さずに書きます。

日付の下には、自分の名前と所属部署名を書きます。○○部○○課 ○○××(フルネーム)と、こちらも略すことなく正確に書いてください。

上申書のタイトルを真ん中に書く

上申書の内容が、転勤を断ることなのであれば「人事異動について」などとします。転勤を断りたいという内容は、本文に書くのでタイトルの時点ではおおまかな内容だけを書くようにしてください。

また、タイトルの横に<上申>と書くことで、この書類が上申書であることを知らせます。

本文は簡潔に書く

本文には、既に辞令が出ている転勤を断りたいという旨を書きます。ここはできるだけ簡潔に書くことがポイントです。

「お気持ちはありがたいのですが」「転勤したくないというわけではないのですが」など、言い訳を書く場面ではありませんし、余計なことを書くと何の上申書かわからなくなります。

「私○○××は、○月○日付けの辞令により、○月○日より○○へ転勤するよう命じられました。しかしながら下記の理由により○○への転勤は困難です。何卒ご再考の上、辞令を撤回していただきますようお願い申し上げます」などが例です。

この文章は定型文のようなものです。少しトゲのある文章に感じる人もいるかもしれませんが、上申書とはこういうものです。

転勤を断りたい理由を書く

次に、転勤を断る理由を書きます。理由は文章で書くのではなく箇条書きにします。1.2.3と数字を打っても良いですし「・」を使っても問題ありません。

この理由の部分も簡潔で伝わりやすいことを優先して書いてください。

「妻の両親に介護が必要で○○へ転居することができません」「子供が私立小学校に入学したばかりで転校させることが困難です」など、理由を書いた後に「従って転勤は困難です」と締めくくります。

「以上」で締める

最後は、書面の右下に以上と書き、上申書の作成は終了です。最後に一文「よろしくお願いします」などは不要ですので、書き入れないようにしましょう。

この「以上」は、この文書はこれで終わりです、ということを伝えるためのものです。そのため「以上」の後に文章を続けることはできません。

また「以上です」「以上でございます」など丁寧語や敬語にする必要もありません。

転勤の上申書で注意すること

転勤の上申書を作成するときに注意したいのは「転勤ができない理由」です。転勤できない、したくない理由を書こうとすると、相手に納得してもらうために嘘や大げさなことを書いてしまいがちかもしれません。

しかし嘘がバレると後々困ることになりますし、何より会社での立場も悪くなる可能性があります。

病気・ケガについての嘘はつかない

家族の病気やケガが原因で転勤ができない、という嘘は比較的バレやすいと言われています。企業によっては、社員の家族が病気やケガをしたときに、お見舞いを贈ることがあります。

病院名やケガの様子を聞かれると、さらに嘘を重ねなくてはならなくなりますし、毎日嘘を突き通すのは大変困難です。

家族の病気やケガが嘘なのであれば、転勤を断る理由としては使わない方が良いでしょう。

個人的な感情を加えない

発せられた転勤の辞令が、ネガティブな理由によるものだと感じることもあるかもしれません。しかし上申書はあくまでも事実をもとに、再考をお願いするものです。個人的な感情を上申書に書くことは控えましょう

たとえば、命じられた転勤が左遷であると感じていても、現実的な理由をもとに上申書で転勤を断ってください。

【転勤を断るための上申書例文】

取締役社長 伊藤博殿

令和2年4月25日

製品開発部企画一課 東郷隆

人事異動について〈上申〉

私、東郷は、去る4月21日付けの辞令によって、本年5月2日を以って鹿児島工場への転勤を命じられました。しかしながら、下記の理由により鹿児島工場勤務は困難であります。何卒ご再考の上、辞令を撤回していただけますようお願い申し上げます。

1. 要介護の母(70歳)と同居しており、夫婦で自宅介護に当たっています。
2. 都立高校1年の息子と都内私立中学2年の娘がいます。
3. 従って、家族同伴の転勤は不可能であり、単身赴任も極めて困難です。

以上