【目上へ】ご丁重 の意味と使い方・例文

ご丁重 の意味と使い方・例文

丁重(ていちょう)は、丁寧とほぼ同義の言葉です。

相手の言葉や態度・行為・行動などを形容して、礼儀正しく丁寧であることを表現し、その後には大抵感謝の言葉を述べます。

ご丁重という敬語表現が使える相手は、通常は自分と対等以上、目上の人や取引先など、こちらも丁寧な応対をしなければならない相手に限られます。

目下の人に対して使うときは、「ご」を外して単に「丁重」とした方が良いでしょう。

ご丁重の例文

ご丁重なるお手紙を頂戴し痛み入ります。
過日はご丁重なるおもてなしを頂きまして恐悦至極に存じます。
この度はご丁重なお祝いのお品を頂きまして、誠にありがとうございます。
亡父の葬儀に際しましては、御丁重なる弔電を頂き、誠に有難うございました。
先日は丁重なるご挨拶をいただき、感謝いたしております。

「この度はご丁重なるお手紙をいただき、誠にありがとうございました」

「いつもご丁重にありがとうございます」

「先方には丁重にお断りする予定です」

「この件は私の方で丁重に検討いたします」

「仕事は丁寧にしたい」

「彼の仕事はいつも丁寧で助かる」

「ご丁重」と「ご丁寧」の違い

「ご丁重」と「ご丁寧」はとても似ています。どちらも「細部まで気を配っている様子」を表しているためです。

しかしこの2つの言葉には若干違いがあります。

「ご丁重」は主には相手の言動に対して使う言葉です。

相手が言ったことやしたことについて「細かく気を配ってくださった」ということを表したいときは「ご丁重にありがとうございます」などと使います。

また「丁重」は「相手のためにすること」にも使います。たとえば「相手のために連絡をする」「相手のために手紙を書く」など、それをすることで相手が喜ぶ、助かる、またはそれを相手が待っているという場合は「丁重に〜する」という表現を使います。

この場合は「丁重」をするのが自分なので「ご」は付けずに「丁重」として使います。

一方「丁寧」は本来は自分がした言動について使う言葉です。

「丁寧に行う」「丁寧に説明する」などです。そのため実は「丁寧」に「ご」を付ける必要はありません。しかし一般的には、相手の言動についても「丁寧」という言葉が使われるため、「ご」を付けて「ご丁寧」とされているのです。

この2つの違いがわかっていれば、状況に応じて「ご丁重」と「丁重」を使い分けることができます。

「ご丁重にご挨拶いただきありがとうございます」「ご丁重なお言葉をいただき感謝いたします」など相手の言動について述べたり、「丁重にお断りする」「丁重にご説明する」など「自分がやることだけれど、相手に向けて行うこと」を表すこともできます。

「ご丁重」の類語

「慇懃(いんぎん)」

「慇懃」とは丁寧で礼儀正しい様子を表します。

意味は「ご丁重」と似ていますが「慇懃」を相手に直接使うことはほぼありません。

「あの方は慇懃な方だ」「慇懃な物腰で好感がもてる」など、その人を説明する言葉として使われます。

「恭しい(うやうやしい)」

「恭しい」も「慇懃」と同様に、その人の様子を表す言葉です。

「恭しくもてなす」「恭しい挨拶」など「へりくだって丁寧に振る舞う様子」を表します。

しかし「恭しい」は現代ではやや大げさな様子を表す場合にも使われる言葉なので、相手によっては言葉の意味とは違った様子を想像することもあります。

「大切」

とても身近な言葉である「大切」も「ご丁重」と似た意味を持っています。「大切」とは「十分に気を配って粗末にしない様子」を表します。

相手に対して、相手が自分に対して十分に気を配ってくれている状態を「大切に接する」「大切に扱ってくださる」と言うこともできます。

しかし、現代では「大切」は人や物を粗末にしない様子に使われることが多いため、「ご丁重」と同じ意味で使われることは少ないようです。

「ご丁重」の使い方

「ご丁重」は立場に関係なく使える

「ご丁重」「丁重」はビジネスの場や、比較的改まった場で使われます。

これは「丁重」という言葉自体が高い格式を感じさせるためです。

目上の方にはもちろん、同等の方や目下の方にも使うことができます。

特に式典など改まった場では、立場に関係なく平等に心のこもった挨拶が必要です。そんなときに「本日はご丁重にありがとうございます」と一言礼儀正しい挨拶をしておけば、そこでけじめがつくので、その後のやりとりは通常と変わらないものでも失礼がありません。

「ご丁重」のあとは「なる」「に」

「ご丁重」は「ご丁重なる」「ご丁重に」など後に続く言葉がある程度決まっています。

「ご丁重なるお手紙」「ご丁重なるご連絡」など、通常「に」とするところを「なる」とします。この「なる」によって、「ご丁重」の重々しさをさらに増すことができます。

スピーチや挨拶などでは「ご丁重な」とすると、急にフランクな印象を持たれることもあるので、場によって「なる」を使うように意識してみましょう。

一方で、個人間の口頭でのお礼などは「ご丁重にありがとうございます」など「に」を使ってややシンプルに伝えます。

相手と自分だけのやりとりで「ご丁重なる」とすると、表現がやや重すぎて、場に合っていないような印象を出すこともあるためです。

「ご丁重」の間違った使い方

「ご丁重」は敬語表現と謙譲表現が少し難しい言葉です。

「ご」を付けて「ご丁重」とすれば敬語表現、「丁重」なら謙譲表現というところまではわかるのですが、状況によって敬語と謙譲語のどちらを選択するのか迷いやすくなります。

相手がしてくれることは「ご丁重」、自分がすることで、それが相手が望んでいることであれば「丁重」、自分が自分のためにすること、または一般的に礼儀正しく気持ちを入れて行うことは「丁寧」です。