【失礼になる?】ご笑納 の意味と使い方・例文

「ご笑納」の意味

ご笑納は、贈り物をするときに、「粗末な品ですが笑って納めてください」という謙遜の気持ちを表現する言葉です。

ただし、この言葉は、目上・目下を問わず、平気で冗談を言えるほど親しい相手でなければ使うべきではありません。

注意
単に軽佻浮薄な印象を与えて、失礼な態度と見なされるかもしれません。ビジネスレターではほとんどの場合NGですし、近しい関係の親戚であっても目上の親戚に対しては要注意です。

「ご笑納」の例文

先生のお好きな□□□をお送りしました。もう食べ飽きていらっしゃるかもしれませんが、どうぞご笑納ください。
わが家の写真集・夏号が完成しました。ご笑納ください。
信楽の登り窯で焼いてもらった自作の茶碗です。ご笑納いただければ幸いです。
老いの手なぐさみに作った鎌倉彫です。なにとぞご笑納くださいませ。
先日の感謝の気持ちをこめてお贈りします。つまらないものですが、ご笑納いただければ幸いです。

「ご笑納」を使うときの注意点

「ご笑納」という言葉は、冗談をいえるほど近しい人にだけしか使えないということはお伝えしましたが、それだけでなく「相手に渡すもの」にも注意が必要です。

基本的には「自分が作った作品や食べ物」に限られると考えておいて良いでしょう。

「ご笑納」は「笑って納めてください」と書きます。つまり「相手が笑って済ませられるようなもの」でなければいけません。

たとえば、相手に頼まれて届ける物や、相手のためを思って作成したものには「ご笑納」は使えないのです。相手が期待をしている物、その物をくれる人からの思いが詰まっている物は、相手にとって笑って納められるものではないからです。

「自分で勝手に作って、自分が勝手にあなたにもらって欲しいと思ったもの」についてのみ「ご笑納」を使います。趣味で撮った写真や、練習中のお菓子の試作品など、あくまでも「自分が作りたくて作ったものを、相手に見て欲しい(もらって欲しい)」と思ったものに限ります。

「ご笑納」の類語

「お召し上がりください」

自分が作った食べ物ではなく、自分がそれが良いと思って相手に贈る場合は「ご笑納」よりも「お召し上がりください」が良いでしょう。

「お召し上がりください」だけでも良いですし「お口に合うかわかりませんが」「よろしければ」など別の言葉を付け足しても良いです。

ちなみに「つまらないものですが」という表現は好き嫌いがあります。贈り物の定型文として昔から使われている言葉ではありますが、最近では「つまらないものなら贈ってはいけない」という意見もあるようです。

「お口に合うかわかりませんが」であれば、相手によって自由に判断ができますし、贈る側の謙遜の気持ちも適度に伝えることができます。

「お納めください」

「これをもらってください」「これをあげます」と言いたくても、何となく言葉にビジネス感やフォーマル感がなく、気が引けるものです。そんなときは「お納めください」がおすすめです。

「よろしければ」「お気に召すかわかりませんが」などの言葉と一緒に使うとさらに細やかな感情を表すこともできます。何となく「どうぞ」とだけ言って渡すよりも相手も受け取りやすいですし、お礼も言いやすくなります。

ただし「お納めください」は実際に相手が受け取るものがある場合にしか使えません。相手に渡して、それを相手に持って帰ってもらいたいものについて使いましょう。

来客時に出すお茶などは、相手が受け取るのではなく飲んで終わるものなので「召し上がってください」などが適しています。

「お受け取りください」

「お受け取りください」とは「受け取ってください」という意味です。「お納めください」などに比べると、やや強く相手に受け取りを求めています。

そのため、相手が受け取るべきもの、またはどうしても受け取ってほしいものについて使います。

遠慮する相手に「どうぞお受け取りください」と、敢えて強めの言葉で促すことで相手に受け取りやすく感じてもらえます。「お受け取りください」は物や食べ物よりも、金品について使われることが多いでしょう。謝礼などの受け取りを躊躇する相手などに良く使われる表現です。

または「受け取ることが決まっているもの」についても使われます。必要な書類や相手に受け取ってもらわなければ手続きを進められないものなどは「お受け取りください」を使って、相手に受け取りを促します。

「心ばかりではございますが」

相手へのご挨拶の品やお礼の品を渡すときには「心ばかりですが」という表現も良く使われます。

この「心ばかり」という言葉には「ほんの気持ちです」「お礼にはほど遠いものですが」という意味があります。

食べ物であれば「よろしければ皆様でどうぞ」という言葉と一緒に使われることが多いです。

「ご笑味」

「ご笑納」と非常に似ている言葉で「ご笑味」があります。「ご笑味」は文字の通り「笑って味わってください」という意味です。

「味」という文字が使われていることから、食べ物を渡すときにしか使えません。

「最近趣味でお菓子を作っています、よろしければご笑味ください」などとすれば「おいしくはないと思いますが、あなたに食べてもらえるとうれしいです」という謙虚な姿勢を伝えることができます。

「ご笑納」と「ご査収」

「ご笑納」と間違えて使われやすい言葉に「ご査収」があります。

「ご査収」とは「良く調べて受け取ってください」という意味ですので、「ご笑納」の言い換えとしては相応しくありません。

領収書や請求書、契約書など内容を良く確認して受け取ってもらわなければならないものには「ご査収」を使うようにしましょう。

「ご笑納」への返事の仕方

相手から「ご笑納ください」という言葉と共に、物をいただいた場合は何と返事をすれば良いのでしょうか。

「ご笑納」は謙遜の気持ちを表す言葉なので、言葉を真に受けるわけにはいきません。

「お心遣い、ありがとうございます」「喜んで頂きます」「大切にいただきます」など、相手の努力や気持ちを受け止める返事が良いでしょう。

また、後日お礼状を書く場合には「大変貴重なものをいただき」「滅多にいただけないものをいただき」など、それをもらってとても嬉しかったという気持ちが伝わるような言葉と共にお礼を伝えると喜ばれます。