「御社」学校・病院・銀行の場合は?

「御社」学校・病院・銀行の場合は?

一般企業では、相手の会社のことを「御社」と呼びます。これは「御会社」と、相手の会社に「御」という尊敬語をつけて敬うためです。

しかし、一般企業以外の学校や病院・銀行には「御社」は使いません。学校・病院・銀行にはそれぞれ独特の呼び方があります。

学校は「御校(おんこう)」

まず小学校や中学校、高校・大学、専門学校など、さまざまな「学校」のことは「御校」と言います。これは「御社」と言葉の成り立ちが同じで、「御学校」として「御校」となるのです。

「御校」は話し言葉ですので、履歴書や手紙などでの書き言葉では「貴校」となります。

ただし、相手の学校が「○○学園」の場合は「御学園(話し言葉)」「貴学園(書き言葉」も使うことができます。さらには「○○学院」の場合、「御学院(話し言葉)」「貴学院(書き言葉)」です。

しかしその団体が学校としての機能を持っている場合は、学校名にかかわらず「御校・貴校」とするのが一般的と言われています。

病院は「御院(おんいん)」

次に病院は「御院」です。これも御社と言葉の成り立ちは同じと考えられます。

しかし「御社」「御校」などに比べると、「御院」は語呂が悪くあまり広く浸透していません。面接などであっても口頭で相手の病院のことを話す場合には「こちらの病院」などの言葉が優先されているようです。

また、病院ではなく相手側が医院の場合も「御院」は使うことができます。さらには、「御院」は話し言葉ですので、書き言葉では「貴院」となることも知っておきましょう。

銀行は「御行(おんこう)」

最後に銀行は「御行」です。やはり御社などと同じように「御」という尊敬を表す文字が使われます。

話し言葉では「御行」、書き言葉では「貴行」となり、面接から商談まであらゆる場面でこれらの言葉は使われています。

ただし御行は読みが同じである「御校」と聞き間違えることもあります。そのため話し言葉の場合は「○○銀行様」とすることもあるようです。

書き言葉である「貴行」についても「貴校」と書き間違いをしないように注意しましょう。

その他の御社と似た呼び方

御社、御校・御院・御行など以外にも、相手の団体を尊敬語で呼ぶ言葉はいくつもあります。

信用金庫は「御庫」「貴庫」

相手側が銀行ではなく信用金庫の場合には「御庫(おんこ)」「貴庫(きこ)」を使います。

話し言葉が「御庫」で、書き言葉が「貴庫」です。

しかし御庫・貴庫は一般的に多く使われる言葉でないことから、認識していない人も多くいます。そのため通常の会話では「○○信用金庫様」などが使われることがほとんどです。

役所は「御庁」「貴庁」

相手側が市役所や区役所、または県庁などの場合は「御庁(おんちょう)」「貴庁(きちょう)」を使います。

話し言葉が「御庁」で、書き言葉が「貴庁」です。

ただしこれは、主に役所同士でのやり取りに限られた呼び名であり、一般市民が役所のことを指す場合は「○○区役所」「○○県庁」とするのが通常でしょう。

役所の面接を受ける場合や、役所に送る履歴書を書く場合には「御庁・貴庁」を使ってください。

御・貴をつけた呼び方には「様」はつけない

御社や貴社を始めとする呼び名は、それだけで尊敬語として完成しています。

そのため「様」をつけると二重敬語となり正しくありません

「様」をつけるのは「御」または「貴」をつけていない会社名や個人名のみです。

「御社様」「貴社様」などはいずれも誤りですので、間違いのないようにしましょう。

御社・御校・御院・御行と間違いやすい「御中」

「御」という言葉がついた呼称は多くありますが、「御中(おんちゅう)」はまったく別のものです。

御中とは「○○株式会社御中」「○○株式会社 ○○部 ○○課御中」など、企業そのもの、または企業の中の限られた部署や課に宛てた「宛名」です。

通常の手紙を「○○様」と出すのと同じで、届けたい団体や部署への宛名として「○○部御中」などとします。

「御」という文字が使われていることから、御社などと同じように使えると勘違いをしている人も多いようですので、間違えないように注意しましょう。

ちなみに「御中」は宛名に個人名が入る場合は使いません。「○○部 田中様御中」ではなく「○○部 田中様」が正しい使い方です。

御社・御校・御院・御行を使った例文

御社の新製品を早速使わせていただきました。
私が先日御社に伺った際にご請求書をお持ちいたしました。

私の愚息がぜひ御校で学びたいと申しております。
御校の生徒さんは皆さんお行儀が良く地域住民からの評判も良いと聞いています。

御院では看護師の募集をなさるご予定はございますか。
私の祖父は生前御院で大変お世話になっておりました。

御行は地域に密着した経営で住民の皆様からの要望も多いでしょう。
新規口座開設数が3年連続トップの御行であれば問題ないはずです。