【目上へ】定年退職の挨拶状の例文と書き方

定年退職の挨拶状の例文と書き方

定年退職の挨拶状をメールで送れる時代になりましたが、目上の人や大切な人には郵送の書簡で送った方がふさわしいものとなるでしょう。

ただし、はがきで送るときは、文字量が多くならないように気を付けましょう。余白なしでびっしりと書き込んだはがきは、とても読みづらいものです。通信手段が限られていた昔の人は慣れていて平気だったでしょうが、現代人にはとても窮屈に感じられます。はがきで書く場合は、文字量の少ない簡潔な文面を心掛けましょう。

以下の挨拶状の例文は、封書で送ることを前提とした内容です。

注意
仕事上の付き合いとは言え、旧知の人や親しい人に送る書簡文では、ビジネスレターの一般的なルールなどにこだわる必要はありませんが、ただ、情緒的になって、先方が読んで不快に感じたり返答に困ったりするようなことは書かないように気を付けましょう。

定年退職の挨拶状の書き方

定年退職の挨拶状は、適度な長さの文章で簡潔に報告とお礼を書くようにします。何も意識せずに書き始めると、ついダラダラと長く書いてしまいがちですので、先に文章の構成を決めておきましょう。

頭語と結語を使う

定年退職の挨拶状には頭語と結語を使います。定年退職の挨拶状に使う頭語と結語の組み合わせは「拝啓・敬具」もしくは「謹白・敬白(または敬具)」です。あまりかしこまりすぎずに書くのであれば拝啓・敬具の組み合わせを使いましょう。

頭語・結語とは、手紙やハガキに使う挨拶の言葉です。文章上でうやうやしく頭を下げる様子を文字にしています。

頭語は手紙やハガキの最初の右上(横書きなら左上)に書き、結語は手紙やハガキの左下(横書きなら右下)に書いてください。

時候の挨拶

頭語の次の行には「時候の挨拶」を書きます。時候の挨拶は季節によってさまざまありますが、定年退職の挨拶状の場合は「時下益々ご健勝のこととお喜び申し上げます」などが一般的です。

この挨拶は決まり文句ですが、意味は「今このときもあなたは健康で元気にされていることでしょう」というもので、個人的な手紙では頻繁に使われる定型文です。

他にも「○○の侯、日に日に寒さが厳しくなって参りました」「空が高く澄み渡るこの頃、○○様におかれましてはますますご健勝のこととお喜び申し上げます」など、季節の様子を含んだ挨拶文もおすすめです。

定年退職の報告

次は自分が定年退職をすることを報告します。これはすでに先方がこちらの退職を知っている場合でも書く内容です。改めての報告と考えると良いでしょう。先方がこちらの定年退職を知らない場合ももちろん書きます。

このときに注意したいのは、あまり具体的な退職日時を書かないことです。○月○日に退職する、など日にちを明らかにしてしまうと、先方によっては「お祝いを贈らなければ」など、気を使うことがありますし、人によっては「お祝いを催促されている」と感じることもあります。

「初霜が降りるころ定年退職いたします」など、季節だけがわかる言葉と一緒に定年退職を報告するとスマートです。

思い出のエピソード

次に、先方と自分の思い出のエピソードを書きます。

「○○さんと初めて一緒に仕事をしたのは○○の企画でした。お互いにまだ若くぶつかることもありましたが、今になって考えてみれば仕事の楽しさを知ったのもあの時だったと思います」など、当時の心境と現在の心境を並列させる文章も良いかもしれません。

この思い出のエピソードは、相手も覚えている内容であれば尚良いですが、そうでなくても構いません。「あのとき実は○○でした」などの打ち明け話も喜ばれるでしょう。

ただし、定年退職の挨拶状に書く思い出のエピソードは、内容にかかわらずポジティブな感情を持っているものにしてください。ネガティブな感情を定年退職の挨拶状に書くことはマナー違反です。

今後について

自分が今後どのように人生を歩んで行くのか、ということについても書きます。

「定年後は2年前に趣味で始めた俳句を楽しむつもりです。俳句のための四国旅行も計画しました」など、読んだ相手がほっとするようなものにしましょう。

これまで仕事に一生懸命だった人の定年ほど、周囲は今後のことについて心配をしています。その心情を察して、聞いた相手が「良かった」と安心してくれるような予定を書くと良いかもしれません。

これまでのお礼

定年をするにあたって、これまで相手にお世話になったことのお礼を伝えます。この場合のお礼は、できるだけ具体的な方が良いでしょう。

「○○さんにはいつもそばで支えていただきました、本当にありがとうございました」など、口語に近いお礼でも良いですし、「○○さんには常に変わらぬご支援を賜り、誠にありがとうございました」など、少しかしこまったお礼にしても良いでしょう。

相手に贈る言葉

最後は相手へのエールとなる文章で締めます。これは相手がまだ働いている人であるか、そうでないかによって内容は大きく変わるでしょう。

まだ働いている人であれば「これからも○○社を引っ張る頼もしい存在でいてください」など、相手が今も活躍していてその活躍が今後も続いて欲しいという内容にします。

このときに注意したいのは「これからは○○さんが頼りです」などとしてしまうことです。これからは、と言うと今が違うように受け取られてしまいます。日本語はこの辺がとても繊細なので、てにをはの使い方にも注意しておきましょう。

 

定年退職の挨拶状例文

拝啓

時下益々ご健勝のこととお喜び申し上げます。平素より格別のお引き立てに与り、厚く御礼申し上げます。
さて、すでにご存じの通り、日比谷公園に桜吹雪が散り舞うころには、私の定年退職の日がやって参ります。新入社員のころ、後藤さんに連れられて公園のレストランでお昼をご馳走になったことがありましたが、関西の大学を出た私は、広大な公園の花霞を見て東京は凄いと感服したことを、懐かしく思い出します。以来、三十有余年、後藤さんにはつねに変わらぬご厚誼を賜り、誠にありがとうございました。年下の私が先にノーサイドはいささか心苦しいのですが、退職後は□□グループの活動に専念し、業界をリードする立場にある後藤さんのご活躍をスタジアムの片隅から応援させていただきます。

最後になりましたが、後藤さんとご家族皆様のご多幸とご健康をお祈り申し上げます。

敬具