添え状の書き方!必要な10項目と例文

添え状の役割とは

「添え状(そえじょう)」とは、新卒の内定承諾書による必要書類の送付や、新卒・転職の履歴書の送付、そのほかビジネス上の書類を送る際に作成する「短い文章」です。

一般的に「書類を送付する際には添え状が必要」といわれていますが、それには主に3つの理由があります。

同封する書類の内容と部数を示す役割

一つ目は、どのような書類を何部送付しているかを示す役割です。

たとえば、自分は「Aという書類を1部と、Bという書類を2部」送ったつもりでも、実は封筒に入れるときにミスがあり、Bの書類を1部しか入れてなかったとします。

この場合、添え状に「Aを1部、Bを2部送ります」という旨が書かれていれば、先方は「Bの書類が1部足りない」とすぐに確認ができます。必要に応じて、送付元へその旨についての問い合わせができ、早期に解決できるでしょう。

しかし送付状がなければ、先方は「AとBが1部ずつ」としか認識ができず、のちに時間が経ってからしかもう1通のBの書類がないことに気が付けません。

つまり、添え状を付けることでお互いがいち早くミスに気が付くことができ、無駄な時間と労力を削減できます。

先方への簡易的なあいさつ文の役割

二つ目は、先方へ簡単な挨拶を伝える役割です。

どんな相手であっても、必要書類だけしか入っていなければ、何となく味気ないと感じやすいのが日本の風習です。先方がこれからお付き合いの始まる相手や、これまで懇意にして来た相手であればなおさらでしょう。

添え状があれば、たとえ書類だけのやり取りであっても、気遣いの挨拶を添えることでコミュニケーションをとることができます。

内容物だけでは伝わらない情報を補足する役割

三つ目は、同封した書類には書ききれなかった必要な情報を補足する役割です。

同封した書類に書くほどのことではないけれども、できれば先方に伝えておいた方が良いと思われる情報などを、添え状に書いて伝えることができます

たとえば「ご要望をいただいた、商品Aの説明書をお送りいたしますのでご査収ください。尚、来週には商品Aの新型「商品AA」のパンフレットがご用意できるかと存じます。また追ってお送りさせていただきますので、その際はぜひご覧ください。」などが主な例です。

ニュアンスとしては「今でなくても良いけれど、この機会に伝えておいても良いなと思うこと」です。

添え状の書き方

本来添え状は、非常に簡潔なものです。しかし就活や、失敗ができないビジネス上での添え状となると慎重にならざるを得ません。

以下では、ビジネスシーンで使う添え状の書き方について解説します。

便箋ではなくA4サイズに横書き

まず、添え状は「A4サイズの用紙(基本的には白紙)」を使います。手書きではなく、パソコンで横書きにするのが基本です。

便箋や一筆箋を使うのは、贈答品などに添える文章で「添え状」とは別のものですので、混同しないように注意っしましょう。

  • 用紙はA4サイズ(または同封書類と同じサイズ)
  • 手書きではなくパソコンで作成する
  • ビジネス文章であるため、縦書きではなく横書き

必要な10項目を記す

次に、添え状に必要な10の内容です。添え状の書き方は、正式に決められているわけではありませんが、一般的な書き方が広く認識されています。そのため、基本に忠実に書いた方が無難です。

① 日付

まず、日付を用紙の右上に書きます。この日付は書類を投函する日です。添え状を書いた日ではないことに注意しましょう。

日付の書き方は、西暦・和暦のどちらでも構いません。ただし、同封する書類の形式と合わせる必要はあります。同封の書類に西暦が用いられていれば、日付も西暦です。

  • 日付は用紙右上に書く
  • 実際に投函する日を書く
  • 同封書類と同じ形式で西暦・和暦を選択する

② 宛名

用紙の左上には、先方の社名・担当者名を書きます。用紙の左上は「上座」にあたるため、この場所に先方の社名や担当者名を書くことで敬意を表しています

社名は略さず書き、担当者名もわかる限りフルネームで正確な漢字を使いましょう。担当者名がわからない場合は「〇〇部 ご担当者様」などとするのが一般的です。

また、社名や名前は左寄せで書きます。左側を1文字分空ける、などへりくだった書き方はしません。

  • 左上に「社名・担当者名」を書く
  • 担当者名が不明の場合は「ご担当者様」を使う
  • 社名・名前は略さず正確に書く
  • 社名・名前は左寄せで書く

③ 自分の住所・名前・電話番号など

宛名の下には、右寄せで自分の情報を書きます。就活や転職のため、個人で企業へ送る場合は個人の情報を書きましょう。

自分が企業に属していて、取引先などへ宛てる場合は会社の情報と自分の名前を書きます。

  • 自分の住所や名前は右寄せで書く
  • 就活や転職で志望する企業への添え状には「個人の住所・郵便番号・名前・電話番号・必要に応じてメールアドレスなど」を書く
  • 取引先などへの添え状には「自社の社名・郵便番号・住所・部署・名前・電話番号・必要に応じてメールアドレスなど」を書く

④ 表題

送付する書類を「なんのために送るのか」という、用件を表題にします。表題は、自分の状の下に中央揃え(センタリング)で書きます。

たとえば、就活の履歴書を送付するのであれば「応募書類送付の件」などです。先方が表題を見ただけで、用件やおおよその同封物を予測できるような、短い文言を作成しましょう。

尚、表題はあくまでもタイトルであるため「〇〇の件です」など文章にする必要はありません。

  • 表題は中央揃えをする
  • 短く、簡潔に書く
  • 先方が用件や同封物を予測できるように書く

⑤ 時効の挨拶・結語

表題の下から、添え状の本文を書き始めます。添え状はビジネス文のひとつなので、最初に時効の挨拶と頭語が必要です。

時効の挨拶はたくさんありますが、ビジネス文であれば「貴社におかれましては、ますますご清栄のこととお喜び申し上げます」が無難です。

頭語もさまざまありますが、基本的には「拝啓」で問題ありません。

  • 本文は、頭語と時候の挨拶で始める
  • 頭語は「拝啓」を使うのが一般的
  • 時候の挨拶は「貴社におかれましては、ますますご清栄のこととお喜び申し上げます」がよく使われている

⑥ 用件

時効の挨拶と頭語の後から、同封物について書き始めます。

たとえば、以下のような文章です。

【履歴書の送付時】
このたび「転職サイト〇〇」にて貴社求人を拝見いたしました。ぜひ応募をさせていただきたく、履歴書をお送りいたします。

【申込書の送付時】
先日貴社〇〇様よりお電話でご紹介いただきました、貴社商品「A」の説明会参加申込書をお送りいたします。

用件は、できるだけ簡潔に書くのがポイントです。一文、長くても二文ほどにまとめると良いでしょう。

  • 用件は端的にまとめるよう意識する
  • 同封物のタイトル等は、後述することになるため詳しく書かなくても良い

⑦ 補足したい事項

次に、特に補足した内容があれば記載することができます。補足事項がなければ、何も書かずに結び文へと移って問題ありません

補足事項がある場合も、やはり簡潔に書くことがポイントです。長い文章でなければ伝わらない内容であれば、別途手紙を用意するか、電話などで改めて説明するようにしましょう。

特に履歴書や職務経歴書を送る際には、心情的にいろいろと書きたくなるかもしれません。しかし、添え状に本格的な自己PRやお願い文を書くのはビジネスマナー違反です。

どうしても伝えておきたいことは、ある程度まとめて別紙に記載するか、志望動機などの欄を充実させるに留めた方が賢明でしょう。

  • 補足事項がなければ書かなくて良い
  • 書きたい内容はできるだけ簡潔にまとめる
  • 簡潔にまとめられない内容は、別の方法で伝えることを検討する

⑧ 結び文

文章の最後は、結び文で締めます。結び文とは、書面の最後に記載するまとめの文章です。

添え状の結び文であれば、以下のようなものが一般的です。

・何卒ご査収のほどお願い申し上げます

・同封の〇〇をご高覧いただき、ぜひご検討くださいますようお願い申し上げます

・〇〇をご確認いただき、選考の機会をいただけますと幸いです、何卒よろしくお願い申し上げます

結び文は、基本的には相手へのお願いの言葉で終えます。口頭の会話と違い「よろしくお願いします」だけでは足りないと感じる人が多いため、具体的に何をお願いしたいのかという点を文字にするよう心がけると良いでしょう。

⑨ 結語

本文の最後は「結語」で終わります。結語とは、最初に書いた「頭語」とセットになった締めの文言です。

頭語と結語にはたくさんの種類・組み合わせがありますが、添え状であれば「拝啓・敬具」で問題ありません。

  • 頭語と結語はセットになったものを使う
  • 一般的な送付物であれば「拝啓・敬具」のセットで良い

⑩ 同封した書類の件名と部数

最後に、同封する書類のタイトルと部数を記載します。この場合の「書類のタイトル」は、オリジナルのタイトルではなく、その書類の正式名称であることが一般的です。

また、同封物を記載する際には「記」で始まって、「以上」で終えるのが文書のマナーです。

・履歴書 1部

・職務経歴書 1部

以上

「記」は左右の中央揃え、「以上」は右寄せで書きます。書類のタイトルと部数は、「・」を使うなどして先方が見やすいように工夫すると良いでしょう。

封筒に入れるときは添え状を一番上にする

添え状ができたら、同封する書類と一緒に封筒に入れます。このとき、添え状は書類の一番上に来るようにしましょう。

先方が封筒を開けて、中身を取り出したとき、一番最初に添え状が見えるように入れるのがマナーです。

2021年2月1日

株式会社〇〇商事
人事部 ご担当者様

〒000-0000
東京都〇〇区〇〇0-0-00
佐藤例太
電話番号:00-0000-0000
メールアドレス:000@000

求人応募書類の送付について

拝啓 貴社におかれましてはますますご清栄のこととお喜び申し上げます。

このたび「求人情報誌〇〇」に掲載された、貴社の社員募集を拝見いたしました。ぜひ応募をさせていただきたく、履歴書を送付いたします。

ご査収の上、ご検討いただけますと幸いです。何卒よろしくお願い申し上げます。

敬具

・履歴書 1部

以上

添え状の注意点

以下では、添え状を書く時の注意点について解説します。

長く書きすぎない

先にもお伝えしましたが、添え状は簡潔・端的に書くことを意識しましょう。

長々と書かず、相手がパッと見ただけでおおよそ把握できる程度にとどめるよう意識すると良いかもしれません。

誤字脱字をしない

これは送付状に限ったことではありませんが、添え状も先方に送る書類の一つです。誤字や脱字がないように注意しなければなりません。

特に、たくさんの履歴書を送る就活生の中には、送付状のテンプレートを使い、日付や先方の会社名・名前だけを書きなおして使っているという人も多いでしょう。うっかり他社の名前や担当者名で送付状を作成しないよう、きちんと確認をするようにしてください。

文章内では略語表記を使わない

添え状の中に書く名称はすべて正式名称です。「(株)」ではなく「株式会社」、「20年10月10日」ではなく「2020年10月10日」のように、略した部分がないようにしましょう。

また、部数の部分も「1部」「1通」など丁寧に書きます。「履歴書1・職務経歴書1」など省略されていると、雑な印象を受けるという人もいるため注意が必要です。

相手から返事が必要な質問などは書かない

添え状はあくまでも、先方が内容物の確認をしやすいように添えるものです。そのため、基本的に添え状に書いた内容に、先方が返答をしてくることは想定されていません。

そのため、添え状に先方から返答が必要な「質問」や「要望」は書かないのがマナーです。質問や要望がある場合は、別紙の手紙や電話など別の方法で伝えるようにしましょう