履歴書の書き方の注意点は?職歴や志望動機もの書き方も解説

履歴書とは

履歴書とは、自分のこれまでの経歴を記す書類です。主には、就職や転職・アルバイトに応募する際、先方企業へ提出します。

職務経歴書との違い

履歴書と似た書類に「職務経歴書」があります。職務経歴書は転職時に提出を求められることが多く、その場合は履歴書と一緒に提出することになります。

この職務経歴書と履歴書の違いは「記載する経歴」です。

  • 履歴書:その人の基本的な情報、学歴やこれまでの職歴・保有資格などを記載する
  • 職務経歴書:その人が過去に就いた仕事の詳細(業務内容・担当業務・会社情報・功績や実績、など)を記載する

転職の場合は、その人が過去にどんな仕事をしてどんな働きをしていたのか、ということを具体的に知ることができます。そのため、転職時に履歴書と併せて提出を求められることが多いようです。

履歴書の作成方法

履歴書の作成方法は以下の2つです。

手書きまたはパソコン作成

履歴書は「手書き」もしくは「パソコンでの作成」を行います。手書きの場合は、市販の履歴書を使用します。

パソコン作成の場合は、Web上の履歴書フォーマットをダウンロードして使用することもできますし、自分で一から履歴書フォーマットを作成して使用することもできます。

市販の履歴書や、Web上の既存フォーマットに自分がアピールしたい項目がない場合は、一から作成する方法を検討して良いかもしれません。

手書きとパソコン作成で迷ったら

履歴書は手書きでもパソコン作成でも、履歴書の内容に違いがなければ「書類」として問題はありません。しかし、「手書きとパソコン作成のどちらが先方の印象が良いのか」などと迷うことがあります。

先方の企業から手書き、またはパソコン作成を指定されている場合は従うのが前提です。

特に履歴書の作成方法に指定がない場合は、自分がアピールしたいポイントによって作成方法を選ぶという考え方もあります。「パソコンスキルを重視する企業であればパソコン作成の履歴書を使用する」などがその例です。

反対に「自分の人柄や丁寧な性格などをアピールしたい場合は手書き」という考え方もあるでしょう。

先方に、自分の履歴書をどういう印象で受け取ってほしいか、と考えると良いかもしれません。

履歴書の書き方

以下では、履歴書の各項目について書き方を解説します。

① 日付

履歴書には日付の記入が必要です。通常は、名前欄の上に日付を記載します。

  • 西暦/和暦はどちらでも可。ただし、履歴書内の日付はすべて西暦か和暦で統一する。
  • 履歴書を持参する場合は持参する日、郵送する場合は投函日を記入する

西暦でも和暦でも特に問題はありません。ただし、履歴書内の日付はすべてどちらかで統一しなくてはならないので、西暦にすると学歴・職歴の欄で枠内に収めにくくなることがあります。

② 名前・ふりがな

名前の欄には自分の名前を書きます。ふりがなも忘れずに記入するようにしましょう。

  • 名前は戸籍上の名前を略字を使わずに書く
  • 名字と名前の間は半文字分ほどのスペースを空けると見やすい
  • ふりがなは「ふりがな」と平仮名で書かれていれば、平仮名で書く。「フリガナ」とカタカナで書かれている場合はカタカナで書くのが通常。

名前は先方が最初に見る箇所です。手書きの場合は、対面の第一印象と同様に考え丁寧に書くようにしましょう。

③ 写真

履歴書に貼る写真には、決まった形式で身なりを整えたものを使います。

  • 写真の大きさは「履歴書サイズ(3㎝×4㎝)」
  • カラー写真
  • バストアップ(胸から上)が真正面から写っている
  • 3カ月以内に撮影したもの
  • 身なりを整えているもの
  • 写真の裏には名前(学生の場合は学校名も記載)を書いてから貼る(万が一剥がれ落ちた場合に備える)

履歴書に貼る写真に、集合写真の切り抜きなどは使えません。応募者が一人で正面から身なりを整えた状態で写っている必要があります。そのため、履歴書用の写真を用意することになるでしょう。

男性の場合はネクタイ着用にジャケット、女性は白シャツにジャケット、が基本のスタイルです。

④ 生年月日・年齢

生年月日と年齢の欄には、自分の生年月日と現在の年齢を書きます。

  • 生年月日は履歴書の日付に合わせた西暦または和暦で記入する
  • 年齢欄の「満」は「現在の年齢」という解釈で良い

履歴書の年齢欄に「満」と書かれていることで、書き方に迷うことがあります。「満〇歳」は、一般的な現在の年齢と考えて問題ありません

たとえば、2000年5月10日生まれの人が、2020年2月1日に書く履歴書の年齢は「満19歳」です。

ちなみに、満年齢と反する「かぞえ年齢」とは、生まれた年を1歳と数えるため、現在の年齢に1歳足した年齢になります。

⑤ 住所・電話番号・メールアドレス

住所・電話番号の欄には現在居住している住所と、連絡がつく電話番号を記載します。

  • 住所は略さずに都道府県から正式に記載する
  • 郵便番号が不明の場合は調べて記入する
  • マンション名など、建物名も略さず記入する
  • 住所欄にもふりがな欄があるため、忘れずに記入する
  • メールアドレスはいつでも場所を問わず受信を確認できるアドレス(携帯アドレスやフリーアドレスなど)を記載する

住所・電話番号・メールアドレスは、先方が応募者と連絡を取りたいときに使用する箇所です。そのため、郵便や電話・メールを必ず受け取れるよう意識して書きます

特に、郵便が「〇〇方」など家主の名前を付けなければ届かない場合などは、住所欄に「〇〇方」とつけるのを忘れないように注意しましょう。

⑥ 現住所以外に連絡を希望する場合の住所

住所欄の下に「連絡先」という欄があります。この欄も住所と同様に、郵便番号や住所・電話番号を記載することができます。

この欄に記入するのは「現住所以外に連絡を希望する場所がある場合」のみです。

  • 学生の一人暮らしなど、現住所以外(たとえば実家など)の連絡先を先方に伝えておきたい場合に使用する
  • 特に連絡先の記載が必要ない場合は「同上」とだけ記載する

ただし「連絡先」の欄は保証人や身元引受人を記載する、というわけではないため、通常は現住所だけの記載で問題ありません。

⑦ 印鑑

履歴書の多くには、印鑑を押す箇所が設けられています。これは「この履歴書は自分が書いたもので間違いありません」という意思表示のためのものです。

  • 印鑑はシャチハタ以外を使う
  • 実印である必要はない
  • インクがかすれないように注意して押す

最近では押印の箇所がない履歴書も増えているようです。使用する履歴書の形式に従いましょう。

⑧ 学歴

「学歴・職歴」の欄は、学歴から書き始めます。

  • 1行目の中央に「学歴」と書く(「」は不要)
  • 「学歴」の次の行から学歴を書き始める
  • 学歴は高校入学からで良い
  • 学歴に必要なものは「入学」「卒業」のみ、必要に応じて「転校」「編入」なども記載
  • 在学中の場合は「〇〇大学 〇〇学部 在学中」と記載する
  • 卒業が決まっている場合は「〇〇大学 〇〇学部 卒業予定」と記載する

学歴は、学部や科など自分が所属した場所をできるだけ具体的に記入します。すべてにおいて略すことのないようにしましょう。

⑨ 職歴

学歴を書き終えたら、1行空けます。そして次の行から学歴を書き始めます。

  • 職歴の1行目の中央に「職歴」(「」は不要)と記載する
  • 転職の場合はこれまで勤めた会社をすべて記載する
  • 学生の場合はこれまで勤めたアルバイト先などを記載する
  • アルバイトも含めてまったく働いたことがない場合は「なし」(「」は不要)と記載
  • 入社年月を書いて「〇〇株式会社 入社」と記載
  • 退職年月を書いて「一身上の都合により退職」と記載
  • 職務経歴書の提出を求められていない場合は、簡単な業務内容などを追記しても良い(ただし簡潔に、目安は1行~2行程度)
  • 職歴を書き終えたら、最後の行の右端に「以上」(「」は不要)と書く

退職の理由は、会社都合での解雇でなければ、すべて「一身上の都合」と書くのが通常です。退職理由については、面接時に口頭で質問されることが多いため、履歴書上で詳細に書く必要はありません。

⑩ 免許・資格

履歴書の右半分に入ります。免許・資格の欄には、所有している免許や資格名を記載します。

基本的には業務に関係がありそうな免許や資格を記載しますが、自動車の運転免許については仕事に無関係でも書くことが多いです。

  • 運転免許も記載して良い
  • 「〇〇試験 合格」「〇〇点 取得」など、その免許や資格に合った言葉で記載する

総合商社など、どんな免許や資格が業務に役立つか予測ができない場合は、所有している免許・資格をすべて書いても問題はありません。

⑪ 志望動機

履歴書を書くときに、もっとも時間を要するのが志望動機欄です。あらかじめ何を書くのか決めてから取り掛かるとスムーズに書きやすくなります。

  • 鉛筆などで下書きをしてから清書する
  • 先方が望んでいる人材像に合った志望動機を記入する
  • 自分のどのようなところが役立つと考えているのかを考え書く
  • 先方企業への入社を強く望んでいる姿勢を表す
  • 自分が志望企業で何をしたいのかを明確にする

履歴書で志望動機を書いていても、面接ではあらためて志望動機を聞かれることがほとんどです。その時に、履歴書に書いた志望動機と、口頭で答えた志望動機にズレがあってはいけません。偽りではなく、自分の本当の考えを記載した方が良いでしょう。

また、志望動機欄は書き損じをしやすい箇所です。書き間違いをしたら、新しい履歴書に一から書き直すことになるため、清書は注意深く行います。

⑫ 趣味・特技

趣味・特技の欄は、文字通り受取って問題ありません。自分が好き、楽しいと思うことや、得意だと感じていることを書きます。

  • 趣味や特技の名称と、その理由を簡単に書く
    (例:趣味は読書です。作者や登場人物になりきって物語を読み進めるのが私の楽しみです。)
  • あまり深く考えず、比較的フランクな気持ちで記載できる
  • ギャンブルや投資など、お金にかかわる趣味や特技を書くことは控える
  • 政治や宗教など、センシティブな趣味は書くことを控える
  • お酒やたばこなど、人によって偏見がある内容は避けた方が無難
  • 趣味や特技がない場合は、これから趣味や特技にしていきたいと思っていることを書いても良い

趣味や特技の欄は、面接時のアイスブレイクに使われることが多いようです。そのため、話しの取っ掛かり程度に考えておいて良いでしょう。

ただし、まったくの嘘を書くと雑談時に話が続かなくなってしまいます。できるだけ、自分が興味を持っていることを書くのがおすすめです。

⑬ 本人希望欄

本人希望欄とは、他項目で伝えられない「自分の希望や要望」を書く欄です。

この場合の「希望や要望」とは、自分の自由な希望や要望という意味ではなく「概ね募集要項と同じ待遇や環境、あるいはそれに近い待遇や職種・勤務先等を希望(要望)する」というものです。

  • 募集要項から大きく外れた希望や要望は書かない
  • 概ね募集要項通りの勤務を希望する場合は「貴社の募集要項による勤務を希望いたします」などと書く
  • 募集要項と近い別の職種等を希望している場合は「将来は〇〇職に就きたいと考えております」などと書く
  • 賃金交渉や福利厚生利用の希望や要望は書かない
  • 職種や勤務地の選択ができる募集要項の場合は、選択肢の中から自分が希望するものを書く

特に希望や要望がない場合は「特にありません」と書いても良いですが、その場合は募集要項通りの職種や待遇を希望しているということと同じです。そのため「貴社の募集要項による勤務を希望いたします」と書いた方がよいでしょう。

⑭ 通勤時間

通勤時間の欄には、応募する企業までのおおよその通勤時間を記載します。

  • 実際に毎日通勤することになった場合の通勤時間を書く
  • 公共交通機関を利用する予定の場合は、出勤時間を見据えた移動時間を書く
  • マイカー出勤が許されている企業の場合は、自宅から勤務先までの自動車通勤にかかる時間を書く

就職や転職の場合、通勤時間が90分以上の応募者へは、通勤に備えた転居の予定を聞くこともあるようです。