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「ご自愛ください」 の正しい意味と使い方と例文
手紙文で使うご自愛くださいという言葉は、自分の健康に気をつけるという意味です。
ただし、通常、この言葉は相手へのいたわりの言葉として使用します。
また、一般的に、手紙文の末尾で相手の健康を気遣う結びの言葉として書かれます。
ご自愛の例文
※「貴君」は、友人のような同等程度の男子に対する敬称です。
あなたは一途な性格ですから、ひとりで頑張り過ぎてしまうではと心配です。任せられることは人に任せて、くれぐれも御自愛なさいませ。
※ これは目下の相手に対する大人の女性の手紙文です。
季節柄、通勤電車の中で咳をしている人が増えていますが、遊佐様にはお変わりございませんか。寒冷のみぎり、ご自愛のほどを。
※「ご自愛のほど」に続く「お願い致します」などの動詞句を省略した形です。江戸時代に普及した長々と皆まで言わない書かないことが粋とする手紙文の名残りです。
※「専一」(せんいつ)は、最優先にするという意味です。
※「御身」は「おんみ」と読み、相手の体のことを意味する尊敬語です。古くは相手に対する尊称でもあり、「あなた様」の意味でも使われていました。
ご自愛の類語の例文
※「御身御大事」の読みは、「おんみおだいじ」です。古語の「御身御大事に為さりませ」や「御身御大事にし給へ」などの動詞句を省略して言い切る手紙文の慣用語であり、会話ではさらに省略して単に「お大事に」と言います。
※「御身御大切に」は、「御身御大事に」の場合と同様、以下に続く動詞句などを省略して言い切る手紙文の慣用語であり、読みは「おんみおたいせつに」です。御が漢語に付く場合には「ご」と音読みすることが基本的なルールですが、「御大切」を「ごたいせつ」と読むと、かつてのキリシタン用語で愛を意味することになりますのでご注意。
※「厭う」(いとう)は、大事にする、気を付ける、かばうという意味です。難しい漢字ですので、仮名書きが一般的です。
「ご自愛ください」に込められた意味
「自分の健康に気をつけてください」という意味をもつ「自愛」ですが、健康に限定せず「自分を大切にしてください」といういたわりの意味を含んでいます。
「ご自愛ください」は目上(上司・義父母等)に使える?
相手が男女どちらでも関係なく使うことができますし、丁寧語なので相手が目上であっても問題なく使えます。
手紙やメールの場合は、主に最後の締めくくりの言葉として使うことが多いでしょう。
「ご自愛ください」の間違った使い方
間違えやすい使い方としてよくあるのが「お体ご自愛ください」というものです。
「ご自愛ください」を使ってはいけない場面
相手が、すでに体調を崩していたり何らかの病気の治療中である相手には使いません。
「ご自愛」の類語・別の言い方・言い換え
手紙やメールの結びの言葉として「ご自愛ください」という言葉が選ばれるのは「何と言ってもあなたの身体がいちばん大切です、あなたの身を案じています」という気持ちを表すものだからです。
そのため「ご自愛ください」という一文の受け取り方には個人差があります。
「身体のことを気にかけてくれてありがたい」という人もいれば「決まり文句だな」と受け取る人もいます。そこで「ご自愛ください」に言い換えを知っておくことで、結びの言葉にバリエーションを加えることができます。
「何卒ご自愛専一になさってください」
これは「ご自愛」を具体的に伝える言い方の一つで「ごじあいせんいつ」と読みます。
ご高齢の方や、病気はしていないけど身体が比較的弱い方などに「本当に気を付けてほしい」という気持ちを伝えることができます。
「おいといください」
これも「身体をいたわってください」という意味の言葉で、「厭(いと)う」こと、つまり「厭(いや)なことを避けるために気を付けてください」という気持ちを表します。
古風な言い方ですので、相手が年配の方であったり、言葉に長けている方へ伝えると喜ばれます。
「御身お大切になさってください」
「ご自愛ください」と意味は同じですが、「身」という文字が入っていることで「ご自愛」よりも具体的な印象を持ってもらうことができます。
体調を崩している方への「ご自愛」の言い換え
「現状元気ではない人」への「ご自愛」は使わない、というのはご紹介しました。では、体調を崩されている方への手紙やメールでの結び文は何が相応しいのでしょうか。
「何か回復をしなければならない体調」を持っている方へは「一日も早い回復を願っております」という一文で結ぶと良いでしょう。
「早く元気になってほしい」「早く回復してくださいね」という気持ちを込めることができますし「今もあなたの体調を案じています」
という気持ちも伝えることができます。
「ご自愛」よりもライトに結びたい場合の言い換え
手紙やメールの相手によっては「ご自愛」という言葉が決まり文句であったとしても固く感じて躊躇する場合があります。そんな時は季節と絡めた気遣いの一文で結んでみましょう。
- 「暑い日が続いておりますので、体調にはお気をつけください」
- 「寒くなって参りましたのでお、お風邪など召されませんようお気をつけください」
などとすれば、相手も「そうだな、そんな季節だな」と季節を感じることもできますし、体調についての気遣いもすんなりと受け取ることができます。