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お礼・感謝の言葉4つのグループ
現在、手紙文やビジネス文書で使われているお礼・感謝の言葉(フレーズ)には、以下のように形容詞の「ありがたい」と名詞の「お礼」・「感謝」・「恐縮」、以上 4種類の言葉のグループがあります。(※ 俗語・流行語・幼児語などは除きます。)
(1)「ありがたい」系のお礼・感謝の言葉
- ありがたく存じます
- ありがとうございます
(2)「お礼」系のお礼・感謝の言葉
- 御礼申し上げます
- お礼の言葉もございません
- お礼の申し上げようもございません
- 何とお礼を言って良いか分かりません
(3)「感謝」系のお礼・感謝の言葉
- 感謝いたしております
- 感謝の念に堪えません
- 感謝の気持ちを言葉では言い尽くせません
- 深謝いたします
- 拝謝いたします
(4)「恐縮」系のお礼・感謝の言葉
- 恐縮いたします
- 痛み入ります
「お礼・感謝」の言葉と一緒に使うと良い言葉
「お礼・感謝」の言葉は、それだけでも気持ちを伝えることが可能です。しかし、ただお礼の言葉を口にしただけでは、気持ちが伝わりきらないと感じることもあります。
そんな時には「お礼・感謝」の言葉の前に、後に来る言葉を強める一言を付け加えると良いでしょう。
心より・深く
「心より」「深く」は「感謝します」「お礼申し上げます」などの前につけることが多い言葉です。
「心よりお礼申し上げます」「心より感謝いたします」「深くお礼申し上げます」「深く感謝いたします」など、「心より」「深く」のどちらかを使って表してもよいですし、「心より深く」として同じように使うこともできます。
誠に・大変
「誠に」「大変」は「ありがとうございます」と一緒に使うことが多い言葉です。
「誠にありがとうございます」「大変ありがとうございます」などとして、相手への強いお礼の気持ちを表します。
お心遣い・お気遣い
「お心遣い」「お気遣い」とは、相手が自分のためを思ってしてくれたという、その気持ち自体を表します。そのため「に」という助詞と、「感謝いたします」「お礼申し上げます」などと一緒に使います。
お礼・感謝の手紙の書き方と例文
お礼や感謝の気持ちは、口頭で伝えると決まっているわけではありません。むしろ、気持ちを形にした手紙で伝えたいということもあるでしょう。
以下では、お礼や感謝の気持ちを伝えるための「基本的なお礼・感謝の手紙の書き方」と例文について解説します。
お礼・感謝の手紙は3段階に分けて書く
お礼や感謝の気持ちが強いほど、手紙に何と書けば良いのか迷いやすいものです。しかし、手紙は口頭とは違うため、いかに簡潔で相手に言いたいことが的確に伝わるか、という点がポイントになります。
前文は挨拶
まず、手紙の始まりである「前文」には、相手への挨拶を書きます。
拝啓 立秋とは名ばかりの暑さが続きますが 〇〇様におかれましてはご健勝のこととお喜び申し上げます
拝啓 年の瀬もいよいよ押し迫って参りました 〇〇様におかれましてはますますご清栄のこととお喜び申し上げます
例文のように、お礼・感謝の手紙は「拝啓」から始めるのが一般的です。
主文はお礼・感謝の気持ち
前文の次には、メインとなる主文を書きます。
先日はご多用の中、私の申し出をお聞き入れいただき誠にありがとうございました。〇〇様にお力添えをいただき、全てを滞りなく運べましたことに心より御礼を申し上げます。
この度は、私どものためにご都合をつけていただき、誠にありがとうございました。おかげさまで当初の予定通り、記念パーティーを開催することができました。心より感謝申し上げます。
例文のように、まず最初に全体的なお礼を伝え、その後具体的なお礼の内容に触れます。さらに、改めてお礼の言葉を続けることで気持ちが伝わりやすくなります。
末文は締めの挨拶
最後の末文では、締めの挨拶をします。
まだ暑い日が続くようです、どうかご自愛ください
今後とも何卒、ご指導ご鞭撻のほどお願い申し上げます
末筆ではございますが、貴社の益々のご発展を心よりお祈り申し上げます
締めの挨拶にも決まった形はありません。基本的には、相手の健康や発展・繁栄を祈る言葉を使います。
「お礼・感謝」を強める類語
「お礼・感謝」の言葉を強める言葉を使う以外にも、「お礼・感謝」の類語をご紹介します。
深謝(しんしゃ)
「深謝」とは、文字通り「深く感謝する」という意味です。「深謝」という一言で「誠にありがとう」「深く感謝」以上の感謝の気持ちを表すことができます。
ただし「深謝」は基本的には文章でしか使いません。口頭では「深謝申し上げます」などとは使いませんので、注意しましょう。
文章で使う場合は「ご温情に深謝申し上げます」など、何に深謝しているのかを明確にして使います。
拝謝(はいしゃ)
「拝謝」とは、「拝むように感謝する」という意味です。手を合わせて感謝する様子をそのまま言葉にしています。
「拝謝」も「深謝」と同様に、通常は文章内で使われる言葉です。ごく稀に、改まった式典などでは口頭で使われることもありますが、一般的なビジネスシーンであれば文章内に限った方が無難でしょう。
お礼の言葉もございません
相手にお礼や感謝の気持ちを伝える場合には、何らかの言葉を選ぶのが通用です。しかし、お礼や感謝の内容によっては「どの言葉でも言い足りない」「こんなありきたりなお礼の言葉では気持ちを伝えきれない」と感じることもあるでしょう。
その場合は、「お礼の言葉もございません」という自分の気持ち自体をお礼・感謝の言葉にすることもできます。
目上の人への「お礼・感謝」で注意すること
正しい敬語を使う
「お礼・感謝」を伝えるときに、もっとも気になるのは「どんな言葉でお礼を伝えるか」ということです。しかし、お礼や感謝の気持ちを正しく伝えたいのであれば、言葉や文章の全体に注意を払いましょう。
特に「敬語」は重要です。どんなに感謝をしていて、お礼の言葉をいくつも重ねたとしても、敬語が間違っていると言葉や文章自体に重みがなくなってしまいます。
何についての「お礼・感謝」であるかを明確にする
「お礼・感謝」を相手に伝える場合は、「何についてのお礼・感謝」なのかということを、明確に言葉や文章にしましょう。
ただ「ありがとうございました」「感謝いたします」と繰り返すだけでは、相手へ気持ちを届けることができません。
「お礼・感謝」は迅速に伝える
「お礼・感謝」を伝えなくてはならない事象が発生したら、なるべく早くお礼や感謝を伝えることも意識しておきましょう。
たとえば、クライアントに招待された食事会のお礼であれば翌日の午前中までには行う、という具合です。
迅速にお礼や感謝を伝えることまで含めて「お礼・感謝」であることを意識すると良いでしょう。
メールや電話での「お礼・感謝」は時間に注意する
先方へ「お礼・感謝」を伝える手段が、電話やメールの場合は時間帯にも注意が必要です。
早朝・深夜の電話やメールは相手に迷惑を掛ける可能性が高くなります。また、仕事関係のお付き合いであれば、忙しい時間帯なども考慮して避けるようにします。
相手の都合がわからない場合は始業から2時間ほど空けて連絡すると良いでしょう。メールの場合は、一見いつ送信しても良いように感じがちですが、人によっては会社のメールをスマホなどに転送していることもあります。
「ありがたい」系の例文
※ このように漢字熟語を多用する硬い文面で「有難く」を仮名書きの「ありがたく」としても違和感はありません。
「お礼」系の例文
※ このような硬い文面で「御礼」と書いた場合の読みは、一般に「おんれい」です。「御礼」の後に「を」を入れて「御礼を申し上げます」としても間違いではありませんが、慣例として「御礼申し上げます」が一般的です。
「感謝」系の例文
※ 「深謝」は、非常に深く感謝することです。
※ 「拝謝」は、上位の相手に対し謹んでお礼を述べるという意味合いです。
※ 「謝意を表する」は感謝を申し述べるという意味ですが、一般に式辞(儀式での挨拶文)や感謝状などで用いられる文言です。「深甚」(しんじん)は謝意を形容する場合によく用いられ、並々ならぬという意味合いです。
「恐縮」系の例文
※ 「恐縮」は身が縮む思いをすることですが、この場合は相手からの厚意に申し訳ないほど感謝するという意味合いです。
※ 「痛み入る」も、恐縮と同様の感謝の言葉です。