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「四面楚歌」の意味と由来
四字熟語の中に「四面楚歌」があります。聞いたことはあっても、意味や使い方がわからない、という人は多いかもしれません。
まずは「四面楚歌」の意味と、言葉の由来について解説します。
「四面楚歌」とは敵に囲まれている様子
「四面楚歌(しめんそか)」とは、周囲を敵に囲まれて、味方がいない様子のことです。
彼は自分の思いを貫いただけだが、その結果は四面楚歌だった
私は会社のルールを破ってしまったのですから、四面楚歌となっても文句は言えません
彼の告発によって、部長は一気に四面楚歌の状況に追い込まれてしまった
「四面楚歌」の由来は故事成語
「四面楚歌」は中国の古い故事から生まれた四字熟語です。「四面楚歌」のもとになった故事を簡単にまとめると以下のようになります。
中国の漢の時代(紀元前202年頃)、「楚」の国の王「項羽(こうう)」は敵国(漢)の兵に囲まれました。漢の兵は、項羽の国である「楚の国家」を歌っています。これを聞いた項羽は、自国である楚の兵が、敵国である漢へと寝返ったことを悟りました。
項羽は、自分の周りから聞こえてくる自国の国家を聞き、自分にはもう味方がいないのだと望みを絶ったそうです。
「四面楚歌」の使い方と例文
次に「四面楚歌」の使い方を例文と一緒に解説します。
周りに味方がおらず窮地にいる様子を表す「四面楚歌」
ビジネスシーンや日常の生活の中で、自分が窮地に追い込まれた様子を表す場面で「四面楚歌」を使うことができます。
会社を解雇され、家族とも離れ離れになってしまった、まさに今の私は四面楚歌だ
悪いことをしたわけではないのに、どうして自分が四面楚歌となってしまったのかがわからない
四面楚歌となったのは辛かったけれど、今考えてみればそのおかげで自分の力を出せるようになったのかもしれない
「四面楚歌」は、先に解説したように、周囲が敵ばかりで味方がいない、という状況です。
目上の人へ向けて使う「四面楚歌」
「四面楚歌」は四字熟語です。そのため、目上の人へ向けて使っても特に失礼になることはありません。
ただし、「四面楚歌」は単なる四字熟語であって、敬語要素を含んでいるわけではないため、「四面楚歌」の前後の言葉には敬語表現が含まれたものを選ぶようにしましょう。
今の私はいわゆる四面楚歌、の状態です、何とか部長のお力をお貸しいただけませんでしょうか
このままでは田中君は近い将来、四面楚歌となるでしょう、そうなった時のために何とか社長のお力でお引き立ていただけませんでしょうか
「四面楚歌」の言い換えに使える類語
次に「四面楚歌」と似た意味を持つ類語について解説します。
八方塞がり
「八方塞がり(はっぽうふさがり)」とは、「どの方角に行っても難しい状態・逃げ場がない状態」を表す言葉です。
自分のせいとは言え、もう誰にも頼ることはできない、八方塞がりとはこのことだ
八方塞がりだなんて言うなよ、まだ君には僕がいるじゃないか
「八方」とは四方八方の八方のことです。自分の周りすべて、どの方角も塞がっているという意味で「八方塞がり」と言います。
孤立無援
「孤立無援(こりつむえん)」とは、「誰からの応援もなく、孤立している様子」を表します。
たとえ孤立無援となっても、私は自分の意思を貫くつもりです
彼は孤立無援となってしまった、かわいそうだが私は見守ることしかできない
「孤立無援」は、漢字の通り「その人が集団の中で孤立し、誰からの応援も受けられない(無援)状態」です。
孤軍奮闘
「孤軍奮闘(こぐんふんとう)」とは、一人で勇敢に戦う様子です。四面楚歌や孤立無援と同じで、応援してくれる人がいない、手助けをしてもらえない、という状況で一人頑張る姿を現します。
彼はたった一人でよくやっているよ、まさに孤軍奮闘だ
仕事で孤軍奮闘している私を、家族は応援してくれています
他の言葉に比べると、「孤軍奮闘」はややポジティブな印象が強い言葉です。