間違いやすい「とりとめのない」意味と使い方・類語と例文

「とりとめのない」の意味

「とりとめのない話」「とりとめのない内容」などで使われる「とりとめのない」は、日常生活だけでなくビジネスシーンでも使われています。

「とりとめのない」とは「明確な結論がない」

「とりとめのない」とは、これと言った明確な結論がない、全体的にまとまりのないという意味です。

・彼の話はとりとめがなく、時間ばかりかかる
・昔の同級生と久しぶりに会って、とりとめのない話をしたことも楽しかった
とりとめのない話はこれくらいにして、本題に移ろう

「とりとめのない」の意味自体はネガティブなニュアンスが強く、あまり良い意味では使われません。しかし、話す相手との関係性によっては、あえて「とりとめのい」を使って関係が良好であることを表します。

「彼とはいつもとりとめのない話ばかりだ」という言葉も、言い方や表情によって良い意味での「とりとめのない」か、悪い意味でのものなのかが変わります。

「とりとめのない」は漢字で「取り留めのない」

「とりとめのない」は、漢字で「取り留めのない」と書きます。もともと「取り留め」とは、物事をまとめるという意味です。その「取り留め」に打ち消しの「ない」をつけて、「取り留めのない(まとまりのない)」という言葉となっています。

「とりとめのない」を文章に含む場合は、ひらがなでも漢字でも特に問題はありません。前後の文章とのバランスで、漢字・ひらがなを決めましょう。

「とりとめのない」の例文

「とりとめのない」は、さまざまな名詞と併せて使われます。以下では「とりとめのない」を使った言葉を、例文と一緒に解説します。

とりとめのない話

「とりとめのない話」は、とりとめのないを使った言葉の中でも頻繁に使われる表現です。何となくまとまりのない話、世間話のようなとりたてて何の話、とは言えないような話のことをいいます。

・君とこうしてとりとめのない話をしていても仕方がない、早く仕事の話をしよう
・先方の部長とは、何度もコミュニケーションをはかり、とりとめのない話をするところまでこぎつけました
・同窓会では童心にかえって、とりとめのない話をするのが楽しいのだ

「とりとめのない話」という言葉の中には、くだらない話・どうでも良い話・中身のない話、などのニュアンスが含まれます。

何と表現して良いのか迷うような、とりたてて「何の話」と説明するのが難しい話の内容が「とりとめのない話」です。

とりとめのない人

一般的に「とりとめのない人」という表現はしません。しかし「とりとめのない話をする人」もしくは「とりとめのない文章を書く人」を「とりとめのない人」として表すことはあるようです。

・彼はとりとめのない(話をする・文章を書く)人だ、何が目的なのかわからない
・部長はとりとめのない(話をする・文章を書く)人だから、こちらが話の主導権を握っておく必要がある

日常では、このように言葉の一部が省略された言葉がたくさんあります。「とりとめのない人」もそのひとつです。

話している相手と意思の疎通が正しくできていて、こちらが対象について「とりとめのない人」と言っても、その意図を汲み取ってくれるのであれば「とりとめのない人」を使っても良いかもしれません。

とりとめのない文章

「とりとめのない文章」とは、つかみどころのない、何が言いたいのかわからない、まとまりのない文章のことです。

・彼女はいつもとりとめのない文章を書くので、言いたいことが伝わってこない
とりとめのない文章を書く人は、自分の中で書きたいことがまとまっていないか、もしくはとりとめのない文章自体が書きたいものなのだろう
・どんなとりとめのない文章も、彼が手を加えれば情緒的な良い文章になるから不思議だ

「とりとめのない」が文章にかかると、「とりとめのない話」とは違ってネガティブな印象が強くなります。

話(会話)は、気心の知れた友人などが相手であれば、内容がとりとめなくても楽しいかもしれません。しかし文章はそうはいかず、人に何かを伝える文章で「とりとめのない」が使われる場合の多くは、その文章を非難していることが多いでしょう。

とりとめのない日常

「とりとめのない日常」とは、特にこれと言って変化のない日常という意味です。

・こうしてとりとめのない日常も、日本が平和だからこそだ
・この苦境を経験して、初めて以前のとりとめのない日常が幸せだったと思う
・彼はとりとめのない日常を嫌っている、だから何かにチャレンジしたいのだろう

「とりとめのない日常」とは、穏やかでこれといった事件や出来事もなく、いつも通りに時間が過ぎていく日々のことです。この「とりとめのない日常」が、自分にとって良いものか物足りないものかは人によって異なります。

「とりとめのない日常」という言葉自体に、良い・悪いはありません。「とりとめのない日常」という言葉を使う人によって、ポジティブなニュアンスか、そうでないかが変わります。

「とりとめのない」の言い換えに使える類語

「とりとめのない」には、似た意味を持つ言葉があります。以下では「とりとめのない」の言い換えにも使える類語をご紹介します。

たわいない

「たわいない」には、いくつか意味がありますが、その中に「つまらない・取り上げるほどのことでもない」という意味があります。この意味で使う「たわいない」は、「とりとめのない」の類語として使えます。

たわいないことばかり言って笑っていたあの頃が懐かしい
・彼の話はいつもたわいなくて、時間ばかりかかるのは何とかしなければならない
たわいないことを取り上げるからこそ、読者は親近感を持つのではないだろうか

「たわいない」は「たあいない」「他愛ない」「たわいもない」「他愛もない」など様々な書き方がありますが、どれも間違いではありません。

「たわい(しっかりとした考えや態度)」に打ち消しの「ない」がついたものが「たわいない」で、「他愛」はあて字と言われています。