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「おります・います」 の意味
「います」とは「(人が)居ます」
「います」という言葉は、人がそこに居る、つまり「そこに存在している」という意味です。「います」は敬語ではなく、「ます」がついていることで、単純な丁寧語と解釈することができます。
「おります」とは「(人が)居ます」の謙譲語
「おります」は「います」と同義語で、同じ「人がそこに存在している」という状態を表します。「います」との違いは、「おります」は謙譲語である、ということです。
謙譲語とは、自分をへりくだって表現する言葉のことです。謙譲語には他にも、食べることを「いただく」、行くことを「参る」などがあります。
「おります・います」の使い方
「おります」「います」は、話す相手によって使い分けます。自分と同等、あるいは立場が下の人へ話す場合は「います」「いる」です。相手が目上の人、あるいは改まった場面や取引先の方との会話であれば、「おります」を使います。
自分をへりくだって表現する「おります」
「私は御社のロビーにいます」は、丁寧語の「ます・です」しか使われておらず、謙譲語表現がないため、目上の人へ向ける言葉ではありません。一方、「私は御社のロビーにおります」は「おる」が使われているので、自分をへりくだって伝えることができています。
その場合にも、「〜ております」・「〜でおります」が聞き手や読み手への敬意を含んだ敬語表現になります。
相手が「居る」場合は「いらっしゃる」
では、相手の状況を表す時にはどんな言葉を使えば良いでしょうか。その場合は「いらっしゃる」を使います。
「いらっしゃる」の原型は「居る」です。「います」「おります」と同じです。これらの言葉の敬語表現が「いらっしゃる」となります。敬語表現ですので、自分や自分の身内を指す場合には使いません。
この時に「佐藤様でございますね」としてしまうと、原型が「ある」ですので、相手の存在自体を物として扱っていることになります。
相手へ敬語表現で話したいのであれば、原型が「居る」の「いらっしゃる」を使いましょう。
「おります」は目上の人以外にも使える
対面であれば、目下の方や立場上自分より下の方に「おります」という表現を使いにくいものです。状況や関係性によっては、若干嫌味として受け取られる可能性もあるでしょう。
しかし、文章中であれば、立場を問わずに「おります」を使うことができます。
特に文章の冒頭などでは「お世話になっております」や「元気にしております」などの挨拶に使うことが多いでしょう。
「ございます」との違い
「います」「おります」と似た状況で使われる言葉に「ございます」があります。「株式会社○○でございます」や「ご注文のコーヒーでございます」などと使われる場合です。
「ございます」は丁寧な謙譲語
この「ございます」の原型は「ある」という意味を持つ「ござる」だと言われています。「ある」という意味で考えてみると、対象となるものは「物」ということになります。そのため「ございます」は基本的には物に対して使います。
しかし、自分の名前を名乗る時に「田中でございます」などとも使われます。
これは自分を卑下した表現で「自分の名前は物ではないが、物と同等」という遠慮の気持ちを込めて使われているのです。
これは社外の方へ「部長の鈴木は外出中でございます」などと伝える場合と同じ使われ方となります。
この言葉を「おります」「います」で言い換えることもでき、「部長の鈴木は外出しております」「外出しています」となるのです。
おります・いますの例文
①目上の人、社外の人などに対して
わが家は皆、風邪ひとつひかずに元気に致しております。
当日、部長は海外出張で不在にしております。
受験生がおりますので、春までは練習を休んでおります。
②目下の人、親しい友人・同僚などに対して
わが家は病気知らずの元気者が揃っています。
当日は誰もいませんので、ドアの鍵がかかっています。
主人が一緒にいますから、子供も安心して遊んでいます。