【目上へ】益々の意味・使い方と例文

益々の意味・使い方と例文

「益々」は、数量や程度が増すことを意味する動詞「益す」を二つ重ねたもので、動詞と同じ意味の副詞として使用する慣用表現です。

増々と同義語ですが、増々がどのような内容の文章にも使える汎用性の高い言葉であるのに対し、益々は利益増大・商売繁盛・健康増進・立身出世などに通じる良字(良い意味の文字)として、そのような良い意味合いの表現でのみ多用されます。

現在、一般的には漢字で益々と書くよりも、平仮名でますますと表記するケースが増えていると思われます。

自治体の名称さえもひらがな表記が珍しくなくなった現代ですから、それも当然の成り行きと言えますが、ビジネスレターのような硬い文章のあいさつ文などでは、現在でも漢字表記が一般的と思われます。

それは、単に字面や形式の問題ではなく、「益」の字が持っている良い意味をおろそかにしたくないという感覚によるものなのでしょう。

また、文面の見栄えや読みやすさの点からも、漢字表記にすべき場合があります。重字(かさねじ)の「々」を使う言葉をひらがな表記にして、その次にもひらがな言葉が続いた場合、文字量の増加と切れ目の判然としない文字の羅列によって、稚拙な文面という印象を受けたり、かえって読み辛いと感じたりするものです。

仮名表記にしさえすれば読みやすくなるというものではありませんので、注意しましょう。

益々の例文

時下益々ご清祥のこととお慶び申し上げます。
鈴木様におかれましては益々ご健勝の由、衷心よりお喜び申し上げます。
貴社益々のご発展を蔭ながらお祈り申しております。
桂子さまから頂いたお言葉がますます心に染みる今日この頃です。
知れば知るほどますます興味が湧いてまいりました。

「益々」の使い方

「益々」には「なお一層」という意味があります。「現状よりもさらに」ということを表したい時に使う言葉です。

漢字では「益益」と書かれることもあります。「ますます」「益々」「益益」と三種類の書き方がありますが、今は同じですのでその場の雰囲気に一番あったものを選びましょう。

気軽な文章では「ますます」と平仮名で書くこともありますし、一般的には「益々」とします。しかし改まった手紙や目上の人へ失礼があってはならない時は「益益」と「々」で省略しな書き方が望ましいとされています。

注意
「益」という字には、神様からの「御利益」、商売の「利益」などおめでたく、繁盛するイメージが持たれやすいので、開業や結婚などのお祝い事などに使うと喜ばれます。反対にお悔やみなどには向かない漢字です。故人を偲んで「益々さみしくなります」などとしてしまうと失礼です。安易に使わないようにしましょう。

「益々」の言い換え

「益々」という言葉自体は、品格もあり格式高い言葉です。しかし、使い慣れていない人にとっては、少しハードルが高く感じてしまうこともあります。手紙やメールまたは口頭で、相手へ「益々」という言葉を使わずにその意味だけを伝えたいのであれば、次のような言葉を使ってみましょう。

より一層

「益々」の言い換えで「より一層」という言葉があります。意味は「益々」と同じで「なお一層」「今までよりもさらに」です。

「より一層のご活躍を楽しみに致しております」などと使うことで「今よりもさらなる活躍」ということを伝えることができるでしょう。

一段と

「さらに」「ひときわ」という意味を持つ「一段と」も「益々」の言い換えとして使うことができます。

「益々美しくなられましたね」を「一段と美しくなられましたね」と言い換えても失礼はありませんし、意味も通っています。「益々」よりも「一段と」の方が前回との違いを明確にできるイメージが強いので、特に相手を褒める時には適しているでしょう。

その他の強調できる繰り返し言葉

「益々(益益)」のように、同じ漢字を重ねることで、意味をさらに強くする言葉は他にもあります。

たとえば「尚尚(なおなお)」です。「今の状態を延長して」「さらに」という意味を持つ「尚」を重ねることでその意味を強くしています。

一般的に使われる表現ではありませんが、人によっては手紙などで使うことがあるので、意味を知っておくと良いでしょう。

または「愈愈(いよいよ)」です。「際限なく突き進む」という状態を表す言葉で「いよいよ開幕」など平仮名表記で使われることは多いでしょう。

漢字で使われることはあまりありませんが、「さあ」「ついに」「やっと」などの言葉の意味を強めたい時に使われます。