【目上へ】いささか の意味と使い方・例文

いささか の意味と使い方・例文

「いささか」は、「わずかばかり」「少しだけ」「ちょっと」という意味であり、副詞や形容詞として使用します。

万葉仮名の時代からある大変に古い言葉で、現代では言葉の由来もはっきりしていませんが、いまだに死語とはならず、使い続けられています。

一般的には、やや改まった文語的な表現で使用されるケースが多いようです。日常会話で普通に使われる言葉ではありませんし、漢字熟語が主流のビジネスレターやレポート・論文にも馴染まない言葉です。

漢字で書くときは、「些か」か「聊か」ですが、現代では読めない人が多いでしょうから、仮名表記にすべきです。

いささかの例文

朝から歩き通しで、いささか疲れました。

いささか変だとは思いませんか。

今回の作品には、いささか自信があります。

その表情にはいささかの動揺も見られなかった。

あの方のかたくなな態度には、いささかならず困惑しました。
(※いささかならず=大いに、大変)

「いささか」のビジネスシーンでの使い方

ビジネスシーンやフォーマルな場面で「すこしだけ」という表現は軽い印象をうけます。

「ちょっと」という言葉はカジュアルでビジネスシーンには相応しくありません。

また「わずかばかり」ではその後に続く言葉がある程度決まってしまいます。「わずかばかりではございますが」など、相手に何かを受け渡すイメージがつきやすいでしょう。

「いささか考えすぎかもしれませんが」「いささか体調が思わしくなく」など、自分の感情や状態を控えめに相手へ伝えることができます。

相手にとってあまりうれしくない情報を伝える時に「いささか」という言葉を使うことで、実際の状態よりも強度を弱めて伝えることができるのです。

「いささか」が「少ない」を表すとは限らない

「いささか」という言葉が「少し」「ちょっと」ということを表すということはご紹介しましたが、況によっては逆の意味である「かなり」を指すこともあります。

たとえば「ここはいささか寒すぎるようです」と言えば、「ここはとても寒い、寒すぎる」ということを言っています。

また、「これはいささか派手な車ですね」と言えば「この車は派手すぎはしませんか?」というニュアンスを出すことができます。つまり、「いささか」の後にくる言葉によって「言葉通りの意味」であるのか「嫌味な表現なのか」を判断することになるのです。

「いささか」が表す「すこしも〇〇ではない」という意味

「いささか」という言葉を使って「微塵も〜ない」「少しも〜ない」という強い否定を表すこともあります。

たとえば「この件について、私にはいささかの後悔もありません」と言えば、「私は自分がしたことを少しも公開していない」と、「後悔」を強く否定する言葉となります。

また、「私の決断にはいささかの揺らぎもございません」は「私はこの決断を変えるつもりは全くない」とやはり強く否定する言葉へと変わります。

「いささか」の反対語は?

「いささか」という言葉の反対の意味を表す言葉はたくさんあります。「非常に」「大変」「大層」「甚だ」「ずいぶん」などが主な反対語です。

どれも物事を強調する言葉であるため、後に来る言葉によって良い印象にも、悪い印象にもすることができます。

注意
特に「甚だ」「大層」については「甚だ遺憾」「大層なことで」など、相手に対して攻撃的な意味合いを持つ言葉が後に来やすいので、安易に使うことは避けましょう。

ポジティブなことを伝えたい場合は「非常に」「大変」で十分気持ちを伝えることができます。