目上に対する「所存」の意味間違ってませんか?【例文あり】

所存 の意味と使い方・例文

所存とは、「思う」・「考える」の謙譲語である「存ずる(ぞんずる)」を使った「存ずる所」という漢文表現であり、「思うところ」・「考え」という意味です。

従って、「所存です」と言えば、「〜するつもりです」、「〜しようと思います」という意味となり、あるいは「〜したいと思っています」というニュアンスになります。

相手に対してへりくだった言葉遣いですから、大抵は目上の人に対して使います。

所存です の例文

今後も貴社のお役に立てますよう、システム開発に鋭意努力してまいる所存です。
今後は問題点の掘り起こしを怠らず、製品の完成度を高めていく所存です。
私どもと致しましては、この度のご提案はご辞退させていただく所存です。
このような事故を二度と繰り返さないよう、安全管理に万全を期していく所存です。
これを機に、地域の皆さんとの協力関係を深め、より良い街づくりのために一層の努力をする所存です。
お客様とのコミュニケーションにも心を配り、さらに愛される地域一番店となれますようサービスの質の向上に努めてまいる所存です。今後とも変わらぬご支援とご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます。
上司・先輩の皆様のご指示に従い、仕事に精一杯取り組む所存です。何卒よろしくお引き回しのほどお願い申し上げます。
入社式の翌日から新入社員研修が始まりますが、伯父上様のお手紙にあるご教訓を心に刻み、社会人としての自覚をもってがんばる所存です。これからもよろしくご指導くださいますようお願い申し上げます。
紛失の原因は私の不注意以外の何物でもなく、お詫びの言葉もございません。今後はこのような不始末を二度と繰り返さないよう、重要書類の取り扱いには細心の注意を払う所存です

所存でございます 所存から そのほか応用の例文

この度はご注文商品のお届けが遅れましたことを心よりお詫び申し上げます。今後はこのようなご迷惑をお掛けしないよう、天候・交通事情にも十分配慮して出荷作業に当たる所存でございます
御社の勇気あるご決断は、誠に敬服に値するものと存じます。弊社にても早急に対応を検討し、御社に続く所存でございます
この度は、ご親切に弁明の機会をお与えくださり、心より御礼申し上げます。浅学非才の身ではありますが、私が日頃より当問題に関して調査・分析してまいりました成果として所存を申し述べさせて頂きます。
この度のことは酒席での些細な冗談が発端であり、実現の見込みなどないことは自明の理との所存から諦めるよう説得を試みましたが、本人の意志は存外に固く、私どもの忠告など聞く耳を持たない様子にて誠に困っております。
国際政治と外交に関する高い見識をお持ちの方ですので、氏のご就任には大いに期待致しておりましたが、本日の所信表明は所存の外にて、我が国の前途に憂慮を禁じ得ません。
※ 「所存の外(ほか)」は、思っていたこととは違い非常に残念であるという意味です。

「所存」の使い方

「所存」は目上の方に向けて使う敬語表現です。口頭や文章内にて「所存」を使うことで、相手に対しての敬意を表すことができます。

自分と同等の立場の方や部下などに向けて「所存」を使うことは基本的にはありません。「こうしたいと考えています」「こうするつもりだ」など、日常に近い言葉で伝えられるのが通常でしょう。

さらには「所存」は目上の方だけでなく、大勢の人を相手にした発言のときにも使います。

パーティーのスピーチや、総会などで意思を表明するときなどは「〜と思います」「〜と考えています」という言い方がやや軽く見られることもあるためです。

「〜の所存です」「〜の所存でございます」なども使われますが「〜の所存で邁進いたします」と、思いや考えを持って行動に移すという言い方もできます。

「所存」が使われる場面

「所存」が多く使われるのは「決意表明」「謝罪」などです。まず「決意表明」はそのシーンが多岐に渡ります。

結婚式の新郎の挨拶、壮行会の締めの挨拶、総会でのスピーチなど、話す人が聞いている人々に向けて自分の気持ちを伝え、今後の発展を約束する場面などで多く使われています。

「皆様のお気持ちを胸に、必ずや良い成績を収める所存でございます」などと使われることもあるでしょう。

次に「謝罪」は、取引先へのお詫び文や、口頭での謝罪でも「所存」が頻繁に使われています。

今回の失態を取り戻すために今後どうするのか、という部分で「今度、このようなことがないよう社員教育に力を入れる所存でございます」などと使われます。

いずれにしても「所存」が使われる場面には「話す人の強い気持ちや決意を相手に伝える」という熱意が共通しています。

「所存」の類語

「所思(しょし)」

「所思」とは「思っている事柄」です。今自分の気持ちの中で思っていることが「所思」です。

「○○で成功したい、というのが私の所思です」などと使います。

「所存」を使うほどの場面ではなく、「思います」ではやや幼稚に感じる場面で使いやすい言葉です。

「所思」は「思う所」と書きます。文字の通り「自分が思うのはこれだ」ということを表せるので、フォーマルな場面で自分の気持ちを言葉にしたいときに便利です。

「所懐(しょかい)」

「所懐」も「所思」と似て「心に思う所」という意味です。

「所懐」は「懐」という文字が入っていることから、ニュアンスとしては「思う」よりももっと気持ちの深い部分にある想いと考えられます。

そのため、日頃口にはしない想いや、自分の中に留めていた気持ちなどを打ち明けるときに適している言葉です。

「私の所懐の一端をお話しますと〜」とすると「胸の奥底にある想いの一つを話すと」という意味になります。

「意向」

「意向」とは「考える方向性」という意味です。

「私はAと考えています」は「私の意向はAです」となります。考えていることを表すという意味では「所存」と似ていると言えるでしょう。

しかし「意向」は敬語表現ではないため、目上の方には使うことができません。敬語での自分の考えについては「所存」を使うことになります。

また、自分以外の方の考えについて表現するのであれば「ご意向」が良いでしょう。「それが先方のご意向です」などとすれば、「それが先方の考えです」ということを表せます。

「所存」は自分のことについてしか使えませんので、自分以外の人の考えを指すには「意向」が便利です。

「所存」の間違った使い方

日常で多い「所存」の間違った使い方は「○○と思う所存でございます」「○○と考える所存でございます」などです。

「所存」には「思う」「考える」という意味が既に含まれています。そのため「思う所存」「考える所存」という使い方はしません。

「辞退する所存です」「伺う所存です」とするだけで「辞退しとうと思っています」「伺おうと考えています」ということを全て伝えられます。

また「要望」「希望」を「所存」という言葉に置き換えるのも誤りです。

たとえば「先方は赤をご所存です」という使い方はしません。「先方の要望は赤」ということを、「先方は赤にしたいと思っている」と変換してしまうと「”思う”だから所存」と誤った考えにたどり着きやすくなります。

しかし「所存」は自分が思うことや考えることにしか使いません。それは「存」というへりくだりの表現が入っているためです。「先方は赤をご希望です」または「先方は赤をご所望です」が正しい言い方です。

注意
ちなみに「所望(しょもう)」と「所存」を聞き間違えて使っている方もいるようです。「所望」は「そうして欲しいと相手が望むこと」を指しています。自分のことについて使う「所存」とは根本的に違う言葉なので、混同しないようにしましょう。