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所存 の意味
ビジネスシーンでよく使われる「所存」という言葉は、意味や使い方がやや難しく、誤認や誤用が多い言葉でもあります。
まずは、「所存」の意味について確認しましょう。
所存とは「思うところ」
所存とは、「思うところ」・「考え」という意味です。
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例文の「所存」の部分を「思う・そう考えている」と言い換えると、「所存」の意味がわかりやすくなるでしょう。
つまり「所存」とは、自分が考えていることを相手に伝える際に用いる言葉です。「以上が自分が思い、考えていることです」という意味で使います。
所存です の例文
※ 「所存の外(ほか)」は、思っていたこととは違い非常に残念であるという意味です。
「所存」の使い方
「所存」は、家庭内や友人間などでの会話では使いません。以下では、「所存」の使い方について解説します。
「所存」は目上の人に向けて使う
「所存」は目上の方に向けて使うフォーマルな表現です。
さらには「所存」は目上の方だけでなく、大勢の人を相手にした発言のときにも使います。
パーティーのスピーチや、総会などで意思を表明するときなどは「〜と思います」「〜と考えています」という言い方がやや軽く見られることもあるためです。
「〜の所存です」「〜の所存でございます」なども使われますが「〜の所存で邁進いたします」と、思いや考えを持って行動に移すという言い方もできます。
「所存」が使われる場面
「所存」が多く使われるのは「決意表明」「謝罪」などです。まず「決意表明」はそのシーンが多岐に渡ります。
結婚式の新郎の挨拶、壮行会の締めの挨拶、総会でのスピーチなど、話す人が聞いている人々に向けて自分の気持ちを伝え、今後の発展を約束する場面などで多く使われています。
「皆様のお気持ちを胸に、必ずや良い成績を収める所存でございます」などと使われることもあるでしょう。
次に「謝罪」は、取引先へのお詫び文や、口頭での謝罪でも「所存」が頻繁に使われています。
いずれにしても「所存」が使われる場面には「話す人の強い気持ちや決意を相手に伝える」という熱意が共通しています。
「所存」は誤用に注意
「所存」は誤用が多い言葉です。特に以下の2つには注意しておきましょう。
~と思う所存です
「所存」には「思う」という意味が含まれています。そのため「~と思う所存です」あるいは「~と考える所存です」は誤りです。
× 日々精進して参りたいと思う所存です
〇 日々精進して参る所存です
〇 日々精進する所存です
例文では「思う」を取り上げましたが、「考える」「予定している」なども同じです。
自分以外には「所存」は使わない
「所存」は、自分の思いや考えを伝える際にしか使いません。その為、自分以外の人の思いや考えを「所存」と表すことはないのです。
× 課長のご所存をお聞かせください
〇 課長のお考え(お気持ち)をお聞かせください
この「自分以外には所存は使わない」ということから、「ご所存」という言葉が誤りであることもわかります。「ご」は丁寧表現であるため、自分の思いや考えを表す「所存」につけることはありません。
「所存」の言い換えに使える類語
「所思(しょし)」
「所思」とは「思っている事柄」です。今自分の気持ちの中で思っていることが「所思」です。
「○○で成功したい、というのが私の所思です」などと使います。
「所存」を使うほどの場面ではなく、「思います」ではやや幼稚に感じる場面で使いやすい言葉です。
「所懐(しょかい)」
「所懐」も「所思」と似て「心に思う所」という意味です。
「所懐」は「懐」という文字が入っていることから、ニュアンスとしては「思う」よりももっと気持ちの深い部分にある想いと考えられます。
「私の所懐の一端をお話しますと〜」とすると「胸の奥底にある想いの一つを話すと」という意味になります。
「意向」
「意向」とは「考える方向性」という意味です。
「私はAと考えています」は「私の意向はAです」となります。考えていることを表すという意味では「所存」と似ていると言えるでしょう。
しかし「意向」は敬語表現ではないため、目上の方には使うことができません。敬語での自分の考えについては「所存」を使うことになります。
また、自分以外の方の考えについて表現するのであれば「ご意向」が良いでしょう。「それが先方のご意向です」などとすれば、「それが先方の考えです」ということを表せます。
「所存」の間違った使い方
日常で多い「所存」の間違った使い方は「○○と思う所存でございます」「○○と考える所存でございます」などです。
「所存」には「思う」「考える」という意味が既に含まれています。そのため「思う所存」「考える所存」という使い方はしません。
「辞退する所存です」「伺う所存です」とするだけで「辞退しとうと思っています」「伺おうと考えています」ということを全て伝えられます。
また「要望」「希望」を「所存」という言葉に置き換えるのも誤りです。
しかし「所存」は自分が思うことや考えることにしか使いません。それは「存」というへりくだりの表現が入っているためです。「先方は赤をご希望です」または「先方は赤をご所望です」が正しい言い方です。