目上への相槌の打ち方!「はい・えぇ・うん・なるほど」についても

目上の人への相槌に使える言葉

友人や家族との会話は自然とできるのに、目上の人との会話は不自然になりがち、という人は多いようです。その理由として考えられるのが「目上の人に対してどのような相槌を打てば失礼でないのかがわからないから」ではないでしょうか。

基本は「同意」を示す言葉を使う

目上の人との会話では、「はい」や「えぇ」などの「相手の言っていることに同意する相槌」を打つのが基本です。これは、目上の人の言っていることに反対してはならないという意味ではありません。会話の基本として、相手が言っていることをいったん受け入れる、という意味での相槌です。

相手の意見を受け入れる「はい・えぇ」

まず「はい」「えぇ」は、相槌として大変多く使われます。相手が目上の人であっても失礼にはなりません。

友達同士の会話に置き換えると「うん」「それで?」などです。
使い方のポイントは「はい」と「えぇ」を適度に変えることです。少し長めの会話で、相槌が「はい」ばかりだと「この人は本当に聞いているのだろうか」と相手が不安になります。また、「えぇ」ばかりだとなんとなく威圧的に感じやすいものです。

「はい…はい…えぇ…はい…えぇ…えぇ…はい」など不規則に「はい」と「えぇ」を変えると、相手は話がしやすくなります。

相手の意見を肯定する「おっしゃる通りです」

「はい・えぇ」よりも積極的に相手の言うことを受け入れる姿勢を出したい場合は「おっしゃる通りです」を使います。

「おっしゃる通りです」とは、「あなたの言う通りです」の敬語表現で、相手の言うことを全面的に肯定する意味を持っています。相手が言っていることに納得し、話の先を促したい場面でよく使われる相槌です。

友達同士の会話での相槌に置き換えると「確かに」「そうだよね」などにあたります。

ポイントは、会話の中で何度もは使わないことです。「おっしゃる通りです」を使いすぎると、相槌に信ぴょう性が感じられにくくなります。

相手の意見を肯定し自分も賛成する「私もそのように思います」

「おっしゃる通りです」よりも、さらに相手に同意する気持ちが強く、自分も相手の意見に賛成している場合は「私もそのように思います」が使えます。

「私もそのように思います」は、相手の言っていることに深く共感をしていたり、感銘を受けたりした場面で使われる相槌です。

友達同士の会話に置き換えると「私もそう思う」「すごくわかる」などでしょう。

ポイントは、相手の言っていることに心から同意しているときにだけ使うということです。なぜなら「私もそのように思います」と言った後では、相手の要望や意見を退けにくくなるからです。

「同意」から翻す場合は「しかし+理由」

「はい・えぇ」「おっしゃる通りです」「私もそのように思います」、これらはすべて相手の話や意見に同意をする相槌です。しかし、仕事では自分が個人的に共感をしても、結果として相手の要望に応えられないこともあります。

その場合は、同意を示す相槌の後に「しかし」という接続詞と、要望に応えられない理由が必要です。

はい…えぇ…おっしゃる通りです。しかし私どもといたしましては~という理由があり、どうしても御社のご要望にお応えすることができかねます」

はい…えぇ…私もそのように思います。しかしこれはもともとのお約束であり、こちらといたしましても今から予定を変更するわけにはいかないのです」

同意できない内容は「受け入れ」

目上の人との会話であっても、相手の言っていることに同意できないこともあるでしょう。その場合は「相手の言っていることを受け入れるのみの相槌」を使います。

相手の言っていることを受け止める「〇〇とお考えなのですね」

「〇〇とお考えなのですね」は、「自分はそうは考えていません」という裏のニュアンスを感じる人が多い相槌です。実際に「〇〇とお考えなのですね」の中に、「受け止め」はあっても「同意」の要素はありません

「弊社は御社が〇〇をされるべきだと考えています」

「御社は弊社が〇〇をするべき、とお考えなのですね」(自社で〇〇をするべきだとは思っていない)
「私もそのように思います」(自社で〇〇をするべきだと思っている)

相手の気持ちを汲む「そのように感じておられたのですね」

「そのように感じておられたのですね」は、「そんな風に感じなくて良かったのに」という気持ちを伝える相槌です。やはり言葉の中に「同意」はなく、あくまでも「受け止め」にとどまります

「私は田中さん退職の理由が、以前の自分の発言にあると思っている」

「課長はそのように感じておられたのですね」(実際は課長のせいではなく、田中さんはスキルアップのために転職をした、など)

目上の人への相槌の注意点

目上の人との会話で相槌を打つときに、いくつか注意したいことがあります。以下では、相槌の効果を増す、あるいは現象させる相槌の注意点について解説します。

体の動き(うなづき)が必要

「相槌」は口から発しますが、それだけでは足りません。相槌には、伴った体の動きが必要です。

相槌に必要な体の動きとは、主には「うなづき」です。うなづきながら相槌を打つことで、相手は「話を聞いてくれている」という安心感を持ちながら話し続けることができます。

うなづくときのポイントは、頭だけを動かすのではなく「首の根本から頭を動かすような意識」です。頭だけをカクカクとさせると、やや横柄な印象となることがあるので注意しましょう。

体の動きだけでは相槌にはならない

反対に、どんなに深く納得してうなづきながら聞いていたとしても、相槌が発せられなければ意味がありません。

電話などこちらの姿が見えない場合はもちろん、対面で姿が見えている場合であっても、「相槌」は意識的に言葉として発することを意識しましょう。

「うん」「なるほど」は使わない

一般的に多く使われる相槌に「うん」や「なるほど」があります。これらは、目上の人との会話では使いません

会社の先輩などが、目上の人との会話の中で「うん・なるほど」を使っているのを聞いたことがある、という人もいるかもしれません。しかしそれは慣れている上級者が使うテクニックの一つであることがほとんどです。
 目上の人との会話での相槌に悩んでいる状態で「うん・なるほど」を使うと、相手に不快な思いをさせる場合があります。

意見がある場合でも相槌には表さない

会話の中で、相手が言っていることに反した自分の意見を伝えたくなることがあります。しかし、その気持ちは「相槌」には出しません。相槌は、あくまでも「会話のリズムをとるためのもの」です。

自分の意見を伝えたい場合は、先に解説した「〇〇とお考えなのですね」「そのように感じておられたのですね」などを使い、その後「しかし」などの接続詞を使ってから言うようにしましょう。