目次
ご承知置きくださいの意味と使い方
「ご承知置き」は、動作性漢語名詞の「承知」で「する」の連用形「し」を省略したものに、「〜している」・「〜しておく」という状態の継続を意味する動詞「置く」の連用形が接続し、さらに尊敬の接頭語「御」を冠した尊敬語です。
しかし、江戸時代にはすでに人名になぞらえて「合点承知の助」(がってん承知のすけ)などという謙譲の態度を茶化した江戸っ子言葉が流行し、承知がより身近な言葉になった反面、謙譲語の「承る」の意味は薄らぎ、近代以降は謙譲の意味を持たない単なる「知る」という意味での使用が多くなりました。
昭和の著名作家たちの作品の中にも、「そのことは承知している」のような「知る」の意味での用例が数多く見受けられます。
「ご承知置き」は、そのような「知る」の意味での承知の用例であり、「知っている」・「理解している」や「知っておく」・「理解しておく」という意味で用いられます。
なお、「ご承知置き」は相手の承知している状態が継続している場合と今後継続することを意味する場合に使用する言葉です。単に現時点で承知していることに言及し、その状態の継続のニュアンスを含まない場合には、「ご承知」か「ご存じ」を使用します。
ご承知置きくださいの例文
「ご承知置き」は目上の人に使える?
「ご」という丁寧語がついていることから、目上の人へも使えそうな言葉ですが、「ご承知置き」という言葉は、目上の人には使わない方が無難です。
目上の人や取引先などに「このことは知っておいて欲しい」と伝えたいのであれば「お含み置きください」を使いましょう。
「ご承知置き」の「承知」は「知る」「認識する」など「具体的な物事の認知」にを表しています。一方で「お含み置き」は「心に留めておいてください」「気持ちの片隅に置いておいてください」と、感情に対しての要求をする言葉です。
目上の人に「ご承知置きください」と言うことは「しっかりと認識しておくように」と言っていることと同じで失礼です。「お含みおきください」と伝えて「きっと大丈夫だと思いますが、念のため心に留めておいてください」ということを伝えることができます。
「ご承知置きください」と「ご了承ください」の違い
「ご了承ください」
「ご了承ください」というのは「こういうことですから、よろしくお願いします」ということを伝える言葉です。
「こういうことですから」という言い方からもわかるように、基本的には「変更はできないこと」「反対されても覆らないこと」を表します。
「セール品の返品、交換は致しかねますのでご了承ください」というのは「気に入らなかった場合でも返品や交換ができないことはもう決まっていることです、そのことを知っておいてください」という意味です。
「ご承知置きください」
「ご承知置きください」は自分よりも目下の人に使う言葉ですが、「今のところこうなっています」「こうなる予定です」という事実だけを表しているため、「一方的な伝達事項」という意味を持ちます。
「ご承知置きください」に返す言葉
目上の人から「ご承知置きください」と文書やメールで告げられた場合は、「承知いたしました」「かしこまりました」などと返します。
「○○の件について承知いたしました」などとすれば、より丁寧ですし「何について承知したのか」ということが明確になります。
また、「了解しました」というのは、目上から目下への言葉ですので、相手が目上の人の場合は使いません。