【間違いやすい】ご多用・ご多忙・お忙しいところの違いと使い分け例文

ご多用・ご多忙・お忙しいところの違いと使い分け例文

先方に用件を伝えるあるいは申し入れる際の前置きや詫び言として、「お忙しいところ申し訳ありませんが」とか、「お忙しいところ恐れ入りますが」と書きます。この書き方がもっとも自然なやさしい言葉遣いだと思われます。

しかし、もう少し硬い言葉遣いのビジネスレターでは、「お忙しい」とは書かずに、漢字熟語を使って「ご多忙のところ恐縮でございますが」などと書くのが一般的です。

また、「ご多忙のところ」に代えて、「ご多忙中」・「ご多忙の折」・「ご多忙のみぎり」などと書くことも出来ます。書簡の雰囲気や自分流の言葉遣いに合わせて自由に選んでください。

「お忙しい」や「ご多忙」は相手への心遣いが込められた言葉です。しかしながら、相手が現実に多忙であるかどうかは問題ではありません。仮に相手の多忙でないことが分かっていたとしても、このように書くことが礼儀となっています。

「ご多忙」と「ご多用」の違い

最近、「ご多忙」とは書かずに「ご多用」と書くケースが見られるようになりました。

「ご多用」は用事がたくさんあって忙しいことであり、意味の上では「ご多忙」と何ら変わりませんが、「忙」と「用」一字の違いが、ちょっとしたニュアンスの違いを生んでいます。

「忙」は、立心偏に「亡」(無くなる、姿が消える)で「忙しくて心を失う」という意味です。また、立心偏に代えて心部(脚)にすると「忘」となり、「心から姿が消えて忘れる」という意味になります。

このような悪い意味を持つ”悪字”の使用を嫌う人が、意外と少なくありません。そこで、「ご多用」と言い換え、“悪字”の使用を避けて良い文字の言葉を使うことは、奥ゆかしい心遣いと言えるでしょう。

ご多用・ご多忙・お忙しいの例文

このプロジェクトが中止された場合、その影響はディベロッパー各社のみならず、数多くの下請企業にまで波及します。ご多用のところ、このようなお願いを致しまして誠に恐縮ではございますが、何卒諸事情をご勘案の上、よろしくご善処頂けますようお願い申し上げます。
従来、会員各社の承認を得た理事会が議案の可否を判断し、定例総会ではその議決に承認を与えるという形式で運用されてまいりました。しかしながら、今回の会議では、以上のように協会の将来に関わる重要議案が多数上程されております。会員各社におかれましては、ご多用とは存じますが、万障繰り合わせてご参加を賜りますよう切にお願い申し上げます。
先日はご多忙の折にお邪魔しまして、申し訳ありませんでした。ご迷惑でなければ明日にでももう一度お伺いして、細かい点を詰めたいのですが、そちらのご都合はいかがでしょうか。ご連絡をお待ちしています。
過日はご多忙中にもかかわらずご親切にご案内くださいまして、誠にありがとうございました。掲載する記事と写真が上がりましたので、早速お届けいたします。何か不都合な内容がございましたら、何なりとお知らせください。直ちに訂正いたしますので。
昨日はお忙しいところを何度も電話致しまして、申し訳ございませんでした。ご丁寧にお教えいただいたお蔭で、企画書の草案が書き上がりましたのでお送りします。内容のチェックをよろしくお願い致します。
絵画展の開催が決まりましたのでお知らせします。いつものギャラリーで、いつものメンバーの新作を中心に展示します。お忙しいかもしれませんが、ご都合の良い日にぜひ一度ご来場ください。須藤様とまたお会いできることを、皆さん楽しみにしています。

「ご多用」を使うべき場面がある

「ご多用」「ご多忙」「お忙しい」は意味が同じなので、相手がよほど言葉に厳しい人でなければ基本的にはどれを使っても問題ありません。

しかし、相手によらず「ご多用」を使うべき場面があります。それは冠婚葬祭です。

特に自分が「招く側」に立つ場合は注意をしましょう。「今日は自分の身内のために、忙しいなか来てくれてありがとうございます」ということを伝える場面が必ずあるでしょう。

その場合は「本日はご多用の中、おいでくださいまして誠にありがとうございます」などの言葉で御礼を伝えます。

理由は先に説明をした「心を亡くす」という漢字の成り立ちである「忙」を避けるためです。結婚式であっても、葬儀であっても「ご多忙」「お忙しい」は場に相応しくない表現と言えます。

「ご多用」「ご多忙」「お忙しい」は目上の人に使える?

「ご多用」「ご多忙」「お忙しい」という言葉は、いずれも尊敬語であるため、目上の人へは当然使うことができますし、同僚や目下の人が相手であっても手紙やメールのマナーとして使うことに問題はありません。

では、これらの意味を自分に対して使うときは何と言えば良いのでしょうか。

「ご多用」「ご多忙」「お忙しい」を自分に使う時

たとえば、取引先の人や上司などから「忙しそうだね」などと言われた場合の答え方です。

基本的に仕事関係の相手へ「暇である」という内容は伝えません。現実がどうであれ「忙しい」という内容を伝える必要があります。これは目の前にいる目上の人よりも、目下である自分が暇であっては失礼にあたるためです。

そんな時は「おかげさまで」という言葉を使って、「あなたのおかげで忙しくさせていただいています」という気持ちを伝えます。「おかげさまで忙しくさせていただいております」などと応えると良いでしょう。

また、相手が仕事関係者以外の場合は「忙しそうだね」という言葉は褒め言葉の一つとして掛けられることが多いので、少し謙遜の気持ちを持って応える必要が出てきます。

「貧乏暇なしでございます」「せわしない毎日で困っております」「時間に追われるばかりでして・・」などの表現が良いでしょう。

さらには、相手を牽制しなければならない状況もあります。

「忙しそうだね」「忙しいんでしょ?」などと問われ、その応えによっては仕事が増える可能性があり、かつ、現状ではその仕事を受けることが難しいという場合は「今これ以上の仕事は受けられない」というニュアンスを伝えなければなりません。

「はい、おかげさまで目の回るような毎日でして」「はい、時間に追われておりまして」などと応えることで「この人には今は引き受けてもらえそうにない」と判断してもらうこともできるでしょう。

もっと具体的な牽制が必要な場合は「はい、ただいま別件で少々立て込んでおります」などを使えば、こちらの状況を理解してもらえる可能性はさらに上がります。