目次
ご多用・ご多忙・お忙しいところの違いと使い分け例文
先方に用件を伝えるあるいは申し入れる際の前置きや詫び言として、「お忙しいところ申し訳ありませんが」とか、「お忙しいところ恐れ入りますが」と書きます。この書き方がもっとも自然なやさしい言葉遣いだと思われます。
しかし、もう少し硬い言葉遣いのビジネスレターでは、「お忙しい」とは書かずに、漢字熟語を使って「ご多忙のところ恐縮でございますが」などと書くのが一般的です。
また、「ご多忙のところ」に代えて、「ご多忙中」・「ご多忙の折」・「ご多忙のみぎり」などと書くことも出来ます。書簡の雰囲気や自分流の言葉遣いに合わせて自由に選んでください。
「ご多忙」と「ご多用」の違い
最近、「ご多忙」とは書かずに「ご多用」と書くケースが見られるようになりました。
「ご多用」は用事がたくさんあって忙しいことであり、意味の上では「ご多忙」と何ら変わりませんが、「忙」と「用」一字の違いが、ちょっとしたニュアンスの違いを生んでいます。
「忙」は、立心偏に「亡」(無くなる、姿が消える)で「忙しくて心を失う」という意味です。また、立心偏に代えて心部(脚)にすると「忘」となり、「心から姿が消えて忘れる」という意味になります。
ご多用・ご多忙・お忙しいの例文
「ご多用」を使うべき場面がある
「ご多用」「ご多忙」「お忙しい」は意味が同じなので、相手がよほど言葉に厳しい人でなければ基本的にはどれを使っても問題ありません。
しかし、相手によらず「ご多用」を使うべき場面があります。それは冠婚葬祭です。
特に自分が「招く側」に立つ場合は注意をしましょう。「今日は自分の身内のために、忙しいなか来てくれてありがとうございます」ということを伝える場面が必ずあるでしょう。
その場合は「本日はご多用の中、おいでくださいまして誠にありがとうございます」などの言葉で御礼を伝えます。
「ご多用」「ご多忙」「お忙しい」は目上の人に使える?
「ご多用」「ご多忙」「お忙しい」という言葉は、いずれも尊敬語であるため、目上の人へは当然使うことができますし、同僚や目下の人が相手であっても手紙やメールのマナーとして使うことに問題はありません。
では、これらの意味を自分に対して使うときは何と言えば良いのでしょうか。
「ご多用」「ご多忙」「お忙しい」を自分に使う時
自分が忙しいという内容を伝えるときは、「ご」「お」をとって以下のように表現します。
- 今月は多用で暇がありません
- 今月は多忙で目が回りそうです
- 今は忙しいので対応できません
「忙しそうだね?」と言われた場合
上司から「忙しそうだね?」と言われた場合、目の前にいる目上の人よりも、目下である自分が暇であっては失礼にあたる状況なら、そのまま「忙しくしている」内容を伝えましょう。
「はい、ただいま少々立て込んでおります」「はい、〇〇の件を納期に間に合わせるため本日は残業させていただきます」
取引先から「忙しそうだね?」と言われた場合、「おかげさまで」という言葉を使って、「あなたのおかげで忙しくさせていただいています」という気持ちを伝えましょう。
「おかげさまで忙しくさせていただいております」
などと応えると良いでしょう。
また、応えによっては仕事が増える可能性がある場合に、現状ではその仕事を受けることが難しいという場合は「今これ以上の仕事は受けられない」というニュアンスを伝えましょう。
「はい、おかげさまで目の回るような毎日でして」「はい、時間に追われておりまして」「はい、ただいま別件で少々立て込んでおります」
などと応えることで、こちらの状況を理解し「この人には今は引き受けてもらえそうにない」と判断してもらえるでしょう。
相手の仕事と関係ない場面で「忙しそうだね?」を「褒め言葉」の一つとして掛けられた場合に、少し謙遜の気持ちで返すには
「貧乏暇なしでございます」「せわしない毎日で困っております」「時間に追われるばかりでして・・」
などの表現が良いでしょう。