〜の折 の意味と使い方・例文
「〜の折」は、時間を指し示す表現として、季節や時節を言う場合と、ある一時点や何らかの機会を言う場合の2通りの使い方があります。なお、この場合の折には送り仮名「り」は必要ありませんので注意してください。
「~の折」の意味
「~の折」という言葉には、2つの意味があります。1つ目は「~の場合」という意味で、状況や場面を想定するときに使います。
2つ目は「~の時」という意味で、その瞬間・その時期を指します。この場合の「時」とは、時間や季節であることが多く、手紙の挨拶文などで使われることが多いようです。
「~の場合」で使われる「~の折」
「~の場合」という意味で、状況や場面を想定して使う「~の折」は、会話や文章の中で使われます。
たとえば、「東京にお越しの折には、ぜひお立ち寄りください」であれば、「東京に来た場合は、東京に来ることがあれば立ち寄ってください」という意味です。
「~の時」で使われる「~の折」
「~の時」という意味で、その瞬間や季節を指して使う「~の折」は、基本的には文章内でしか機能しません。
たとえば「寒さ厳しき折」というと、「寒さが厳しい今・最近・季節」という意味です。口頭であれば「寒い季節ですが」など、他の言葉を使うことになります。
「~の折」の使い方
「~の折」を季節の挨拶とする
「~の折」という言葉で、「その季節」を表す文章上での挨拶にすることができます。基本的には「~の折」にどのような言葉を合わせても、時や季節に合っていれば問題はありません。
しかし、手紙の「~の折」の挨拶は、ある種の定型文にもなっています。月ごとに季節に合った「~の折」がありますので、知っておくと便利です。
1月「寒さ厳しき折」
1月は寒さが厳しいことがほとんどであるため、「寒さ厳しき折」を使います。
2月「余寒厳しき折」
2月は、暦の上では立春となります。しかし実際の2月は、日本全国真冬であることがほとんどです。そのため「余寒(よかん)」という言葉を使います。
3月「早春の折」
3月は暦の上では春ですし、地域によっては芽吹き始めるところもあります。そのため「早春(そうしゅん)」という言葉を「~の折」と組み合わせます。
4月「麗春の折」
4月は春を体感する地域がほとんどであるため、「麗春(れいしゅん)」という言葉を使います。「麗春」とは「麗らかな春」という意味です。
5月「葉桜の折」
5月は桜の花が散り、葉桜になる季節です。そのため「葉桜の折」という言葉を使います。桜は、同じ日本でも咲く時期にずれがありますが、5月にもなれば全国的に葉桜の季節を迎えているので、相手がどの地域に住んでいても問題なく使えます。
6月「梅雨寒の折」
6月といえば梅雨ですが、「梅雨寒(つゆざむ)」とは、梅雨の雨が降りながらもまだ真夏ではなく、日によっては冷えて感じるという意味を持つ言葉です。
7月「暑さ厳しき折」
7月は夏が始まり、これから真夏に向けてどんどん暑さが厳しくなる時期です。そのため「暑さ厳しき折」という言葉を使います。
8月「残暑厳しき折」
日本の8月は、暑さが厳しく残ることも珍しくありませんが、暦の上では夏は7月までです。そのため、8月の暑さは「残暑」と表します。
9月「新秋の折」
9月は秋の風が吹き始める季節です。そのため「新秋(しんしゅう)の折」という言葉を使うことができます。
10月「天候不順の折」
10月は「天候不順の折」を使います。10月は晴天の日も多いですが、雨が降ると急に冷たい風が吹くこともあり、天候が安定しない月でもあるためです。
11月「木枯らしの折」
11月は秋も深まり、冬の一歩手前まで季節が進んでいる時期です。秋の木枯らしが多くなり、寒さを感じることも多くなります。そのため「木枯らしの折」という言葉を使うことができるようになります。
12月「忙月の折」
12月は師走で、みんながそれぞれに忙しくなる月として知られています。そのため「忙月(ぼうつき)の折」が挨拶として使えます。