「のっぴきならない」の意味と例文!のっぴきならない事情とは?

「のっぴきならない」の意味と語源

会話の中で「のっぴきならない」という言葉を聞いたことがある人は多いかもしれません。しかし「のっぴきならない」は、意味を知らないと見当がつけにくい言葉でもあります。

まずは、「のっぴきならない」の意味と語源について解説します。

「のっぴきならない」とはどうにもならない様子

「のっぴきならない」とは「どうしても動きがとれない、どうしてもやらなければならない」という意味です。その人が、どうしても避けられない事情で身動きが取れない様子を表します。

使い方は次の見出しで解説しますが、主に使われるのは以下のような場面です。

  • 参加を断る場面
  • 退出をする場面
  • 断る場面

どうしてもやらなければならないこと、行かなければならないことがあり、その場には居られないということを伝える場面で「のっぴきならない」が使われます。

「のっぴきならない」の語源と漢字は「退き引き」

「のっぴきならない」はひらがなで書かれることが多い言葉です。しかし漢字もあります。

漢字では「退き引きならない」です。

退き引き(のきひき)とは、その場から退いたり、引き上げたりすることを意味します。この退き引きが、変化して「のっぴき」となり、そうせざるを得ないという意味の「ならない」と一緒になって「のっぴきならない」です。

「のっぴきならない」の使い方と例文

次に「のっぴきならない」の使い方を例文と一緒に解説します。

のっぴきならない事情・のっぴきならない用事

「のっぴきならない事情・のっぴきならない用事」とは、何らかの理由で、どうしても都合がつけられないことを表します。

大変申し訳ございませんが、のっぴきならない事情によりお先に失礼をさせていただきます

彼はのっぴきならない事情があり、本日は休みをとっております

今日はどうしても外せない、のっぴきならない用事がありまして…申し訳ございません

のっぴきならない用事と言っていたが、何かあったのだろうか

事情や用事を具体的にはせず、相手に断りを入れる場面で使われるのが「のっぴきならない」です。

「のっぴきならない事情・のっぴきならない用事」には、「どんな事情や何の用事かというところまでは言いませんが、とにかく都合がつけられないのです」という意味が含まれます。

理由を詳細に告げないのは、相手に話すほどでもないこと・時間の都合・相手には言えないこと、などさまざまな理由があります。それらをすべてまとめて「のっぴきならない事情・用事」とします。

のっぴきならない状況

「のっぴきならない状況」とは、その人が置かれている状況で、何かが起こっていることを表します

まだ詳しくはお話しできないのですが、一言で言えば今弊社はのっぴきならない状況です

こののっぴきならない状況で、あなたはなぜそんな呑気なことが言えるのですか

決まりかけていた商談が土壇場で白紙になるなんて、そんなのっぴきならない状況だとはまだ誰も知らない

「のっぴきならない状況」は、その人が置かれている環境で何かの事が起こっており、その影響を受けていることを表す表現です。

「のっぴきならない状況」は、先の「のっぴきならない事情・用事」ととても似ていますが、「のっぴきならない状況」の方が、その影響範囲が広く、自分だけの問題ではないというニュアンスが強くなります。

のっぴきならない関係とは避けられない関係

「のっぴきならない関係」とは、ある人とある人が、深い縁を持った関係であることを避けては説明できない、という意味です。

営業の田中君と、総務の佐藤さんはのっぴきならない関係だと聞いたことがある

みんな誤解していますが、私と田中さんの間には何もありません、ましてやのっぴきならない関係だなんてあり得ません

A社の社長と、うちの部長は学生時代からの親友で、のっぴきならない関係なんだよ

日常生活で「のっぴきならない関係」というと、男女の仲のことを指す場合が多いでしょう。

しかし、「のっぴきならない関係」で表現できるのは、先輩・後輩の関係や信頼関係など、男女の仲以外であることも多いです。

「のっぴきならない」の言い換えに使える類語

次に、「のっぴきならない」の言い換えに使える類義語について解説します。

やんごとなきは「ただ事ではない」

「やんごとなき」とは、ただ事ではない・大変な状況、という意味の言葉です。

実は、やんごとなき事情があり、急で申し訳ありませんが今月いっぱいで退職させてください

私はやんごとなき状況に追い込まれて、実家に帰ることになった

「のっぴきならない」と同じように、その理由を具体的な言葉にはしない場合に使います。基本的な意味は同じです。

その上で、「のっぴきならない」と「やんごとなき」の違いは、言葉の持つ「事情のニュアンス」です。

「のっぴきならない」は、どちらかと言えば、個人的な用件というニュアンスが強く、「やんごとなき」は、自分だけの事情ではない、というニュアンスが含まれやすいでしょう。

よんどころないは「やむを得ない」

「よんどころない」とは、仕方がない・やむを得ない、という意味の言葉です。

今日はよんどころない用事で、私は早退する、後はよろしく頼んだよ

課長なら、今日はよんどころない用事があるとのことで、先ほど帰られました

「のっぴきならない」や「やんごとなき」と同じように、その理由を明確にせず結論だけを伝える場面で使われます。

「よんどころない」には「やむを得ない」という、渋々納得するニュアンスが含まれるので、その点に注目して使い分けても良いでしょう。