間違いやすい「あくまで」の意味と使い方・類語と例文・英語

「あくまで」の意味は3つある

ビジネスシーンや日常会話で良く使われる言葉に「あくまで」があります。「あくまで~」「あくまで~にすぎない」など、何となく使っているかもしれませんが、「あくまで」の本当の意味を知らない人は多いようです。

「あくまで」には3つの意味があります。以下ではそれぞれの意味について解説します。

積極的にやり抜く意思を示す「あくまで」

まず「私はあくまで戦う」などの「あくまで」です。この「あくまで」は、物事に対して非常に積極的で、その物事をやり抜くという強い意志があることを示します。

・彼はあくまでこのピンチを乗り切るつもりだ

・彼女はあくまでこの難関試験に合格しようと頑張っている

・私はあくまでこの困難を乗り越えてみせる

この意味での「あくまで」は、絶対にやり遂げるという意思の強さを表します。その人が物事を最後まで諦めずに、やり抜こうとしている時に使えます。

例外のない様子を示す「あくまで」

次に「あくまで正直な人」などの「あくまで」です。この「あくまで」は、いつどんなときでも例外なくという意味です。

・彼はあくまで優しい人だ

・このスイーツはいつもどんなときもあくまで美味しい

・私はあくまでブレない人間でいたいと思っています

この意味での「あくまで」は、その人や物・物事がどんなときも変わりなくその状態を保つということを表します。どんなときも、いつでもという意味に置き換えるとわかりやすいでしょう。

限定する意味での「あくまで」

最後は「あくまでここだけの話」などの「あくまで」です。この「あくまで」は、人や物・物事が限られた状況でという意味です。

・今回私たちは、あくまで彼の味方という体で話しましょう

あくまでここだけの話にして欲しいのですが、A社はB社との合併を検討しています

・この商品はあくまで子供用ですが、一部の大人にも好評です

この意味での「あくまで」が、もっとも多く使われているようです。特に「あくまでここだけの話」というフレーズは、ビジネスシーンなどで頻繁に使われます

「あくまでも」は「あくまで」の強調

先に解説したように、1つの言葉で3つの意味を持つ「あくまで」という言葉ですが、別の言い方をすることでその意味を強調できます。それが「あくまでも」です。

・彼はあくまでもこのピンチを乗り切るつもりだ

・彼はあくまでも優しい人だ

・今回私たちは、あくまでも彼の味方という体で話しましょう

これらの例文は、先の3つの「あくまで」の例文を「あくまでも」に変えています。

「あくまで」を「あくまでも」と、「も」を付けるだけですが、それぞれのニュアンスが強まっていることが感じられるでしょう。

このように「あくまで」よりも、その意味合いを強く表現したい場合は「あくまでも」とします。

「あくまで」の漢字と語源

以下では「あくまで」の漢字と、言葉の語源について解説します。

「あくまで」の漢字は「飽くまで」

まず「あくまで」には、漢字が充てられています。「あくまで」は、漢字で「飽くまで」です。「あくまで」という言葉は、どの意味で使っても、すべて「飽くまで」と書き換えることができます

「あくまで」の漢字間違いとして多いのは「悪魔で」でしょう。しかし「あくまで」の意味合いや、その語源から考えても「悪魔で」は間違いであることがわかります。

「あくまで」の語源は「飽きるまで」

次に「あくまで」の語源について解説します。言葉の語源は諸説あるものがほとんどであり、「あくまで」も例外ではありません。しかし、もっとも有力な説は「飽きるまで」です。

「あくまで」の3つの意味はそれぞれ違いますが、どれも「飽きるまで」という言葉や意味を充ててみると違和感がないことがわかります。

尚、「あくまで」を文章で書く場合にはひらがなで「あくまで」と書いても良いですし、漢字で「飽くまで」と書いても特に違いはありません。ただし、漢字で書いた方が意味合いは伝わりやすくなるでしょう。

「あくまで」のビジネス用法と例文

次に「あくまで」を使った、良く使われるフレーズとその意味について解説します。

「飽くまでも可能性にすぎない」は限定した仮説

まずは「飽くまでも(あくまでも)可能性に過ぎない」というフレーズです。このフレーズで使われている「あくまでも」は、限定する意味での「あくまで」の強調です。

・これはまだあくまでも可能性に過ぎない、そのため外部に公表するのは待って欲しい

「あくまでも可能性にすぎない」とは、現状・今・この場面で限定した仮説であるという意味です。

ビジネスシーンで頻繁に使われるフレーズで、まだ決定していないことやそうとは言い切れないことを話す場面などで使われます。

「あくまでも参考程度に」はあまりあてにしないで

次に「あくまでも参考程度に」というフレーズです。このフレーズで使われている「あくまでも」は、例外のない様子を表す意味での「あくまで」の強調です。

・これは確かに良く出来た資料ですが、あくまでも参考程度に考えてください

「あくまでも参考程度に」とは、対象となる情報や物がいかなる状況でも「参考程度」にしかならないという意味です。

個人の考え方や、突発的な状況の変化によって、それが参考程度以上のものに思えたとしても、参考以上にしてもらっては困る、とある種の釘を刺すイメージで使えます。

「あくまでもここだけの話」はオフレコ情報

最後に「あくまでもここだけの話」です。このフレーズも日常会話で頻繁に使われます。この「あくまでも」も、「あくまでも参考程度に」と同様、例外のない様子を表します。

田中君ががA社からヘッドハンティングを受けている、というのはあくまでもここだけの話です

「あくまでもここだけの話」は、内緒話や社内でまだオフレコな情報などについて話す場面で使われます。

「あくまでもここだけの話」は、日常会話だけでなくビジネスシーンでも、内緒話の定型句として広く知られています。

「あくまでも」の誤用

「あくまでも」または「あくまで」には、先に解説した4つの意味があります。しかし、その言葉の音から思わぬ誤用をしてしまう人もいるようです。

「あくまでも」と「悪魔」は無関係

日本語で「あくま」と聞くと、悪魔を連想する人は少なくありません。しかし、「あくまでも」と「悪魔」には何の関係もないのです。

「あくまでも」に使われる「あくま」は、語源の項目でもお伝えした通り「飽きる」です。したがって、「悪魔でもそう思う(誰だってそう思うという誤用)」などは誤りですので、注意しましょう。

「あくまで」の言い換えに使える類語と例文

以下では「あくまで」の言い換えに使える類語とその例文について解説します。

「断固・頑として」は必ずやり抜く

まずは「断固(だんこ)」「頑として(がんとして)」です。どちらも「積極的にやり抜く意思を示す「あくまでも」」の言い換えに使えます。

彼は断固このピンチを乗り切るつもりだ

彼女は頑としてこの難関試験に合格しようと頑張っている

私は断固この困難を乗り越えてみせる

「断固」は「どんなことがあっても必ずする、という強い気持ち」を表します。「頑として」は「強い気持ちを持っていて、他人の意見を聞き入れない様子」です。

断固も頑としても、本人が誰にも左右されない強い気持ちを持っている様子を表し、積極的にやり抜く意思を示す「あくまでも」の類語として言い換えに使えます。

「例外なく・どこまでも」は例外なく

「例外なく」「どこまでも」は「例外のない様子を表す「あくまでも」」の言い換えに使えます。

彼はどこまでも優しい人だ

このスイーツはいつもどんなときも例外なく美味しい

私はどこまでもブレない人間でいたいと思っています

「例外なく」は、言葉通り「いつどんなときも例外なく変わらない」という意味です。「どこまでも」は、その人の気持ちや物事の状態をどこまで過去や未来に辿っていっても、ずっと変わらないという様子を表します。

例外なくもどこまでもも、その気持ちや状況が変わらない様子を表し、それだけ揺るがないということを強調する言葉です。

「あくまで」の英語表現

最後に「あくまで」の英語表現について解説します。

「あくまで」は英語で「only」「just」

日本語の「あくまで」は「only」または「just」で表現できます。

It’s just an assumption.(これはあくまでも仮定の話です)

It’s only my opinion.(あくまでも私の意見ですが)

「only」または「just」で表せる「あくまで」は、「単に~に過ぎない」というニュアンスで「あくまで」の意味を伝えます。

「only」と「just」に大きな違いはありませんが、しいて言えば「just」が「あくまで」、「only」は「あくまでも」とやや強調するニュアンスになります。