「耳が痛い」の意味と例文!耳が痛い話とは?

「耳が痛い」の意味

古くから使われている言葉に「耳が痛い」があります。何となく聞いた印象で意味が分かる、という人もいると思いますが、中には「どうして耳が痛いのだろう」と不思議に思う人もいるかもしれません。

まずは「耳が痛い」の意味について解説します。

「耳が痛い」とは指摘されて辛いこと

「耳が痛い」とは、「自分が人から言われて辛いことを言われた」という状態のことです。この「人から言われて辛いこと」とは、悲しい話や辛い体験の話ということではありません。

「自分の悪いところや弱いところ」を、人から指摘され、それを聞いているのが辛いことを「耳が痛い」という言葉で表現します。

ニュアンスで言えば「言われて恥ずかしくなるような自分のダメなところ」「自分でもわかっているから、わざわざ人に言われたくないような、自分でも嫌だなと思っている自分の習性・性格・癖などについての指摘」でしょう。

「耳が痛い」の使い方と例文

以下では、「耳が痛い」の使い方を例文と一緒に解説します。先に解説した「耳が痛いの意味」と併せて理解してみてください。

言われたくないことを言われた場面で使う

「耳が痛い」は、自分が人から言われたくないことを言われた場面で使えます。

昼休みに課長と食堂で会ったばかりに、耳が痛い話ばかりで参ったよ

あなたにそんなこと言われなくてもわかっている、耳が痛いことばかり言うのはやめてくれよ

その話は、私にとっては耳が痛いものでした、なぜならそのミスを誘発したのは私だったからです

「耳が痛い話」は、その人によって異なります。そのため、「具体的にどんな話が耳が痛い話なのか」と決まっているわけではありません。

言った側にはそんなつもりはなくても、言われた側は「耳が痛い」と感じることもある、ということです。

言いたくないことを言う場面でも使える

自分が、相手に改善してほしい性格や習性について指摘する場面でも「耳が痛い」は使えます。

私だってこんなこと言いたくないよ、耳が痛いかもしれないけれど、仕事は仕事なんだからちゃんとやらなきゃ

あなたには耳が痛い話かもしれないが、取引先でのあなたの評判は良いとは言えないよ

言う方だって耳が痛いだろう、とわかって言っているんだよ、それくらい大事なことを言っているんだ

この場合の「耳が痛い」は、言っている自分が耳が痛いわけではなく、「こんなことを言ったら、相手は耳が痛いと感じるだろう」と、相手の気持ちを汲んでいる状態です。

また、相手に指摘をする際の枕詞として「耳が痛いかもしれないが」と、ワンクッション置く役割としても良く使われています。

「耳の痛い」としても使える

「耳が痛い」の元の形は「耳が痛い」です。しかし、会話の中などでは「耳の痛い」と少し変化することもあります。

まったく、耳の痛い話だよ、今期の目標を達成しなければ降格とまで言われたのだから

私が雑な仕事をしている、なんて耳の痛い話をされても、どうすれば良いのかがわからない

耳の痛い忠告を受けた田中君は、翌日から彼なりに変わろうとしているように見えるよ

「耳が痛い」と「耳の痛い」は同じです。特に「が」と「の」の違いがあるわけでもありません。どちらを使っても間違いではありませんし、言っている意味にも違いはありません。

「耳が痛い」と似た言葉

言葉の中には「耳が痛い」のように、体の部位を使った表現が他にもあります。

「胸が痛い」は辛く感じる話や出来事

「胸が痛い」は、聞いただけ・見ただけで、まるで胸が痛くなるような、ショッキングな話や出来事によって受ける衝撃のことです。

私はそのニュースを見て、胸が痛くてたまらなかった

彼の話によって真実を知った私は、自分に悪気がなかったとは言え、胸が痛くなった

人から聞いた話や、自分が見聞きした出来事にショックを受け、その結果「胸が痛くなるような、ショックを受ける状況」を「胸が痛い」と表します。

「耳が早い」は情報を素早く仕入れること

「耳が早い」とは、噂話や情報を素早く仕入れてくる人のことを言います。

君は本当に耳が早いね、そんな情報をいつもどこで仕入れてくるの

耳の早い同僚に聞いたのですが、来期の人事で課長は部長に昇進するそうですよ

どこからともなく情報を聞きつけていて、いつでもどんなことでも周りより一足早く知っているような、情報通のことを「耳が早い人」と表現することもあります。

「耳が痛い」の言い換えに使える類語

以下では、「耳が痛い」と似た意味を持つ類義語について解説します。

図星

「図星(ずぼし)」とは、その人にとって「急所」とも言えるような、突かれたくない核心のことです。

彼に私の短所を指摘された、図星だったので私は思わず下を向いてしまった

そうやって腹を立てるということは、私の言ったことは図星ということでしょ

「耳が痛い」と同じように、人から言われたくないことであり、かつ、その中でもその人にとって最も言われたくないことを「図星」と言います。

例文のように、その指摘をする側・される側のどちらもが「図星」という言葉を使って、その状況を表現できる、という点も「耳が痛い」と同じです。

わかりきったこと

「わかりきったこと」とは、言葉通り「(わざわざ言葉にしなくても)当然わかっていること」です。

わかりきったことを言うようだけど、例の件にはきちんと対処してくれないと困るよ

そんなわかりきったことを何度も言わないでよ、精神的に追い詰められるわ

この「わかりきったこと」が、なぜ「耳が痛い」と似た意味で使われるのか、というと、「わかりきったことにもかかわらず、できていない(やっていない・やろうとしない・改善しない・反省しない、など)」というニュアンスを含んでいるからです。

「こんなわかりきったことを言わせないでほしい」「そんなわかりきったことを言って責めないでほしい」という、双方の心境から「耳が痛い」の類語として使えるでしょう。