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「身に余る」の意味
「身に余る」という言葉は、改まったお礼を伝える場面や、大きな役割を与えられた場面などで使われます。
まずは、基本的な「身に余る」の意味について解説します。
「身に余る」は嬉しさを上回る恐縮
「身に余る」には、「嬉しさや喜びを大きく上回るような、恐縮する気持ち」という意味と、「実力よりも大きな能力を求められること」という意味があります。
「身に余る」の基本的な意味を把握したら、次の「使い方と例文」で具体的な使い方とそれぞれの詳細な意味について確認しましょう。
「身に余る」の使い方と例文
以下では「身に余る」の使い方を、それぞれの意味に分けてご紹介します。
「身に余る」を相手からの気持ちに使う場合
まずは、「身に余る」の意味のひとつである「嬉しさや喜びを大きく上回るような、恐縮する気持ち」です。これは、相手から受けた「気持ち」に対して用いられます。
この場合の「身に余る」は、「身余る〇〇」という形で使われることが多いです。
- 身に余るお心遣い
→相手からの気遣いが嬉しく、それ以上に気遣ってもらったことに恐縮している - 身に余る気持ち
→相手の気持ちがありがたく、それ以上にその気持ちを向けてくれたことに恐縮する - 身に余るお言葉
→相手からかけられた言葉に感謝し、それ以上に言葉をかけてくれたことに恐縮する - 身に余る贈り物
→相手から贈り物の形として気持ちが届き、嬉しさや恐縮の気持ちを持つ
この度は結婚のお祝いをいただき、誠にありがとうございました 身に余るお心遣いに恐縮いたしております
社長からは、初めての昇進を前に、身に余るお言葉を賜りました ご期待に添えるよう邁進いたします
妻の出産に際し、営業部の皆様からは身に余る贈り物をいただきました 心よりお礼申し上げます
例文のように、自分へ気持ちを向けてくれた相手へ、恐縮をしながらもお礼を伝える場面で「身に余る」が使われています。
「身に余る」を与えられたものへの喜びを表す場合
次に、「身に余る」のもうひとつの意味として、「与えられたものの大きさに戸惑いながらも喜び感謝する」というものがあります。
この場合の「身に余る」も、「身に余る〇〇」という形で表現します。
- 身に余る光栄
→とても名誉なものをもらい、その栄光に戸惑いながらも喜び感謝する - 身に余る役職
→昇進などで、大きなポストに就くことになり、喜びとともに戸惑う - 身に余る待遇
→これまでにない好待遇を受けることになり、戸惑いながらも感謝する
私のようなものが、社長賞をいただけるとは、身に余る光栄にございます
本部長という、身に余る役職ではありますが、精一杯努めさせていただきます
このような身に余る待遇をご用意いただき、ただただ恐縮いたしております
この意味での「身に余る」は、辞令の際や入社時など、何かしらの節目で使うことが多いでしょう。
「身に余る」の言い換えに使える類語
以下では、「身に余る」と似た意味を持つ類義語について解説します。
身の丈に合わない
「身の丈(みのたけ)に合わない」とは、その人の実力に合わない、という意味です。
新入社員の彼に、プロジェクトリーダーとは、なぜそんな身の丈に合わない決定をしたのか
まだまだ未熟な私に、ブランド品のバッグなど身の丈に合わない、と母に叱られました
「身の丈」とは、現代の言葉で言えば「身長」です。身長に合わないものは、その人に相応しくない、という意味で「身の丈に合わない」と言っていたのが語源と言われています。
ただし「身の丈に合わない」は「身に余る」のような、感激や恐縮のニュアンスは含まれません。
どちらかと言えば、「身の丈に合わないため、辞退します」「身の丈に合わないことはやめなさい」など、例文と同様にネガティブな意味で使われる言葉です。
分不相応(ぶんふそうおう)
「分不相応」も、「身の丈に合わない」と似たニュアンスを持つ言葉です。「その人の身分に合っていない」という意味を持っています。
娘はまだ15歳です、その娘にお小遣いで月に10万円だなんてそんな分不相応なことはできません
彼は自分では分不相応と言っているが、周囲は彼ならきっとできると言っているよ
「分不相応」も、やはりネガティブな意味で使われることがほとんどで、「身に余る」のような感激や恐縮の気持ちは含まれません。
「身に余る」の英語表現
最後に「身に余る」の英語表現について解説します。
「身に余る」は英語で「Beyond one’s means」
日本語の「身に余る」は、英語の「Beyond one’s means」で表します。
This house is beyond my means.(私には身に余るような家だ)
「Beyond one’s means」は直訳すると、「その人の取れる手段を超えている」となります。これを自然な日本語に訳すと、「その人にとって身に余る」となり、「身に余る」の英語表現として使えるのです。