「顕在化」の意味と例文!「潜在化」との違いとは?

「顕在化」の意味と読み方

「顕在化」は、書籍の中やビジネスシーンなどでも良く見聞きする言葉です。しかし、漢字の印象から少し難しい言葉のように感じる人も多いのではないでしょうか。

まずは、「顕在化」の意味と読み方について解説します。

「顕在化」とは形になること

「顕在化」とは、それまで見えなかった物や事柄が形に現れて存在することです。

問題の解消には、問題点の顕在化が欠かせない

顕在化の方法はさまざまありますが、私は社員からの匿名アンケートを提案します

「顕在」とは「形にして現れる」という意味の言葉です。それまで潜んでいた事実や、明確でなかった問題点などが、言葉や文字・表や物質など具体的な形へと変化することを「顕在化」と言います。

一般的に使われるイメージであれば「見えなかったものが形になることが顕在化」と思っておいて良いでしょう。

「顕在化」の読み方は「けんざいか」

「顕在化」は「けんざいか」と読みます。「顕」は顕微鏡の顕で、肉眼では見えないものを見るという意味があります。

「在」は、存在という言葉があるように、そこに現れるという意味です。

「化」は、その物が変化するという意味があり、「顕在化」は見えないものが形となること、という意味に繋がります。

「顕在化」の使い方と例文

次に「顕在化」の使い方を例文と一緒に解説します。

「顕在化」は悪い意味で使われることが多い

「顕在化」という言葉は、一般的にあまり良くない意味で使われることが多いです。

今回の件で、部署が抱える多くの問題が顕在化した

社内での不正が顕在化したことによって、業務の割り振りが見直されることになった

例文のように、良くない要因によって、一見良くないと思えることが形になる、という場面で「顕在化」が使われます

しかし、この「良くない意味・悪い意味」というのは、あくまでも「顕在化したものの発端となったこと」についてであり、形になったものが必ずしも悪いものである、という意味ではありません。

良い意味で「顕在化」を使うこともできる

先にお伝えした通り「顕在化」は良くない要因によって形になったものについて使われることが多い言葉です。しかし、「顕在化」を良い意味として使うこともできます。

今日の話し合いをきっかけに、各自の希望が顕在化し、有意義な意見を交わすことができた

彼女は趣味を見つけてからとても明るくなり、コミュニケーション能力が顕在化してきた

例文を見てみると、どちらも「顕在化」がポジティブな意味で使われていることがわかるでしょう。

しかし、この例文の「顕在化」もその背景を考えると、前項で解説したような良くない要因がきっかけとなっていることが読み取れるはずです。

上段の例文であれば、何らかの問題があったから話し合い(良くない要因)をして、各自の希望が顕在化した(良い結果)と考えられます。そうすると「顕在化」という言葉が良い意味としても使えるということがわかりるので

「顕在化する」とは何かが明るみに出ること

顕在化は「する」と組み合わせて、「顕在化する」という使い方をすることがあります。この「顕在化する」とは、何かこれまで潜んでいたものが明るみに出るということです。

今回の件で、A社がこれまで隠し続けて来た事実が顕在化することは避けられない

彼の活躍によって、社内の悪しき習慣が顕在化することとなった

何かのきっかけ、あるいは誰かの働きかけによって、それまで隠されていたことや、故意にではないにしてもひっそりと潜むようにして伏せて来られた事柄などが、表に出てくる様子が「顕在化する」です。

簡単な言葉に言い換えるとすれば、バレる、日の下にさらされる、などでしょう。

いずれにしても、その事実が表に出ない方が都合が良かった人や団体にとって、「顕在化する」のは歓迎できないことです。

「顕在化させる」とは何かを露呈させること

「顕在化する」は、誰か・どこかの影響でその物事が表に出てくることでした。一方、「顕在化させる」とは、積極的な力を加えて、何らかの物事を表に引き出すことです。

私はこの不正を、何としても顕在化させようと、あらゆる手段で手を尽くして来た

彼らは、社を救うために、社の後ろ暗い部分をあえて顕在化させることにした

下段の例文のように、自分以外の人が顕在化に向けて働きかけることも「顕在化させる」と表すことができます。

「顕在化する」と同じように、やはり何かを表に出そう、明らかにしよう、とするのが「顕在化させる」です。

 

「顕在化」の類語と対義語(反対語)

次に「顕在化」と似た意味を持つ類義語と、反対の意味を持つ対義語について解説します。

「顕在化」の類義語は「表面化・露呈・可視化・具現化・表沙汰」

「顕在化」の言い換えに使える類語はたくさんあります。

表面化

「表面化」とは、文字通り何かの物事や真実が表に出てくる様子を意味します。それまで水面下にあった事が、なにかのきっかけで人に認知されることが「表面化」です。

露呈

「露呈(ろてい)」とは、隠されていたものが明らかになることを意味します。「露」には「あらわになる」という意味があり、「呈」は「見せる」という意味です。

つまり、隠されていたものや事柄があらわになって、人目にさらされる様子を指します。

可視化(見える化)

「可視化(かしか)」とは、目で見てわかる形にすることを意味します。「可視」とは「視(み)ることが可能」という意味です。その見える形にすることから、可視化は「見える化」とも言います。

具現化

「具現化(ぐげんか)」とは、大まかなものを、具体的な形にすることを意味します。頭の中にあるアイデアやイメージを、具体的な物の形にすることです。

「具(体的)にして現(存)させること」で、「具現化」です。

表沙汰

「表沙汰(おもてざた)」とは、それまで陰に隠れていたものを表に出して、明らかにすることです。「物事が表沙汰になる」などと使い、意図的に隠されていたものが露呈する、というニュアンスで使われます。

「表沙汰」はあまり良い意味で使われることがありません。「議員の汚職が表沙汰になった」など、悪事がバレるという意味で使われることがほとんどです。

今回の告発で、社内の不正が表面化した

彼の言っていることは矛盾しており、調査によって全てが嘘であったことが露呈した

A社の業績がV字回復した裏には、あらゆる物事を可視化する、という策があった

田中さんが、それまで自分の中にあった構想を具現化したことで、大変画期的な商品の誕生につながった

B社が政治家へ行っていた政治献金のことが表沙汰となり、マスコミは大騒ぎだ

どの類語も、人の目に触れる・人に認知される、という意味を持っています。それぞれ言葉にニュアンスの違いはありますが、「何かが形となって現れる」という、ベースの意味は同じです。

「顕在化」の対義語は「潜在化」

「顕在化」と反対の意味を持つのは「潜在化(せんざいか)」です。「潜在化」とは、表面に出ない、という意味の言葉です。

このことを知っているのは限られた数人だけであるため、真実は潜在化したまま何年も経過すると思われる

彼女は事を潜在化させるために、あちこちへ根回しをして回っているようだ

「潜在化」の「潜在」は潜在意識などにも使われている言葉です。人が意識していない、あるいはその存在を知らない、という意味を持っています。

「潜在化」と「化」がつくことで、知られないようにする・表に出ないようにする、という意味になり、内容や状況によっては「隠していること」という意味にもとることができます。

いずれにしても、「形になる」という意味の「顕在化」とは反対の意味を持つ言葉です。