まちがいやすい「協力」の意味と使い方・類語と例文・英語

「協力」の意味と使い方

まずは「協力」の意味と使い方について解説します。

「協力」とは力をあわせること

「協力」とは、複数人が力をあわせて物事にあたることです。日常生活の中やビジネスシーンでも頻繁に耳にする言葉のひとつではないでしょうか。

みんなで協力して、このプロジェクトを成功させよう

皆様のご協力なしに、成功はあり得ません

例文のような「協力」を使った会話は頻繁に行われています。複数人がひとつのことを目指して、力を合せるときにもっとも良く使われる言葉が「協力」です。

協力会社とは委託先のこと

ビジネスシーンでよく耳にする言葉に「協力会社」があります。「協力会社」とは、業務を委託している「委託先企業」のことです。

この部品については、協力会社の方で製造を進める予定です

協力会社を増やすことは、可能性を広げる反面、リスクも増えるという考え方もあるだろう

企業では業務の一部を外部に委託することがよくあります。外部委託は「アウトソーシング」とも言いますが、そのアウトソーシング先が「協力会社」です。

委託先が「協力会社」と言われるのは、自社の業務を完了するために必要な仕事を請け負ってくれる、つまり協力をしてくれる会社であるためと考えられます。

協力的とは協力をする姿勢が見られること

「協力的」とは、相手が協力する姿勢を見せる様子を指します。

彼女はプロジェクトの成功のために、いつも協力的に動いてくれている

私は部長が部下の業務に協力的である様子を見て、この部署で頑張ってみようと思いました

複数人が力を合せることを「協力」と言いますが、それに「的」が付くと、その人が協力をしようとしている積極的な姿勢を表します。これは、あくまでも傍目から見た姿勢のことです。

その人が「協力をする・協力をしている」と言葉にすれば、それは「協力的」というよりも「協力をしてくれる人・協力してくれている人」となります。

協力者とは協力をしてくれる人

「協力者」とは、実際に協力をしてくれる人、もしくはこれから協力をしてくれる人のことです。

今回の件には、協力者が必要と思い、経理部の田中さんに話を通しておきました

部長には多くの協力者がいるのだから、次期社長争いでは専務も油断できないのではないかと思う

「協力者」は仲間やパートナー、共同作業者などさまざまな言葉に言い換えることができます。

「協力者」の定義は、具体的に何をするかということではなく、協力者を必要とする人にとって利になること、もしくは利を発生させるための手伝いをする人です。

協力を仰ぐとは目上の人に協力をお願いすること

「協力を仰ぐ(あおぐ)」とは、自分や自分たちに協力してくれるよう、尊敬する相手に依頼することです。

課長に協力を仰いだのは、課長のお力を信じてのことです

この件については、A社の鈴木さんにも協力を仰ぐつもりです

「協力をしてもらえるようお願いする」と言い換えることもできますが、「協力を仰ぐ」という言葉がひとつのフレーズとして定着しているため、特にビジネスシーンでは「協力をお願いする」よりも「協力を仰ぐ」が頻繁に使われます。

「仰ぐ」には、「目上の人に依頼をする」という意味の他にも、「上を見る・人を敬う」などの意味もあります。

しかし「虚力を」と一緒に使う場合は「尊敬する人・目上の人へ物事の指示や援助を求める」という意味で、協力をお願いする姿勢となります。

「協力」の言い換えに使える類語

次に、「協力」の類語について解説します。

「提携」は互いに力をあわせること

「提携」は「ていけい」と読みます。「提携」とは、企業同士が共同して業務を行うことです。

うちの会社はA社と提携して以来、かなり調子が良い

この件は、提携先の企業にも伝えてください

「提携」は、企業同士がお互いに協力し合うことを約束する契約です。お互いが協力することをあらかじめ取り決めるため、「協力」の類語として使うことができます。

ちなみに、提携した企業のことは「提携先」「提携企業」「提携先企業」「協力会社」など、さまざまな呼び方で表します。

「協同」は心と力をあわせて助け合うこと

「協同」とは、複数人が力を合せて物事に取り組むことです。「協力」との違いは、「協同」にはお互いが心と力をあわせて助け合う、という要素が含まれていることでしょう。

今回のプロジェクトは、全社員が協同して取り組むことが成功の条件だろう

弊社と御社は一蓮托生、協同して積極的に取り組みましょう

「協力」は「力を合せる」という意味に留まりますが、「協同」は力だけでなく心もあわせて助け合う、という要素が含まれています。「協力」では表せない、内面的な協力も「協同」であれば表せるということです。

「協同」には「共同」「協働」など同じ音を持った言葉があります。「共同」は「同じ条件・環境で関係する」、「協働」は「協力して働く」という意味です。

「協力」の尊敬語と謙譲語

次に、「協力」の尊敬語と謙譲語について解説します。

「協力」の尊敬語は「ご協力」「お力添え」

「協力」を目上の人に向けて使いたい場合は「ご協力」または「お力添え」などを使います。

この件については、社長のご協力が欠かせません

○○様のお力添えがあったからこそ、今回の件は成功しました

「ご協力」は「協力」に「ご」を付けた丁寧語です。目上の人に向けて使っても問題ありません。「お力添え」は「ご協力」よりも言葉のニュアンスがさらに丁寧で、改まったお願いやお礼の場面で使われます。

「お力添え」と似た言葉に「ご尽力」がありますが、「尽力」には「力が尽きるほど」という意味があります。そのため、目上の人に「ご尽力」を向けると、その人の力が尽きてしまった、という意味になり失礼なことがあります。

「協力」の謙譲語は「お手伝い」「尽力」

自分や自分の身内が「協力」をした場合は、謙譲語の「お手伝い」「尽力」などを使います。

ささやかながら、お手伝いができたのであれば幸いです

○○様のご依頼であれば、よろこんで尽力いたします

「お手伝い」は、自分が相手に協力したことを謙遜する言葉です。その協力が大きなものであっても、敢えて「お手伝い」という軽い言葉を使うことで、謙譲語として機能させることができます。

「尽力」は、相手のために自分の力が尽きるほど努力をする、という意味です。そのため、ささいな協力については「尽力」は使いません。

ある程度の責任や働きが必要な協力を依頼された場面などで「尽力」を使うと、謙譲語としての役割をします。

「協力」の英語表現

最後に「協力」の英語表現について解説します。

「協力」は英語で「Cooperation」

「協力」を英語で表現する場合は「Cooperation」を使います。「Cooperation」とは「協力」を意味する名詞です。

He cooperated on the project.(彼はそのプロジェクトに協力をした)

I appreciate your cooperation.(ご協力に感謝します)

他にも「work together」など、単語ではなく、熟語で「協力」を伝える方法もあります。