「来訪」の意味と類語・対義語とお礼メール例文

「来訪」の意味

まずは「来訪」の意味について解説します。

来訪とは「人が来ること」

「来訪」は「らいほう」と読みます。意味は「人が来ること」です。「来」は来る、「訪」は訪れる(相手がやって来る)を意味します。

今日はA社の田中様が、午後2時に自社へ来訪されます

昨日来訪されたのは、次期の契約が決まっているB社の方でした

相手のところへ行くことを「訪問」と言うように、相手が来ることを熟語にしたのが「来訪」です。「〇〇様が来る」という言い方よりもビジネス感があり、丁寧な言葉として使えます。

「来訪」は主にビジネスシーンで使われ、来訪するのは社外の人です。社内の人が来ることを、自社社員が「来訪」と言うことはありません。

屋外での待ち合わせに来ることも「来訪」

「来訪」は、自社に誰かが来ること以外にも使います。それは、屋外で社外の人と待ち合わせをして、その人が待ち合わせ場所に来ることです。

A社の鈴木様と3時に渋谷駅前で待ち合わせをし、鈴木様が来訪されたのは2時55分頃でした

明日の待ち合わせは、11時に自社1階のロビーです、来訪されたら受付からお電話をくださるとのことでした

「来訪」は「相手が来る」という意味ですので、来る場所がどこであっても使えます。

待ち合わせ場所以外であっても、相手が来れば「来訪」です。たとえば「出張先で偶然A社の田中様とお会いし、その後私が宿泊したホテルに来訪くださいました」などとも使えます。

 

 

 

「来訪」の敬語表現の使い方

次に「来訪」の敬語表現について解説します。

来訪する側は「伺う」

「来訪」は「相手が来る」なので、自分が向かう場合(自分が来訪する側)は、「伺う(うかがう)」を使います。

それでは明日10時に御社へ伺います(先方にとっては「明日10時にこちらへ来訪される」)

先日私が御社へ伺った際に受け取りました(先方にとっては「先日来訪された際にお渡しした」)

「来る・行く」は敬語にすると間違いやすいものです。「来訪」は自分が迎える側である場合にしか使わないので、自分が来訪する側になった場合は「伺う」を使うようにしましょう。

来訪される側は「ご来訪いただく・いらっしゃる」

相手が来るのを迎える側が、来る相手に「来訪してもらうこと」を伝える場合は「ご来訪いただく」「いらっしゃる」などを使います。

明日、ご来訪いただけるとのことですね、かしこまりました、お待ちいたしております

それでは明日、いらっしゃるのを楽しみにお待ちしております

「来訪」だけでもビジネス感のある丁寧な言葉ですが、来訪する本人へ向ける場合は「ご来訪」と「ご」をつけてより丁寧にした方が良いでしょう。また、「来訪」は言葉として少し固い印象もあるため、少し柔らかい言葉で伝えたいのなら「いらっしゃる」が使えます。

来訪してくれる人のことは「来訪者・ご来訪者様」

実際に「来訪」をしてくれる人のことは「来訪者」または「ご来訪者様」と言います。「来訪者」は、来訪する本人がいないところで使う言葉で、「ご来訪者(様)」は来訪する本人へも向けられる言葉です。

明日の来訪者は全部で20名です

それではご来訪者の皆はこちらへお集りください

「来訪」に限らず、ビジネス用語には「本人に向けて使う言葉と、本人がいないところだけで使う言葉」があります。「食事・お食事」「顧客・お客様」などと同じです。「来訪者・ご来訪者(様)」も相手と場所によって使い分けるようにしましょう。

「来訪」のお礼メール例文

ビジネスシーンでは、お客様や取引先をご招待した後、来てくれたことへのお礼メールを送ることがあります。以下は来訪してくださった方へのお礼メールの例文です。文章内でも「来訪」という言葉が使われていますので、参考にしてください。

株式会社田中商事
商品企画部
鈴木太郎様

平素より大変お世話になっております。
佐藤サービス株式会社の高橋でございます。

先日は弊社の新商品発表会にご来訪いただき、誠にありがとうございました。
お忙しい中、お時間を割いていただきましたこと、心より感謝申し上げます。

当日に鈴木様よりいただいたご感想については、大変貴重なご意見として社内で共有させていただきました。
今後とも変わらぬお付き合いを賜りたく、お願い申し上げます。

取り急ぎお礼までお伝えしたく、ご連絡いたしました。
誠にありがとうございました。

佐藤サービス株式会社
営業部 高橋次郎

「来訪」の類語と対義語

次に「来訪」の言い換えに使える類語と、反対の意味を持つ対義語について解説します。

来訪の類義語は「来社・来宅・来場」など

「来訪」の類語は「来社・来宅・来場」などです。これらは、相手が実際に来る場所によって使い分けます

先日は、ご来社いただき誠にありがとうございました

それでは、ご足労をおかけしますがご来宅ください

当日は、ご来場されましたら、係の者にお申し付けください

「来社(らいしゃ)」は会社に来てもらうことです。自社へ相手が来る場合に「ご来社」と言います。「ご来宅」とは自宅に来てもらうことです。同じように「ご来場」は会場に来てもらうことを意味しています。

相手が来る場所を気にせず使えるのは「ご来訪」ですが、「来社・来宅・来場」は場所によってきちんと使い分けるようにしましょう。

来訪の対義語は「訪問・往訪」など

「来訪」と反対の意味を持つのは「訪問・往訪(おうほう)」などです。「訪問」は、自分が相手をたずねて行くことです。「往訪」とは、訪問をすることを意味する熟語です。

今日は14時にA社の田中様を訪問して、そのままB社の佐藤様のところへ向かいます

先日私は、商品の使い方の説明をしに、A社を往訪いたしました

「訪問」は日常でも比較的頻繁に見聞きするのではないでしょうか。自分が相手のところに行くことを「訪問」といいます。

「往訪」の「往」には「行く」という意味があります。自分が相手のところへ行く・訪れる、という意味で「往訪」です。この「往訪」は、自分が行くことについてしか使いません。自分以外の誰かが、誰かのところへ行くことは「訪問」を使います。

「往訪」の主語は必ず自分になる、という点だけ間違わないようにしましょう。