「補填」の意味と例文!補償・補完との違いとは?

 

「補填」の意味と読み方

まずは「補填」の意味と読み方について解説します。

「補填」とは

「補填」とは、足りない部分を補充することです。

彼は、損失金を補填するために金策をしている

あの店は、人員不足を補填するために、求人を出していると聞いた

A証券会社は、禁じられている損失補填を行い、処分を受けることになった

「補填」は、主にお金や人の不足について使います。お金や人が足りない部分を埋める行為そのものが「補填」です。

また「損失補填」という言葉は、証券取引の場で使われるフレーズで、単に損失を補填するという意味に留まりません。

顧客が出した損失を証券会社が埋める行為が「損失補填」であり、この行為は禁じられています(証券会社のミスにより顧客が損失を被った場合は認められる)。

「補填」の漢字の読み方は「ほてん」

「補填」は「ほてん」と読みます。「填」は、埋める・ふさぐ、という意味の漢字です。この「填」が表す、埋める・ふさぐという行為は、空洞や隙間について使われます

お金や人が足りず、ぽっかりと空いている穴や、できてしまった隙間を埋める、というイメージそのものが「補填」、と考えると覚えやすいかもしれません。

「補填」の使い方と例文

次に「補填」の使い方を例文と一緒に解説します。

「補填」は「する・しない」と一緒に使う

「補填」は人や団体が行う行為です。そのため「する」または「しない」と一緒に使います

私は自分のせいで出た金銭の不足を補填しないばかりか、そのまま投げ出して失踪するような真似だけはしない

あの企業は顧客の損失を全て補填したことがあり、顧客から大きな信頼を得ている

目上の人へは「補填させていただく」も

「補填」は名詞であるため、目上の人へ使っても何ら問題はありません。ただし、前後の言葉は敬語にする必要があります。

今回の不足については、もちろん補填を致します

人員の補填をさせていただく上で、御社にもお願いしたいことがございます

「補填」を目上の人へ使う場合の多くは「補填を致します」または、「補填をさせていただく」という表現になるでしょう。

「致す」「させていただく」はいずれも自分の行為を表すものです。敬語としてより正確なのは「致す」ですが、一般的な会話でよく使われる「~させていただく」を使っても、現代では誤りとはされていません。

 

「補填」と似た言葉一覧

「補填」には似た言葉がたくさんあります。以下に一覧でそれぞれの意味と「補填」との違いについて確認しておきましょう。

補償(ほしょう)

「補償」には「つぐなう」という意味があります。人や企業などが、他の人に与えた損害を金銭などで補うことが「補償」です。

「補填」との違いは、埋める(補填)ことと、償う(補償)です。「補償」は、相手に与えた損害の責任が補償をする側にあり、つぐないの意味で金銭を補う、という意味があります。

「補填」は単に不足した金銭や人員を埋めるだけで、つぐないの意味はありません。

補完(ほかん)

「補完」とは、足りない点を補って完全にすることです。「補完」は、何らかの理由で欠けている部分を、意識てきに補う行為を指します。

「補填」との違いは、「補完」が対象が金銭や人員よりも、物についても使われることです。物の一部が欠けていたり、足りていなかったりする場合に「補完」をして、完全体にする、とイメージすると良いでしょう。

補充(ほじゅう)

「補充」とは、補って不足を満たすことです。日常でもよく使われる言葉で、単純に「足りない部分を満たす」と考えて問題ありません。主には人員や物について使われます。

「補填」との違いは、「補充」は金銭についてはあまり使わない、という点です。「補充」を金銭について使っても間違いではありませんが、金銭の場合は「補填」の方が無難でしょう。

充填(じゅうてん)

「充填」とは、ビンや缶、ボトルなどの容器に内容物を詰める作業のことです。ビンなど、物理的に空いている容器に、中身を入れて満たすことを「充填」と言います。

「補填」との違いは、使う対象が金銭や人員ではないことと、内容物で物理的に空いた部分を埋めるという点です。

 

「補填」の言い換えに使える類語

以下では「補填」と似た意味を持つ類義語について解説します。

填補(てんぽ)

「填補」とは、物の不足や欠損を補うことです。足りていない部分を埋める、という意味で「補填」と同じ意味を持っています。

私の店では、顧客の損失はその都度填補するようにしています

彼は従業員の退職に備えて、人員の填補に取り組んでいる

「填補」は、「補填」の前後を入れ替えただけの言葉です。意味も「補填」と同じであるため、どちらを使っても問題ありません。

ただし「填補」は「店舗」など、同音異義の言葉と勘違いをされやすいため、特に理由がなければ「補填」を使った方が無難かもしれません。

カバー

「補填」を馴染みのある表現にしたい場合は「カバー」が使えます。「カバー」は英語ですが、日常でも広く認識されている言葉です。「補填」と同じように、補うという意味があります。

損失をカバーするためには、新しい取り組みが必要だろう

人員不足をカバーしたいのなら、まずは離職率を下げるよう努力しなければならない

「補填」は、金銭や人員を補うという意味に限定されますが、「カバー」は補うという点さえ合っていれば広い場面で使えます。

ただし「カバー」はあくまでも日常の会話において使われる、厳密な英語表現ではありません。文章や公式の場での発言には「補填」を使った方が良いでしょう。