「輩出」の意味と例文!「排出」との違いは?

 

「輩出」の意味とは

「輩出」とは優秀な人物が世に出ること

「排出」とは、次から次に多くの優秀な人材が世に出ることです。自社や自分の取り組みによって、優秀な人物が多く育成された、という意味で使います。

A大学は、過去に政治家や研究者などを輩出していると聞いた

あの塾は東大合学者を輩出していることで有名だそうだ

優秀な人材を輩出することこそが、業界からの信頼を得る近道だと考えている

「輩出」は、単に「出す」または「たくさん出す」という意味ではないことを抑えておきましょう。

「輩出」の誤用に注意

「輩出」は、単に優秀な人材を世に出すことだけではなく、「次々と多くの(優秀な人材を世に出す)」という点まで含まれています。そのため、一人や数人の優秀な人材が世に出ても「輩出」とは言えません

一人や少数人の優秀な人材が世に出された場合は「〇〇出身」など、別の表現を使うようにしましょう。

「排出」とはたまったものを出すこと

「輩出」と同じ「はいしゅつ」という読みをする漢字に「排出」があります。「出」という同じ文字が使われていることもあって、間違いやすいかもしれません。

「排出」とは、そこにたまっているものを出すという意味の言葉です。「輩出」にはたまったものを出すという意味がなく、まったく別の言葉です。

ダムから排出された水は勢いよく川へ流れだした

彼女は倉庫から排出された廃棄物の側にいた

袋や箱、または建物など、何かしら物をためておけるところから、その物が出される状態であれば「排出」を使うことができます。

 

「輩出」の使い方と例文

次に「輩出」の具体的な使い方を例文と一緒に解説します。

団体が過去の功績を伝えたい場面で使う

学校や予備校、または企業などでは、顧客やクライアントから信用してもらうために、「これまでに自分の学校(会社)は、こんなに素晴らしい人材を育てて世に出した」と、過去の功績を言葉にすることがあります。

この場合によく使われるのが「輩出」です。

当校はこれまで多くの科学者を輩出して参りました

御社から独立した方は皆さん成功されていると聞いています、どうすればそのような人材を輩出できるのでしょうか

「輩出」は「した・している・する・される・された」など、する・しないと一緒に使われます。「輩出」には「多くの人材を」という意味も含まれているため、本来であれば「多くの・たくさんの」という表現は不要です。

しかし、実際の会話では言葉のリズムとして「多くの〇〇を輩出した」などとされることが多いでしょう。「多くの・たくさんの」という言葉を付け足しても間違いというわけではありません。

目上の人との会話でも「輩出」は使える

目上の人と話す場合でも、「輩出」という言葉は使えます。

貴校はこれまでにも難関校合格者を輩出されていますが、どのような指導をされているのでしょうか

貴社が輩出なさった経営者は、皆さん大きな功績を残されていますね

「輩出」は名詞であるため、相手を選ばずに使えます。「輩出」の前後の言葉を敬語にすれば問題ありません。「輩出」は「する・した」で表すため、敬語にすると「される・なさる」などが適切でしょう。

話す相手が、実際に「輩出」をした団体の人であっても「輩出」という表現を変える必要はありません。

「輩出」の類語と対義語

次に「輩出」との類義語と対義語について解説します。

「輩出」の類義語は「世に出す」

「輩出」と似た意味を持つ言葉に「世に出す」があります。「世に出す」とは、その学校や団体から人を巣立たせることです。「世の中に出す」という意味で「世に出す」と言います。

あの学校は多くの優秀な生徒を世に出していると評判だ

御社は有能な経営者を数多く世に出されていますね、何か秘訣があるのですか

「世に出す」には、「輩出」のように「多くの優秀な」という意味が含まれていません。そのため、その団体から出た優秀・有能な人材がたった一人であっても「世に出す」は使えます。この点が「輩出」との違いです。

「世に出す」の他にも「世に送り出す」「巣立たせる」など、他の表現を使うこともできます。いずれにしても、「この場所から離れる」という意味の言葉を使うことで、「輩出」と同じ状況が伝えられます。

「輩出」の対義語は「迎える」

「輩出」は、団体から外に人材を送ることです。そのため、反対の意味を持つ言葉は「迎える」となります。

我が校は、今年大変優秀な生徒を迎えることができました

弊社は、この度高度技術の専門家を社員として迎えることになりました

「迎える」は、日常でもよく使われる言葉です。「迎える」とは「来たものを受け入れる」という意味があり、「(多くの優秀な人材を)外に出す」という意味の「輩出」とは反対の意味を持っています。

ただし、「迎える」が使われる範囲は大変広く、人材に限った言葉ではありません。「輩出」の対義語として機能させたい場合は、「迎える」の前後に状況やその人材についての説明が必要となるでしょう。