「あいにく」の意味と例文!あいにくの雨とは?

「あいにく」の意味と漢字

「あいにく」は、人に何かを断る場面でよく使われる言葉です。

まずは、「あいにく」の意味と漢字について解説します。

「あいにく」とは都合が悪い様子

「あいにく」とは、「肝心なところで、物事の進行や成就を妨げるような事態が起こってしまう様子」を表します。

本日、部長の田中はあいにく外出をしております

今日はあいにく社員が出払っております、戻り次第こちらからご連絡いたします

大変申し訳ございませんが、その商品はあいにく生産が終了いたしております

「あいにく」が使われるのは、「あいにく」を使う側にとって、何らかの都合が悪い場面です。都合が悪いことにより、相手の要望に添えないことを伝える場面で用いる「クッション言葉」として「あいにく」が使われます。

ビジネスの場では、人の要望や要求を断るときに、ストレートに断るよりも「あいにく」などのクッション言葉を使うことが推奨されており、「あいにく」はその代表的なフレーズのひとつです。

「あいにく」は漢字で「生憎」

「あいにく」を漢字にすると「生憎」となります。

「生憎」には「憎い(にくい)」という文字が使われていますが、これは「あいにく」の語源に関係しています。

「あいにく」を使う場面では、相手の要求や要望に応えられないことがほとんどです。その「相手の要望に応えられない、こちらの都合」を憎たらしい、と感嘆する思いから「生憎」と書く、と言われています。

「あいにく」の使い方と例文

「あいにく」はさまざまな言葉とセットで使われることが多く、定番のフレーズとして知られているものあります。

あいにくの天気・あいにくの雨

雨の日の来客時や、式典の開催など、誰かがどこかを訪問する日が雨だった場合に「あいにくの天気・あいにくの雨」という表現を使います。

本日はあいにくの雨の中、お集りいただき誠にありがとうございます

その日はあいにくの天気でした、しかし会場は観客の熱気に包まれていました

日本では、晴れの日が良いとされ、雨や雪などの日は「あいにくの天気」と表現されることが多いです。

これは、わざわざ訪れる人が雨や雪などで足元を汚すことになるだろう、という気遣いを言葉にしている、と理解すると良いでしょう。

あいにく持ち合わせがない

「あいにく持ち合わせがない」とは、お金を持っていないという意味で使われるフレーズです。

昨日はあいにく持ち合わせがなく、私はその商品を購入できませんでした

今、あいにく持ち合わせがないので、明日支払いに伺ってもよろしいでしょうか

外出先で、急にお金を支払わなければならない状況に陥ったときに、足りるだけのお金を所持していないと伝える場面で使います。

言い換えるとすれば、「申し訳ありませんが、今日は持ち合わせがありません」などでしょう。

おあいにくさま

「あおいにくさま」とは、相手に対しての皮肉に使われるフレーズです。

あおいにくさまだったね、私はちゃんと見ていたんだよ、君がさぼっているところもね

彼女の思うようにはいかなかったようだ、まぁおあいにくさまというところだね

「あいにく」だけの場合は、他に皮肉とわかるフレーズを使わなければ、通常の「あいにく」としてしか機能しません。

しかし「おあいにくさま」は、そのフレーズだけで相手に対しての皮肉を言おうとしている雰囲気が伝わります。

反対にいえば、皮肉を言うつもりがないのに「あいにくさま」を使うと、相手は自分が皮肉を言われていると勘違いするかもしれません。

「あいにく」の言い換えに使える類語

次に、「あいにく」と似た意味を持つ類義語について解説します。

残念ながら

「残念ながら」には、残念には思うけれども仕方がない、という意味があります。

本日は残念ながら、予定が詰まっておりお会いすることができません

彼は残念ながら、その仕事にかかわることができなかった

「あいにく」と同じように、相手の要望や要求に応えられないことを詫びる意味で使われます。クッション言葉の役割をするのも「あいにく」と同じです。

特にビジネスの場では「残念ながら~」「残念ですが~」というフレーズが頻繁に使われます。

折り悪く

「折り悪く(おりわるく)」とは、タイミングが悪いことに、という意味です。相手と自分のタイミングが合わないことで、すれ違ってしまったときや、お互いの要望が一致しなかった場合に使います。

田中様がいらっしゃったとき、折り悪く、私が入れ違いで外出をしてしまったのです

折の悪いことに、保険の契約は先週済ませてしまったのです、もう少し早ければ御社にお願いしたのですが

「折り悪く」には、タイミングさえ合えば〇〇できたのに、というニュアンスが含まれます。相手の要求や行動に、自分のタイミングが合わなかったことで、お互いの要望が一致しない様子です。

「あいにく」や「残念ながら」と同じように、クッション言葉としての役割もしますが、他の言葉に比べると「本当にタイミングさえ合っていれば」という、積極的なニュアンスが強い言葉でもあります。