「頑張ります」は目上の使える?言い換え例文10パターン

「頑張ります」はビジネスの場で使って良いのか

日常で自分の力を精一杯出すことを宣言するとき「頑張ります」という言葉を使う人は多いのではないでしょうか。多くの人は、子供の頃から学生時代まで「頑張ります」を何度も使っているはずです。

しかし、社会人となりビジネスの場で活動するようになると、なんとなく「頑張ります」という言葉が使いにくくなります。それはなぜでしょうか。

まずは「頑張ります」という言葉について確認しておきましょう。

「頑張ります」の本来の意味

まず「頑張ります」とは「自分が持っている力をフルに使います」という意味です。自分の力に加減をせず、持つものをすべてそこに注ぎ込むことを宣言する言葉とも言えるでしょう。

もともとの「頑張る」という言葉には、主に2つの意味があります。

  1. 忍耐をして努力をし通すこと、気張ること
  2. 譲らず強く主張し通すこと

自分の力をフルに使う、と伝えたい場面での「頑張る」は①の意味です。②の意味も「頑張って押し通す」など、頑なな意思を持って臨む、という意味では①と似た要素を含んでいます。

この「頑張る」を丁寧語にしたものが「頑張ります」です。

「頑張ります」は幼い印象を持たれやすい

「頑張ります」の本来の意味から見れば、ビジネスの場でも使えないことはなさそうです。それなのに、なぜビジネスシーンやフォーマルな場で「頑張ります」が使いにくいのでしょうか。

それは「頑張ります」という言葉の印象です。「頑張ります」は子供も使う言葉ということもあり、少し幼い印象を持たれやすいのです。

特にビジネスの場などでは「頑張ります」だけでは足りないと判断されることも多いでしょう。「具体的に何を頑張るのかがわからない」「ただ頑張ります、だけでは困る」という声も聞かれます。
以上のことから、「頑張ります」は幼い・足りない、という印象を持たれやすいのです。

「頑張ります」は尊敬語ではない

「頑張ります」がビジネスの場で使いにくい理由のもう一つが「頑張りますは尊敬語ではない」ということです。

「頑張ります」は「頑張る」を丁寧にした丁寧語であり、目上の人を敬う要素を含んだ「尊敬語」ではありませんし、自分がへりくだる「謙譲語」でもありません

ビジネスの場での会話の多くは、尊敬語・謙譲語で行われます。そのため、尊敬語・謙譲語のどちらでもない丁寧語である「頑張ります」がどうしても浮いてしまう、ともいえるでしょう。

「頑張ります」を敬語で使う場合の言い換えと例文

「頑張ります」という言葉が、ビジネスの場にそぐわないことについて解説しました。では、自分が「頑張る」という気持ちはどのようにして伝えれば良いのでしょうか。

以下では「頑張ります」と似た意味を持つ、ビジネスシーンでも使いやすい言葉をご紹介します。

尽力いたします

「尽力(じんりょく)いたします」とは「力を尽くします」という意味です。

今回のプロジェクトに加えていただきありがとうございます。ご期待に添えるよう、尽力いたします

初めてのことで何かとご迷惑をおかけするかと思いますが、尽力いたしますのでお力添えください

例文のように、自分が精一杯頑張るということを伝えたい場面で「尽力いたします」が使えます。この場合の「尽力」は自分がするため、謙譲語の「いたします」とセットにするのがポイントです。

また、「尽力」は相手の行いについても使えます。

この度は佐藤様にご尽力いただいたおかげで、想像以上に良いものが出来上がりました

先方は、誠意を持ってこのプロジェクトに尽力してくださっています

自分以外の人が、その人の持つ力を尽くしてくれたことも「尽力」で表せます。この場合は「ご尽力」または「尽力くださる」などの尊敬語表現が必要です。

ただし「尽力」は「力を尽くす」という意味です。比較的軽度な事柄で、相手に「尽力」を使うと相手の力がその程度のものである、という良くない意味にもなりますので注意しましょう。

一所懸命(一生懸命)に努力します(取り組みます)

「一所懸命(いっしょけんめい)に努力します」も「頑張ります」と似た意味で使えます。

この度は抜擢いただきありがとうございます、一所懸命に努力し、成功するよう取り組みます

彼は一生懸命に仕事を覚えようとしています、成長は遅いかもしれませんがもう少し見守ってはいかがでしょうか

「一所懸命」と「一生懸命(いっしょうけんめい)」は、読み方が異なるだけで意味は同じです。ただし元々は「一所懸命」であったため、人によっては「一生懸命」より好むことはあるかもしれません。

「一所懸命」「一生懸命」も、自分や他の人の行いについて使えます。しかし「頑張ります」のように、一言だけで意味が通じる言葉ではありません。

「一所懸命に何をするのか」という部分まで言葉にしなくてはならない点に注意しましょう。

精進いたします

「精進(しょうじん)いたします」とは、元々は仏教用語で「雑念を払って一心に修行する」という意味です。その他「身を清めて行いを慎む」という意味もあります。

この2つの意味の内、修行するという意味で「精進いたします」が使われることが多いでしょう。

より良いものを作れるよう、日々精進いたします

部長のご期待に添えるよう、これからも精進して参ります

「精進いたします」は「頑張ります」よりも、精神的修行の意味合いが強い言葉です。そのため、日頃のビジネスシーンで使うというよりは、改まった場面での決意表明などで用いられることが多いでしょう。

ちなみに、尽力や一所懸命と違って「精進」を自分以外の人に使うことはほぼありません。これは「精進」という言葉が他人の行いに使えないという意味ではなく、現代での「精進」という言葉の持つニュアンスによるものです。

「彼は精進しています」などは、誤りではありませんが少なくとも現代では違和感を持たれやすいでしょう。自分以外の人には「尽力」や「一所懸命」を使うのが無難です。

目上の人へは「応援しています」

最後は「頑張ります」ではなく、「頑張ってください」の言い換えです。自分以外の人で、相手が目上の人の場合は「応援しています」を使います。

部長、今日の商談が上手く運ぶよう応援しています、いってらっしゃいませ

明日はお嬢様の運動会だそうですね、課長も父兄リレーに参加されると聞きました、応援しています

相手が同僚や部下の場合は「頑張って・頑張ってください」で問題ありません。しかし、相手が目上の人の場合は「頑張ってください」よりも「応援しています」の方が良いでしょう。

「頑張る」には、忍耐や押し通すという意味が含まれています。「頑張ってください」を使うと、目上の人にそれらを強いることになるため、あまり良いとされていません。

目上の人に頑張ってほしいと思う場合は、相手が頑張ることは前提に、自分はその頑張りを応援している、という程度にとどめると良いでしょう。