「余儀ない」の意味と例文!余儀ない状況とは?

「余儀ない」の意味と漢字

「余儀ない」という言葉は、意味を知っていないとなかなか使えません。それだけでなく、人が言った「余儀ない」という言葉の意味がわからないと、話の筋すら見えないこともあります。

まずは「余儀ない」の意味と漢字について解説します。

「余儀ない」とは他の方法がないという意味

「余儀ない」とは「他にとってかわる方法がない、と捉えられる状態」です。言い方を変えれば、「この方法しかない」ということです。

私は欠席を余儀なくされた、子供が熱を出してしまったからだ

課長に提出していた企画書は、すでに他社で発売された製品に似ているそうで、再考を余儀なくされてしまった

この状況では、もう一度最初から計画を練り直すしかない、余儀ないとは言え手間がかかる

例文を見てみると以下のように解釈できます。

  • 子供が熱を出したから、欠席をするという方法しかない
  • 提出した企画書は、他社製品と類似しているので、再考するしか方法がない
  • この状況ではもう一度最初から計画をやり直すしか方法がない、しかしそれは手間がかかる

このように、「余儀ない」と言う言葉を「他に方法がない」という意味で、理解した上で後の使い方を見ていくと、解釈がしやすいかもしれません。

「余儀ない」の漢字は「余儀無い」

「余儀ない」を、すべて漢字で書くと「余儀無い」となります。

「ない」は、余儀が「無い」という意味なので、「余儀無い」となるのは理解がしやすいでしょう。

文章で書く場合は、「余儀ない」「余儀無い」のどちらで書いても間違いではありません

「余儀ない」の使い方と例文

次に「余儀ない」の使い方を例文と一緒にみていきます。

余儀なさそうだ

「余儀なさそうだ」とは、他の方法がなさそうだ、という意味です。

彼が今日出席できないのは、どうやら余儀なさそうだね

私が出社できないのは余儀なさそうなのですが、代わりに田中君へ対応してもらうように連絡しています

まだ今の時点では、再考の余儀はなさそうですが、これからまだ数日間は変更があるかもしれません

この場合の「~そうだ」は、楽しそうだ・暇そうだ、などの「そうだ」と同じです。きっとそうだろう、と見当をつけた様子を「~そうだ」で表しています。

そのため、本当に余儀ないのか、もしかしたら他の方法があるのか、という真実についてはさほど関係がありません。「余儀なさそうだ」を使う人が、いったんこの方法しかないだろう、と判断した場合に使う言葉です。

余儀ない状況

「余儀ない状況」とは、他に方法がなく切羽詰まった状況、という意味です。

このままでは、明日の休業も余儀ない状況です、とにかく台風が来る前に全員退社しましょう

彼が退社するのは余儀ない状況なのだそうだ、ご実家のお父様が倒れてしまわれたらしいから

私は自分の体を大事にすることよりも、子供の世話をする方が大事、これは余儀ない状況なのです

「余儀ない(他の方法がない)」+「状況」と、シンプルに考えて問題ありません。

何かの事情によって、目の前にある方法でしか乗り越えられない、という場合に「余儀ない状況」とすることができます。

余儀なくされた

「余儀なくされた」とは、誰かによって、または何かの事情によって、その道しか残されていなかった、という意味です。

田中君は、背任行為が発覚して、懲戒解雇を余儀なくされた

今日の出張は悪天候で飛行機では向かえない、私は急遽新幹線での移動を余儀なくされた

余儀なくされた指示であったとしても、会社員としてまっとうするしかない

例文を見てみると、3つとも「~するしかなかった」と置き換えることができます。

自分が納得しているわけではなくても、そうするしかない、という状況に置かれた時に「余儀なくされた」を使えば、聞いた人は「何かこの人にはどうにもできない理由があったのだな」と理解できるでしょう。

「余儀ない」の言い換えに使える類語

以下では「余儀ない」と似た意味を持つ類義語について解説します。

仕方がない

「余儀ない」のもっとも簡単な言い換えとしては、「仕方がない」があります。

夫は仕事で帰りが遅いので、私が早退をして娘を迎えに行くのは仕方がないことなのです
→夫は帰りが遅いので、私が早退をして娘を迎えに行くのは余儀ないことなのです

彼女は仕方なく、取引先へと謝罪に向かった
→彼女は余儀なく取引先へ謝罪に向かった

「仕方がない」は、人が妥協を強いられる場面で使う言葉です。「余儀ない(他に方法がない)」と、ほぼ同じ意味として「仕方がない」が使えるでしょう。

反対に、自分が使っている「余儀ない」の使い方が合っているか、迷った時にも「仕方がない」と置き換えてみると良いかもしれません。意味が通れば、「余儀ない」の使い方が合っているということになります。

やむを得ない

「やむを得ない」も、「仕方がない」と同様に日常で頻繁に使われる言葉です。「余儀ない」と同じで、その方法しかない、という意味で使えます。

今日の欠勤は天候によるもので、やむを得ない
→今日の欠勤は天候によるもので、余儀ないことだ

本来であれば提出期限は過ぎているが、やむを得ないので受理しよう
→本来であれば提出期限は過ぎているが、余儀ないので受理しよう

「やむを得ない」は、「やむをえない」です。「やもえない」や「やむえない」は誤りですので注意しましょう。ただし「やむを得ない」は、「やむを得ん」「やむなし」など、他の形で使われることもあります。