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通達とは
「通達(つうたつ)」とは、責任者から従業員や所属職員へ向けて発信される文書のことです。
通達には、代表者や責任者からの指示や命令が記載されています。
通達には強制力があるため、通達を発信した者や団体の管理下にある者は、すべてその内容に従わなければなりません。
訓令との違いは強制力
通達と似た文書に「訓令(くんれい)」があります。訓令とは「通知書」とも言われるもので、やはり代表者や責任者から管理下へ向けて発信されます。
しかし、訓令には「強制力」がありません。訓令が通知書とも呼ばれるように、「通知(知らせる)」ことだけを目的としているためです。
通達が用いられる主な事項と例文
通達を用いて告知される内容はさまざまあります。その中でも、特に多いのは以下の2つについての通達です。
社内規定の改定
令和3年3月3日
社員各位
経理部 部長 田中一郎
経費削減に向けたオフィス環境の各種変更について
経費削減施策に関連し、以下のように決定いたしました。
各位、ご協力いただきますようお願いいたします。
記
・カラーコピーは所属課長の承認を得た上で行う
・現在使用中の照明が切れた場合は、総務部にて準備済のLED照明を使用する
以上
人事(処分を含む)
令和3年3月3日
総務部
田中一郎 殿
佐藤商事株式会社
代表取締役社長 佐藤一郎
懲戒解雇通達書
貴殿は令和3年1月15日に故意による業務妨害を行いました。この行為は当社就業規則第3条に該当します。
よって同規則第18条に則り 令和3年3月31日付をもって貴殿を懲戒解雇とすることをここに通達いたします。
通達の書き方
通達には、厳密な書き方の決まりがあるわけではありません。しかし、通達の目的である「誰にでも理解できる文書」であるために必要な書き方はあります。
以下では、通達の書き方について項目ごとに解説します。
日付・宛先
書面のいちばん初めには、通達を発信する日付と、通達をする宛先を記載します。
- 日付は用紙の向かって左上に左詰めで書く
- 基本的には和暦を使用する
- 宛先は日付の下に書く
- 宛先は所属とフルネームを明確にする
通達は「何日付のものか」ということも重要な情報です。同じ事柄についての通達が複数回更新された場合、日付によって最新の通達を見極めることになるためです。
通達者名・役職等
次に、通達を発信する通達者名と役職名を記載します。
- 通達者名は所属とフルネームを明確にする
- 通達者名・役職等は日付の下に一行空けて書く
懲戒解雇や人事異動の通達については、人事部ではなく代表取締役名義で発信するのが一般的です。
表題
次に、通達の表題を記載します。
- 表題は通達者名の下を一行空けて書く
- 表題は用紙の真ん中に位置するよう中央に書く
- できるだけ簡潔で内容が予測しやすいことを意識する
人事異動以外の通達は「〇〇に関連した〇〇について」などの形式がよく使われています。
通達内容
次に、通達の内容を記載します。
- 通達内容は簡潔でわかりやすいことを意識する
- 通達内容には決定に至った背景などは記載しない
- 決定している事項を記載する
- 通達内容の実行が未来日の場合は開始日を記載する
通達内容は誰が読んでも理解ができ、何をすれば良いのかがわかるものでなければいけません。また、通知書は1枚の紙の中に収める必要があります。全体の文字数のバランスにも気を配りましょう。
通達内容に不随する連絡事項
例文の「社内規定の改定」のように、通達を受けた者が実行しなければならない事項がある場合は、その内容について記載します。
- 文章ではなく箇条書きで書く
- 箇条書きを始める前の行には「記」を行の中央に書く
- 必要に応じて箇条書きの最後に一行空けて右詰めで「以上」と加える
通達内容だけでは、社員が何をすれば良いのか具体的でない場合があります。その際には、実行して欲しいことを示します。
通達文の注意点
最後に、通達文を書く際の注意点について解説します。
命令口調で書かない
通達は強制力を持った文書です。そのため、命令口調で書く必要はありません。
特に意図がなければ、通常の敬語・丁寧語を使って書くようにしましょう。
誰に宛てているかを明確にする
通達は「誰に宛てているのか」が非常に重要です。
社員全員へ宛てているのであれば「社員各位」を使います。特定の部署に宛てる場合は「〇〇部各位」などです。
最新の内容で記載する
通達はもっとも新しい情報によって作成されている必要があります。通達には強制力があるため、古い情報を基に書かれたものでは意味がありません。
通達が持つ強制力を考慮して、最新の決定事項を記載するように注意しましょう。