目次
「やむを得ない」の意味と漢字
まずは「やむを得ない」の意味と漢字について解説します。
やむを得ないとは「仕方がない」
「やむを得ない」とは、何かしらの理由や事情によって、物事が思うように進まない場面で使う言葉です。「仕方がない」と言い換えることもできます。
今日の豪雨では、飛行機が飛べないのもやむを得ないだろう
やむを得ない事情があったとはいえ、無断欠勤をして良いわけではありませんでした
「やむを得ない」は、特段の事情によって、予定通りに事が運ばないことにを表します。
「止むを得ない・已むを得ない」とも書く
「やむを得ない」は、「やむ」の部分をひらがなで書く方が多いようですが、漢字もあります。「やむ」は「止む」「已む」の2種類の漢字を当てることができます。
「やむを得ない」を漢字にする場合、もっとも多いのは「止むを得ない」という書き方です。この「止む」とは「今まで続けてきたことがそこで終わる」ということを意味します。後の「得ない」はできないという意味です。
「已むを得ない」という表記も間違いではありません。「已む」も「止む」と同じように「何かが終わる」という意味を持つ漢字です。意味合い的にも「已むを得ない」と書いて問題ありません。
「やむを得ない」の使い方と例文
次に「やむを得ない」の使い方を例文と一緒に解説します。
「やむを得ない」はビジネスシーンで渋々納得する場合に使う
「やむを得ない」は、何らかの事情によって思うように進まないことを、渋々納得する場面で使われます。
A社との契約が取れなかったのは残念だが、B社がうちよりも3割も安い金額を提示したのであれば、それはやむを得ないだろう
コロナというやむを得ない事情によって、彼の計画は頓挫することになった
「やむを得ない」は形を変えて敬語にも使える
「やむを得ない」という言葉は、語尾の形を変えるだけで敬語と一緒に使うことができます。
部長、これはやむを得ません、これからでも先方に変更を依頼しましょう
お怒りはごもっともでございます、しかしながらこれにはやむを得ない事情がございます
「やむを得ない」の類語
次に「やむを得ない」の言い換えに使える類義語について解説します。
「仕方がない」との違いは使う場面
「やむを得ない」の類語として、使いやすいのは「仕方がない」です。「仕方がない」は日常でも頻繁に使われる言葉で「思うようにしたくてもできず、それはどうしようもないこと」という状況を表します。
彼と連絡が取れないなら仕方がない、取引先には代わりに田中君に行ってもらおう
遠足に行きたかった、と子供が泣くけど、この雨では仕方がないよ
たとえば、取引先との打ち合わせや、社外の人を招いた催し物などの場面で「仕方がない」というと、少し幼い印象を持たれやすいものです。そうしたくでもできない理由を添えて「やむを得ない」という言葉を選択した方が良いでしょう。
「致し方ない」は丁寧な言い回し
「致し方ない(いたしかたない)」とは、「仕方がない」を少し丁寧にした言葉です。「致し」とは、自分が何かを「する」の謙譲語である「致す」を意味します。つまり「致す仕方(方法)がない」ということです。
こうなったら致し方ありません、私が先方に出向いて説明して参ります
致し方なかったとはいえ、出過ぎた真似をしました、申し訳ございませんでした
「やむを得ない」の英語表現
最後に「やむを得ない」の英語表現について解説します。
「やむを得ない」を英語で表す場合は「unavoidable(避けがたい)」という単語を使います。
It’s an unavoidable delay.(その遅れはやむを得ないものだった)
If you have unavoidable circumstances, please let me know.(やむを得ない事情がある場合は教えてください)
「やむを得ない」は他にも、「cannot be helped(どうにもできない)」などを使って表すことができます。