「さて」の意味
日常生活で「さて」という言葉は頻繁に使われています。使ったことも聞いたこともない、という人は少ないかもしれません。
しかし、ふと考えてみると「さて」とはどのような意味なのでしょうか。まず、以下では「さて」の本来の意味について解説します。
「さて」とは行動を始める事態に直面する様子
まず、「さて」には大きく分けて3つの用法があります。
その中で、もっとも一般的な「さて」が持つ意味は「いよいよ行動を始めなければならない事態に直面する様子」です。この意味の「さて」は「副詞」としての機能します。
ついに今日という日が来たね、さて頑張るとするか
これをやらずして帰ることはできない、さて終わらせてしまおう
もうこんな時間だ、さて机に向かうとするか
同じように、この「さて」は直後に来る言葉を修飾しています。
- さて、頑張るとするか→「さて」が頑張らなくてはならない事態に直面していることを説明している
- さて机に向かうとするか→「さて」が机に向かわなくてはならない事態に直面していることを説明している
この用法が、「さて」のもっとも基本的な使われ方です。他の2つの用法については、次の見出しで解説します。
「さて」の使い方と例文
以下では、残りの2つの用法とその例文について解説します。
別の話題に移る気持ちを表す
「さて」を使って、これまでとは別の話題に移る、という気持ちを表すこともできます。この場合の「さて」の品詞は「接続詞」です。
さて、では次の議題に移ります
さて、先日の件ですが、その後どうなっていますか
課長ありがとうございました、さて、では次に田中君の意見を発表してください
ためらいや疑い・自問の様子を表す
次は「さて」を感嘆詞として使う用法です。感嘆詞としての役割をする「さて」には、2つあります。
- 次の行動に移る際に自問する(または人を誘う)気持ちで発する「さて」(例文①②)
- その人が何かにためらったり、相手や状況を疑ったりして発する「さて」(例文③)
① さて、そろそろ帰るとしましょうか
② さて、君もひとつやってみないか
③ さて、こんなときはどうすれば良いのだろうか
感嘆詞としての「さて」も、日常でよく耳にします。特に①②については、取り立てて意味を持たせず、言葉のリズムとして使われていることも多いようです。
③については、思わぬ状況に直面し、どうするべきかと困惑する場面などで使われます。
「さて」の言い換えに使える類語
次に「さて」の言い換えに使える類語について解説します。
早速ですが
「早速ですが」は、副詞的用法での「さて」の類語です。その行動を始めなければならない事態に直面した状況で使われます。
お集りいただきありがとうございます、早速ですが本日の議題に入らせていただきます
はい、その件については部下より聞いております、早速ですがこちらの報告書をご覧ください
「もうそれをやらなければならない」という状況を、「早速ですが(始めます、行動に移ります)」という言葉で表しています。
ところで
「ところで」は、接続詞の役割をする「さて」の類語です。接続詞の役割をする「さて」と同じで、別の話題に移る気持ちを表します。
先日はありがとうございました、ところで田中様はお元気にしていらっしゃいますか
以上が田中部長からの伝言です、ところで来週の社員旅行ですが予定に変更はありませんか
この場合の「さて」と「ところで」の違いは、直前の会話との「関連性の有無」です。
直前の会話との関連がない話題に移る場合は「ところで」、関連性があってもなくても使えるのが「さて」と言って良いでしょう。
さてさて
「さて」を重ねて「さてさて」として使うこともあります。この「さてさて」は、「さて」の用法で言うと「感嘆詞」として使われるものに近いでしょう。
さてさて、困ったことになったぞ
さてさて、優秀な若者がいたものだ
「さて」の感嘆詞としての役割にも「感嘆や困惑」はありますが、「さてさて」になるとその意味合いがやや強くなります。