目次
「拍車をかける」の意味と使い方
「拍車をかける」は、ビジネスシーンはもちろん、ニュースや新聞などでも頻繁に使われる言葉です。まずは「拍車をかける」の意味と使い方について解説します。
「拍車をかける」とは一気にすすめること
「拍車をかける」とは、物事を一気にすすめることです。
・昨年の海外研修が、彼の成長に拍車をかけた
・業績向上に拍車をかけるのは、課員ひとり一人のモチベーションだろう
・生活を便利にするためのものが、地球温暖化に拍車をかける要因という考えも一理あるかもしれない
「拍車をかける」は、それまで一定のスピードで進んでいた事柄が、何かをきっかけにスピードアップするイメージで使われます。「拍車をかける」は、その速度の変化を指す言葉なので、拍車がかかる内容の良し悪しには関係がありません。
「拍車がかかる」とも言う
「拍車をかける」は「拍車がかかる」とも言います。どちらも正しい言葉であり、どちらかが間違いということではありません。
・昨年の海外研修をきっかけに、彼の成長に拍車がかかった
・課員ひとり一人のモチベーションによっては、業績向上に拍車がかかるだろう
・地球温暖化に拍車がかかる要因の一つとして、生活を便利にするためのものが増えたことが挙げられるのかもしれない
先に解説した「拍車をかける」の例文を、「拍車がかかる」を使ったものに変化させました。「拍車をかける」と「拍車がかかる」の違いは、文章の主語です。
「拍車をかける」の語源
「拍車をかける」は古くから存在しています。「拍車をかける」の語源は明治時代にさかのぼります。
「拍車をかける」の語源は乗馬用の金具
「拍車をかける」の「拍車」とは、明治時代にヨーロッパから伝わってきた乗馬用の金具です。
拍車を足につけた状態で馬に乗り、スピードを上げたいときに、拍車の部分を馬の腹に当てると馬が速く走る仕組みでした。この「拍車」を馬の腹に当てる行為を「拍車をかける」と表したことから、物事を一気にすすめることを「拍車をかける」と言うようになったようです。
「拍車をかける」の言い換えに使える類語と例文
「拍車をかける」には、似た意味を持つ類語がたくさんあります。以下では、「拍車をかける」の類語を例文と一緒に解説します。
輪をかける・輪をかけて
「輪をかける」「輪をかけて」は、「拍車をかける」の類語です。「輪をかける・輪をかけて」は、いずれも「程度がいっそう激しくなる」という意味です。
・彼は最近、輪をかけて体格が良くなってきた
・最近の課長は以前に輪をかけて独り言が多い
・昇進が決まってからの彼女は、これまでに輪をかける張り切りようだ
「輪をかける・輪をかけて」は、良い意味にも悪い意味にも使えます。良い意味に使えば、それまでよりもさらに良くなって行く様子を表します。悪い意味に使えば、それまでよりもさらに悪くなって行く様子を表します。
本格化する
「本格化する」も「拍車をかける」の類語です。「本格化する」は、ある状態がいよいよ度を増していく様子を表します。
・A社との合併話が本格化してきたようだ
・毎年1月になると、インフルエンザの拡散が本格化する
・同期の田中くんの昇進がいよいよ本格化してきたらしい
「本格化」は「いよいよ」をつけてその勢いを強調することがあります。特に急激な速度で度を増して行く場合には「いよいよ本格化」とすると良いかもしれません。
追い風に乗る
「追い風に乗る」も「拍車をかける」の類語です。「追い風に乗る」とは、物事が勢いを増したり、力強さを得たりする様子を表します。
・もともとリサイクル可能な製品を作っていた我が社は、エコブームの追い風に乗って業績を伸ばすだろう
・あのバンドのCDはオリンピックの応援ソングとなったことを追い風に売上を伸ばしている
・彼女の経営する飲食店は、テレビ放送が追い風となり客足が伸びている
「追い風に乗る」は、背後から風を受けて前に進むイメージの言葉です。そのため、良い意味にしか使われません。悪い事態が度を増して行く場合には使えないことを覚えておきましょう。