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「刹那」の意味
「刹那(せつな)」は、日常の会話ではあまり使われませんが、文章内では使われることがあります。漢字から意味を推し量ることが難しいので、知らないと意味の見当を付けることも難しいかもしれません。
ちょっとの間
「刹那」とは「ちょっとの間」のことです。「ちょっとの間」とは、極めて短い時間のことで、時間にすれば75分の1秒とも言われています。
彼が立ち上がった刹那、電話が鳴った
稲妻が光った刹那、彼の表情が見えた
1秒にも満たない瞬間を指す「刹那」は、意識的に生み出せる瞬間ではありません。そのため「刹那」が使われるのは、予期しなかった出来事などが主です。
刹那の語源は仏語(ぶつご)
「刹那」という言葉は、もともとは仏語だと言われています。仏語とはフランス語のことではなく、仏教の言葉です。仏語での「刹那」は時間を表す単位の最小単位とされています。
「刹那」の使い方
「刹那」は「刹那」という言葉だけでも使いますが、現代では主に以下2つの表現で使われます。
「刹那主義」
「刹那主義」とは、「その時々の瞬間や生活を充実させて生きようとする考え方」のことです。言い方を変えれば、後のことよりも今を重視した生き方のことを指します。
彼女の生き方はいわゆる刹那主義だ、今だけを大事にしたいという気持ちが伝わって来るよ
私は不確定な未来よりも、今この瞬間を充実させることに注力する刹那主義を貫きます
「刹那主義」は、その人の生き方や考え方を表します。そのため初対面の人や、まだあまり親しくない人に対しては使えないことが多いでしょう。
「刹那的」
「刹那的」とは、主に「将来などの未来ではなく、今のことだけを考えた考え方や行動」のことを指します。「刹那主義」と似ていますが、「主義」はその人の「思想」であるのに対し、「刹那的」はその時々の考え方や行動です。
彼の考え方は非常に刹那的だ
私は刹那的に考える癖がある
「刹那的」は、人によっては「後先を考えない行為」とネガティブな印象を持ちますが、「刹那的」という言葉自体は特に悪い意味を持つ言葉ではありません。
「刹那」の言い換えに使える類語
「刹那」には似た意味を持つ言葉が複数あります。「刹那」は日常会話ではあまり使われないため、以下の類語の中から状況や気持ちに相応しいものを選ぶと良いでしょう。
「一瞬」
「一瞬(いっしゅん)」とは、瞬間の中のひとつの間です。絶えず流れ続ける時間の中の瞬間は、やはり絶えず訪れ続けています。その瞬間の中のひとつの間を切り取って「一瞬」と表現しています。
私の目の前で起った事故は、ほんの一瞬のことだった
彼は一瞬の間に状況を理解し、敢えて何も言わずにいてくれた
「一瞬」には具体的に何分の何秒という定義はありません。日常では「ほんの少しの時間」「あっという間」などと同じ感覚で使われる言葉です。
「束の間」
「束の間(つかのま)」とは「短い時間」のことです。「束」とは、4本の指を並べた長さのことです。つまり「指4本分ほどの短い時」を「束の間」といいます。
みんなと過ごす楽しい時間は、忙しい毎日の束の間の休息となった
私は束の間ですが、海外で暮らしたことがあります
「束の間」は日常会話でも比較的頻繁に使われています。ビジネス感はあまりなく、友人や知人との会話で使われることが多いようです。
「時の間」
「時の間(ときのま)」とは、「少しの間・ほんのわずかな間」という意味です。この「少しの・わずかな」の程度には個人差があります。また、その時を長く感じるか短く感じるか、という点は時の内容にもよるでしょう。
部長はほんの時の間、社内にいらしたがその後は外出された
今思えば、苦しい時間は時の間だったかもしれない
「時の間」は昔は良く使われていたようですが、現代ではさほど使われていないかもしれません。
「玉響(たまゆら)」
「玉響」とは、玉が鳴るかすかな響きを意味します。玉の音色を時の長さに置き換えて「ちょっと間」というニュアンスで使われる言葉です。この「玉」とは勾玉(まがたま)のことで、勾玉同士がこすれて発する音をイメージすると良いかもしれません。
玉響の人生を、思う存分に生きる
すべての時は玉響、毎日を大切にしよう
「玉響」は古語のひとつです。そのため、現代ではほぼ使われません。
「刹那」の 間違った使い方
「刹那」は「ほんの一瞬」という意味ですが、「一瞬」と同じ意味で多用すると違和感があるかもしれません。以下ではその理由について解説します。
口語ではほとんど使わない
まず「刹那」は、現代の口語(口頭での会話)ではほとんど使われません。これは「刹那」が持っている言葉のニュアンスがやや古いことと、「刹那」の意味を理解していない人も多いことが原因です。
そのため「一瞬」と同じ意味で、口語で「刹那」を多用すると違和感を覚える相手もいるでしょう。
文章で書くときも情緒的となるので注意
次に「刹那」を文章内で使うと、やや情緒的になることにも注意が必要です。友人や知人に送る手紙などであれば、内容によっては「刹那」が合うこともありますが、少なくともビジネス文書内で「刹那」が使われることはほぼありません。