次第ですの意味
「次」という漢字は古語で「ついで」と訓読みし、順序・順番を意味します。
現在の「一次審査」、「二次募集」、「三次元」などの言葉がその意味での用例です。また、「第」も古語で「ついで」と読み、やはり順序・順番のことです。
現在でも「第一」、「第三者」、「交響曲第9番」のように用いられています。この二語を合わせた熟語である「次第」も本来の意味は 順序・順番 であり、同義語を二つ連結して同じ意味の言葉にする漢字熟語の典型例です。
現代における「次第です」の用例では、物事の一部始終を順番に述べて「このような次第です」と最後に付け加える用いられ方があります。
そこから、「次第」が物事の 事情・状況 をも意味するようになったと思われます。また、物事の優劣の順序によって結果が違ってくることから、「お天気次第です」、「あなたの努力次第です」のように 由来・成因 を意味する用いられ方も生まれたと思われます。
次第ですの例文
スケジュールでは工場見学の後にホテルのレストランで昼食の予定でしたが、中央道の事故渋滞で工場到着が遅れたため、スケジュールを大幅に変更させていただいたという次第です。
作業はスケジュール通りに進んでおりますが、お客様のご注文により設計変更となりましたため、現在、内装材を新たに取り寄せているという次第です。
二人はとても仲の良い夫婦でしたが、あの事故で子供を亡くして以来、いさかいが絶えず、今回の離婚調停となった次第です。
私は元来、熱心な□□党支持でしたが、期待を裏切られることばかりで、今は支持政党なしという次第です。
以上のような次第ですので、今回の決定は致し方ないと思われます。
納品ミスであることはお客様からのご連絡で判明し、直ちに工場に再発注して、本日、改めて納品しました。幸い工期への影響はなく、先方からは快くお許しを頂けたという次第です。
ワイナリーを見学してからホテルのレストランで昼食を予定しておりましたが、中央道の事故渋滞によって到着が大幅に遅れたため、スケジュールをこのように変更させていただいた次第です。
お二人はとても仲のよろしいご夫婦だったそうですが、その事故でお子さんを亡くされて依頼、いさかいが絶えなくなり、今回の離婚調停に至った次第です。
このような次第ですので、今回のお話は大変ありがたく存じますが、謹んでご辞退させていただきます。折角のご好意を無に致しまして、心よりお詫び申し上げます。
色校を8回も提出してOKが頂けなかったものですから、仕方なく他の印刷会社にお願いしたところ、最初の色校であっさりとOKを頂くことが出来ました。まったく、お恥ずかしい次第です。
野球部が存続できるかどうかは、この春季大会の成績次第です。甲子園出場は無理だとしても、せめてベスト8に残らなければ、まず新入部員の確保もむずかしいでしょうから、廃部は避けられないでしょう。
この空港は強風で閉鎖になる日が非常に多いですから、着陸には十分気を付けてください。絶えず強風が吹いていますので、2本の滑走路のどちらを使うかは風向き次第です。
この計画案が成立するか廃案になるかは、あなた次第です。会社の将来や従業員のことをよくお考えになって結論を出してください。
この問題はすでに私たちの手を離れて、委員会に委ねられています。委員たちの考え次第ですから、もうあれこれ考えるのは止めにしましょう。
「次第です」は目上の人へ使う
「次第です」という言葉は、その意味から相手が目上の人の場合に使います。同じ立場の人や目下の人には使いません。
「〜という状況です」「〜というわけです」と言うとやや雑な印象を与えかねません。より丁寧さが加わるよう、上司や先輩などが相手の場合は「〜という次第です」と言い換えるといいでしょう。
「次第です」の間違い・失礼な使い方
注意したいのは丁寧な言葉を重ねすぎることです。
たとえば丁寧さを意識するあまり「〜という次第でございます」「〜といった次第だと考えております」という言い方をしがちですが、やや過剰でかえって印象を悪くします。
使い方として間違えているわけではありませんが、ビジネスシーンでは言葉を丁寧にしすぎたり敬語を過剰に使うのは皮肉を含ませる手法として使うことがあるため、そういった意図がないのであればシンプルに「〜という次第です」でかまいません。
「次第」と「所存」の違い
また「次第です」の類似語に「所存です」という言葉があります。
似たような言葉だと思われがちですが、報告や説明の意がある「次第です」に対して「所存です」は自分の意思を伝える表現です。
相手から意見を求められているのなら「所存です」でも問題ありませんが、報告や説明をするのなら「次第です」を使いましょう。