切磋琢磨の意味と類語・語源と例文

「切磋琢磨」の意味と由来・語源

まずは、「切磋琢磨」の意味と由来・語源について解説します。

「切磋琢磨」とはお互いを向上させること

「切磋琢磨」は「せっさたくま」と読みます。意味は2つあります。

①仲間同士で互いに励まし合って向上させること

②玉や石を切り磨くように道徳や学問に励むこと

①仲間同士で互いに励まし合って向上させること

一般的に「切磋琢磨」と言うと、①の意味で使われることが多いようです。友達や仲間と、お互いを励まし合って一緒に向上しようとする様子を、「切磋琢磨」で表します。

僕と田中君は同期で、仕事の右も左もわからない時から切磋琢磨してきました

せっかく同じチームになったのだから、みんなで切磋琢磨していこう

①の意味では、2人以上の人が自分も相手も向上させようと、積極的に働きかける様子が伝わります。

②玉や石を切り磨くように道徳や学問に励むこと

②の「切磋琢磨」は、誰かと励まし合うとは限らず、自分自身を磨いていく様子を表します。

私にはコンプレックスがあったため、自信を付けるために日々切磋琢磨して参りました

彼はいつか医者になりたい、と願って幼い頃から切磋琢磨を続けてきたそうだ

②の意味では、一人で自分自身を切磋琢磨することを表しますが、誰かと一緒にそれぞれが(相手を励ますことは特にしないけれども、結果として相手の存在が刺激になっている、など)自分の成長のために学ぶことも表せます。

しかし、「自分以外の誰かと切磋琢磨」と言うと、どうしても①の意味として解釈されやすいため、「それぞれ自分を磨いた」など言い方に工夫をした方が良いかもしれません。

「切磋琢磨」の由来は石や玉を叩いて磨くこと

「切磋琢磨」という四字熟語は、中国の詩集(詩経)に由来しています。

この「詩経」の中では、「切磋琢磨」は象牙や石を加工する過程について使われた言葉です。象牙や石を加工するには、手間暇や緻密な作業が必要とされる、ということが書かれていました。

その、加工の過程を人の成長や学びに当てはめて、「切磋琢磨」が使われるようになったそうです。

「切磋琢磨」の漢字は「豚」ではない

「切磋琢磨」を漢字で書くときに、間違いやすいのが「琢」です。「琢」とは、玉を加工するときの作業のことで「たく・みがく」と読みます。

とてもよく似た字に「豚(ぶた)」がありますが、切磋琢磨とは無関係ですので、間違えないように注意しましょう。

「切磋琢磨」の使い方と例文

次に、「切磋琢磨」の使い方を例文と一緒に解説します。

「切磋琢磨し合う」は二重表現

「切磋琢磨し合う」という表現はよく耳にしますが、上記①の「仲間同士で互いに励まし合って向上させること」という意味で使うのであれば、二重表現です。

「切磋琢磨」の中には、すでに「互いに励まし合って」という要素が含まれています。その上で「し合う」を使うと、意味が重なってしまうので注意が必要です。

尚、上記②の「玉や石を切り磨くように道徳や学問に励むこと」を2人以上の行動に当てはめて使う場合であれば「切磋琢磨し合う」で問題ありません。

「切磋琢磨」は「する・して」と一緒に使う

「切磋琢磨」は名詞なので、「する・して」など行動を表す言葉と一緒に使います。

【①仲間同士で互いに励まし合って向上させること】

ライバルと切磋琢磨することは、大変価値のあることだ

田中君と僕は切磋琢磨して、同じ国立大学に入学した

【②玉や石を切り磨くように道徳や学問に励むこと】

私の今年の目標は、資格試験に向けて切磋琢磨することです

息子は幼いなりに、良いことと悪いことを見分けようと切磋琢磨しています

「する・して」の他にも「~を続けている」「しようとしている」など、状況にあった行動を示す言葉が使えます。

「切磋琢磨」の言い換えに使える類義語

次に「切磋琢磨」の類語について解説します。

粒粒辛苦(りゅうりゅうしんく)は地道な努力

「切磋琢磨」と似た意味を持つ四字熟語に「粒粒辛苦」があります。「粒粒辛苦」とは、コツコツと地道な努力を重ねる様子を表します。

この歳で弁護士資格をとるのは、まさに粒粒辛苦の思いでした

粒粒辛苦の姿勢で臨む修行は、一日が何日にも感じたものです

「粒粒辛苦」は、米粒の一粒一粒には作り手の苦労が詰まっている、ということから生まれた四字熟語です。「粒粒」とは、米粒のことで、「辛苦」は苦しくてつらい様子を表します。

研鑽(けんさん)は深く研究すること

「研鑽」も「切磋琢磨」と似た意味を持っています。「研鑽」とは、学問や研究を深く追求することです。

学生である私は、在学中に多くのことを学ぶために、日々研鑽を積んでいきたいのです

彼のように研鑽を積む人間は、いつか大きなことを成し遂げるのだろう

「研鑽」を使った四字熟語に「自己研鑽(じこけんさん)」があります。「自己研鑽」とは、自分自身を鍛えて知識や人間性を磨いていく、という意味です。

「研鑽」も「自己研鑚」も、自分に厳しく何かを突き進めて行く様子が「切磋琢磨」と似ています。

「切磋琢磨」の英語表現

最後に「切磋琢磨」の英語表現について解説します。

「切磋琢磨」は英語で「challenge each other」

日本語の「切磋琢磨」は、英語の「challenge each other」で表せます。

He and I could challenge each other.(彼と私は切磋琢磨してきた)

「each other」は、「お互いに」を意味します。お互いにチャレンジをする、という意味で「お互いに励まし合って向上する」という意味の「切磋琢磨」を表すことができます。