間違いやすい「推敲」の意味と使い方・例文と類語

「推敲」の意味

「推敲(すいこう)」は、文章にかかわる場面で使われる言葉です。まずは「推敲」の意味について確認しましょう。

推敲とは文章を良くするために何度も作り直すこと

「推敲」とは、文章を良くみせるために何度も作り直すことです。文章は何度も作り直すことでどんどん良くなると言われます。その良くするための作業が「推敲」です。

この文章はおもしろみはあるが、まだ推敲が足りない

推敲を重ねた文章は読み応えがあり、それでいてとてもわかりやすいものだ

「推敲」は本文中に用いられている例えや言い回しが適切か、情報に誤りはないか、という点を重視して見直しと修正を繰り返します。

誤字脱字や句読点の位置など形式的な部分を見直して修正するのは、後に解説する「校正」です。

本人がするのが推敲、他人がするのは校正

「推敲」は文章を書いた本人が行います。編集者やアシスタントなど、文章を書いた本人以外の人が行う見直しは「校正(こうせい)」です。

自分で推敲を繰り返しましたので、後は編集分の方で校正をお願いします

契約書の作成は、間違いがないようにきちんと推敲して、他の人に校正してもらいなさい

書いた本人が自分で推敲を繰り返した文章を、編集者など第三者の目で校正し、文章ができあがります。そのため「校正」という言葉自体が、書籍や雑誌などの印刷物について使われます。

しかし、印刷物以外に「校正」を使ってはいけないわけではありませんので、ビジネスシーンでも「この書類の校正をしておいて」などと言うこともあるようです。

推敲の使い方

「推敲」は出版業界や一般のビジネスシーンなどで使われます。「推敲」は名詞なので、基本的にはどんな助詞・接続詞・動詞とも一緒に使えます。

動詞の「する」と一緒に使う

「推敲」を動詞の「する」と一緒に使うと、文章の見直しをするという意味になります。

これから自分の文章を推敲するところです

今書き上げたところなので、これから推敲をするところです

「推敲する」は「推敲をする」と、「を」を入れるのが正しい言葉です。しかし話し言葉として「推敲する」と、「を」を使わないことも多くあります。

「推敲を重ねる」

「推敲」を使った言葉の中で、比較的よく使われるのが「推敲を重ねる」です。「推敲を重ねる」とは、何度も何度も繰り返して推敲を行う様子を指します。

今回の文章は推敲を重ねてやっと完成しました

今あなたに大事なことは、何度も推敲を重ねることです

「推敲を重ねる」だけでも、何度も推敲している様子は伝わりますが、敢えて「何度も」という言葉と一緒に使えば、推敲を重ねることへの熱意や努力を表すことができます。

「推敲の余地」

「推敲の余地(よち)」は「推敲の余地がある(ない)」と使います。「推敲の余地がある」とは「まだ推敲できる箇所がある」という意味です。「推敲の余地がない」は、反対で「もう推敲するところがない」という意味になります。

この文章にはまだ推敲の余地がある

提出するなら、推敲の余地がなくなってからにしてください

「余地」とは、文字通り「余った箇所」という意味です。つまり「推敲の余地」とは、「推敲ができる箇所(推敲が必要な箇所)」と考えることができます。

「推敲」の類語

「推敲」には言い換えに使える類語があります。以下では、その中から6つの言葉をご紹介します。ただし、どれもが「推敲」と同じ意味ではありません。使い間違いのないよう、それぞれの意味を理解するようにしましょう。

「校正」

まず「校正(こうせい)」は、前述したように「書いた本人以外が、文章の誤字脱字・文法上の間違いを探す行為」です。

教授の書いた記事を君が校正しておきなさい

誰か私の書いた文章を校正してくれませんか

文章は筆者によって執筆をされた後、筆者によって推敲され、その後第三者によって校正されます。

「校正」はもともと出版物について使う言葉なので、「校正」という言葉自体が主に出版業界で使われます。

「校閲」

次に「校閲(こうえつ)」は、書いた本人以外の他人が文章に対して行う確認行為です。主には文章の内容が事実と相違がないか、文章の内容が出版物として適しているかという点を確認します。

今回の校閲では、事実と異なる文章が見つかりました

この表現は、弊社の出版物として相応しくないことが校閲にて判明しました

誤字脱字や句読点の位置を確認する「校正」や、本人が行う「推敲」では見つからない「内容の相違」を見つけるのが「校閲」です。

書いた本人はそれが正しい、もしくは出版物として相応しいと思っている内容の中から内容の誤りを見つけます。

「添削」

「添削」とは、他人が書いたものに手を加えることです。誤字脱字や文法の間違い、内容の相違などトータル的に文章を良くするために手を加えます。

彼の書いた文章は、あなたが添削をしてから先方に渡してください

私の文章は、まだ誰かの添削なしにはものになりません

イメージとしては、生徒の文章を先生が直すようなものです。もちろん一般のビジネスシーンでも「添削」は使えます。

部下が書いた文章を上司が添削する、同僚が書いた文章を添削するなど、いずれも第三者の目で文章の見直しをします。

「修正」

「修正」とは、間違ったところを正すことです。文章や作品の筆者や作者本人が行っても、他人が行っても「修正」に変わりはありません。文章や作品の足りないところや、不十分な箇所に対して行います。

この文章は一度修正したのだけれど、まだわかりにくいところがあるようだ

彼の作品は何度も修正をして完成すると聞いた

他の類語との違いは「修正」が文章以外にも使われることです。

日常生活の中では、料理の味付けや写真、予定やスケジュールなどさまざまなものに「修正」が使えます。

「加筆」

「加筆(かひつ)」とは、文章に足りない部分を加えるという意味です。説明や表現が不足している部分に、本人や他人が言葉や文章を付け足すことを「加筆」と言います。

この部分は詳しい解説があった方が良いと思うので、少し加筆しようと思います

文字数が少なすぎるとバランスが悪いので、こちらで加筆をしました

文章に書き加える人が本人でも、第三者でも「加筆」と言います。

つまり「加筆」はする人による名称ではなく、文字を加えるという動作についての言葉です。

「精査」

最後に「精査(せいさ)」です。「精査」とは、文章やそれ以外の事柄を詳しく調べるという意味です。その対象となるものに誤りがないか、足りない部分がないか、または余計な部分がないかなどを総合的に調べて確認するのが「精査」です。

この書類は、一度こちらで精査してから受理させていただきます

御社の方で精査していただき、何かあればいつでもご連絡ください

「精査」は、主に会社間でのやり取りに使われます。契約書や請求書など、誤りがあると後々困る重要書類の作成や受け渡しには「精査」が求められるからです。

ちなみに詳しく調べるのが文章や書類を作成した本人でも、相手でも「精査」です。