「到底」の意味と類語・使い方と例文

「とうてい」の意味と漢字

まずは「とうてい」の意味と漢字について解説します。

「とうてい」とは手を尽くしても実現しない様子

「とうてい」とは、どんなに手段・方法を尽くしても、その実現はあり得ないと予測することです。

このペースでは、納期にはとうてい間に合わないだろう

彼の実力ではとうていコンペに勝つことはできない

何をどうしても、絶対に不可能であるという場合に「とうてい」を使います。

反対に言えば、工夫や努力次第で何とかなりそうなことには「とうてい」は使わない、ということです。

「とうてい」の漢字は「到底」

「とうてい」には漢字があります。「とうてい」の漢字は「到底」です。

「到底」は、物事の底に至ると書きます。これは「底まで至っても(やれることすべてやっても)実現しない」という意味です。

文法的には名詞・副詞

「到底」は文法的には名詞です。ただしこれは、「物事の底に至る」という意味でしか、名詞として機能しません。そのため、近年では「到底」を名詞として使うことはほとんどありません。

一方で「どんなに手を尽くしても実現しない」という意味で使う場合の「到底」は副詞的用法です。現代で使われる「到底」のほとんどは、この副詞的用法としての役割をしています。

「とうてい」の使い方と例文

次に、「とうてい(到底)」の使い方を例文と一緒に解説します。

「到底」の後には否定形の言葉が続く

「到底」の後には、必ず否定形の言葉が続きます。

到底納得できない

「到底納得できない」とは、どう考えても納得することが難しい場面で使います。この場合の「どう考えても」とは、納得しようと前向きに考えたり、納得するために結論から逆行して考えてみたりしても、ということです。

今日限りでクビだなんて、田中君も到底納得できないだろう

これまでずっと営業成績トップだった田中君の後を新人の鈴木君が引き継ぐなんて、到底納得できない

本人も、できることなら理解したいと思って思考を巡らせてみても、それでもやはり納得ができないという状態を表します。

到底及ばない

「到底及ばない」とは、どう頑張っても目標とする数字や人物に届かない、という場面で使います。

今の私の実力では、彼女には到底及ばない

今月まだ2件しか新規契約を獲っていないのに、目標の20件なんて到底及ばない

「到底及ばない」は、自分や誰かがどんなに努力をしたとしても、その目標とする数字や人には到達できるはずがない、という強い確信を表します。

到底思えない

「到底思えない」とは、どう考えてもそうは思えないという意味で使われます。

彼はどう見ても20代だ、40代だとは到底思えない

いつも地味で引っ込み思案な印象の彼女が、実は舞台女優だとは…僕には到底思えないよ

「到底思えない」は、本来であれば「到底○○とは思えない」と、何に思えないのかを表す言葉が必要です。

しかし、何に思えないのかが、それまでの会話や状況だけで理解できる場合もあります。その場合は「到底思えない」だけでも会話として成立するのです。

到底許されるべき行為ではない

「到底許されるべき行為ではない」とは、絶対に許されない行為という意味です。

会社のお金を横領するなんて、到底許されるべき行為ではないでしょう

自分はサボってばかりで、後輩の成績を横取りするなんて、到底許されるべき行為ではありません

「到底許されるべき行為ではない」の「許されるべき」は「許されなければおかしい」という意味です。それを「行為ではない」と打ち消しているため、結果として「許されない行為」であることを表しています。解釈を間違わないようにしましょう。

到底かなわない

「到底かなわない」とは、相手に勝てる見込みがないという意味です。

見た目が良く、頭も良い、仕事もできて、年収もずば抜けている、そんな彼に僕は到底かなわない

最初から到底かなわない、と決めつけるのではなく、出来ることから努力してみてはどうだい

「到底かなわない」は、「到底敵わない」と書きます。「敵わない」は、勝てないという意味です。これを「到底叶わない」と書くと、願い事が叶わないという意味に変ります。

漢字によって解釈が変るので、口頭で「到底かなわない」という時は、相手と認識の相違がないように注意しましょう。

到底理解しかねる

「到底理解しかねる」とは、どう考えても理解できないという意味です。

彼の言い分は自分勝手過ぎて、到底理解しかねる

無断欠勤をして、遊んでいる様子をSNSにアップするなんて、私には到底理解しかねます

「到底理解しかねる」が表すのは、理屈で理解できないということではなく、常識的に考えて理解ができないというニュアンスです。

例えば、難しい計算式が理解できない、用語の解説が理解できない、など理屈で理解できないことについては「到底理解できない」は使いません。

「とうてい」の3つの類義語

次に、「とうてい」の類語を3つご紹介します。

「到底」の類語は「どうせ・結局・いずれにせよ」

「到底」の言い換えに使える類語は「どうせ」「結局」「いずれにせよ」などです。

彼には到底勝てないよ

彼にはどうせ勝てないよ

彼には結局勝てないよ

彼にはいずれにせよ勝てないよ

「どうせ」とは、経緯に関係なく結果が明らかであるという意味、「結局」とは経過を経て落ち着く最後という意味、「いずれにせよ」とは選択肢に関係なく出る結果、という意味です。3つとも、「到底」と同じで結論を表します。

ただし「到底」の後には打ち消しの言葉しか用いられないのに対し、「どうせ・結局・いずれにせよ」の後には、打ち消し以外の言葉も用いられます。その点が「到底」との違いです。

彼が何をしたところで、どうせ私の成績の方が良い

彼が何をしたところで、結局成績が良いのは私の方だ

彼が何をしたところで、いずれにせよ私の方が成績が良い

これらの使い方は「到底」にはありません。

もちろん「彼は私には到底敵わない」などとは使えますが、やはり「到底」の後には打ち消しの言葉が来ることになる、という点に注目しておきましょう。

「とうてい」の英語表現

最後に「とうてい」の英語表現について解説します。

「とうてい」は英語で「can’t possibly」

日本語の「到底」を、英語で表すと「can’t possibly」です。

I can’t possibly live without you.(あなたなしで生きるなんて到底できない)

I can’t possibly eat all this food.(こんなにたくさん食べるなんて到底無理だ)

日本語の「到底」の後に打ち消しの言葉が来る部分が、can’tで表されています。ちなみにpossiblyとは、「恐らく・たぶん」を表す単語です。

直訳すると「たぶん出来ない」となりますが、「can’t possibly」の形になると「到底」と同様のニュアンスとなります。