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「抜き差しならない」の意味とは
「抜き差しならない」は「どうしようもない」「身動きがとれない」という意味です。「抜き差し」とは、昔の刀の動きを指しています。刀を抜くことも、抜いた刀を鞘に差すこともできないという状況が、そのまま言葉になっているものです。
たとえば相手と対峙して緊張状態となったときに、今刀を抜いても差しても危険と判断したとすれば、それが「抜き差しならない状況」です。
「抜き差しならない」の語源は刀の動き
「抜き差しならない」は、刀の動きを表したもので、古くから使われていると考えられています。語源は「刀を抜くことも差すこともできない膠着状態」ですが、刀を抜き差しできない理由については諸説あります。
1つ目は、緊張状態により刀を抜き差しする判断ができないというものです。刀を抜くことが良いのか、すでに抜いた刀を差すことが良いのかの判断に困る様子を表せていると言われています。
2つ目は、刀を抜き差ししたくても、さび付いていて物理的に抜き差しができない状態を表している、というのものです。刀が抜けるのであれば今すぐ抜きたい、という状態であっても刀と鞘がさび付いていればそれはできません。
「抜き差しならない」の使い方
「抜き差しならない」という言葉は、ビジネスシーンなどで日常的に使うことができます。
「抜き差しならない状況」
「抜き差しならない」は「状況」という言葉と一緒に使われることが多く、その状況が緊迫している様子を表します。「抜き差しならない状況」とは相手と対峙し、身動きが取れない、どうすれば良いのかわからないという状況のことです。
相手が人間でなく、自然や環境の場合でも同様です。「台風が迫り、交通機関がストップした。私は抜き差しならない状況におかれた」などがその例です。
「抜き差しならない立場」
「抜き差しならない立場」とは人の立場を差す言い方です。その人の立場が緊迫した状況に置かれていることで、その人がどのように振る舞っても何かしらの危険や困難が迫ってくる状態を表します。
「彼は上司と反発する部下の板挟みとなり、抜き差しならない立場のようだ」などと使い、その人が困難な立場にいることを表すことができます。
「抜き差しならない関係」
「抜き差しならない関係」は、人と人、企業と企業など、何らかの「関係」があるもの同士の状況について使います。お互いがお互いに身動きが取れない状態で、かつその状況はお互いの関係性によって生まれている、という場合に使える言葉です。
「A社とB社は、新商品のコンセプトが似てしまい、お互いに譲る気はないらしい。まさに抜き差しならない関係だ。」などと使い、両者のどちらともが相手を意識して緊迫している、という様子を表します。
「抜き差しならない」は目上の人へも使える
「抜き差しならない」という言葉は、人の様子や状況を表す言葉なので、目上の人に使っても問題ありません。状況や関係が膠着しているということを、「抜き差しならない」で表すことで、その様子をスマートに伝えることができます。
「抜き差しならない」の例文
「抜き差しならない」の言い換えに使える類語
「抜き差しならない」にはいくつかの類語があります。相手や状況によって、「抜き差しならない」以外の言葉を使いたい場合に便利ですので覚えておきましょう。
「膠着状態(こうちゃくじょうたい)」
「膠着状態」とは、物事が進まず行き詰まっている状態を表す言葉です。「膠着」という言葉自体が「ものがくっついて離れない」「動かない」という意味を持っており、「抜き差しならない」と同じように使うことができます。
「手も足も出ない」
「手も足も出ない」とは、どうすることもできないという意味です。目の前の出来事をどうにかしたくても、何らかの事情や状況によって手出しすることができない様子を表しています。