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「あしからず」という言葉は古語から来ている言葉で、漢字で「悪しからず」とも書きます。「悪し(あし)」は「善し悪し」などと現代でも使われている形容詞のひとつで「悪い」という意味です。
「から」は「まだ〜」という未然形を表します。最後に「ず」という否定形が付くことで「悪いことはまだしていない」となり、「悪いことをするかもしれないが」という意味を持つ言葉でした。
現代における「あしからず」の意味
使われる場面は文書やメールがほとんどですが、口頭で使えないわけではありません。文書内で使う場合は、ひらがなで「あしからず」と書くことが一般的です。
「あしからず」だけでも意味は通じますが、やや一方的な印象が強くなるため
- 「あしからずご了承ください」
- 「あしからずご容赦願います」
など、後に言葉をつなげて使われることが多いでしょう。
「あしからず」を使った例文
このように「あしからず」で文章や言葉を終えることもできますが、相手によっては「高圧的」「一方的」と受け取られることもあります。誤解を招かないためにも、「あしからず」で終わる言葉は気心の知れた人に限った方が無難でしょう。
目上の人に使えるか
「あしからず」という言葉は目上の人やお客様へも使うことはできます。
特に文書であれば「あしからずご了承ください」などとすることで、決まり文句のように受け入れる人は多いです。
しかし、「あしからず」という言葉にはある程度の「強要」のニュアンスが含まれますので、相手によっては「失礼」「一方的」と解釈される可能性もあります。万が一のことを考えると、目上の人へは口頭でも文書でも「あしからず」という言葉を使うこと自体、控えておいた方が良いでしょう。
「どうかお気をを悪くされませんよう」「何卒お含み置きください」などと別の言葉に置き換えて「悪気はありません」「他意はありません」ということを伝えることはできます。
「あしからず」は心情を伝える言葉
「悪く思わないでください」という心情はフォーマルな言葉に変換することが難しく、「申し訳ありませんが」「恐れ入りますが」などを使うことが多いものです。
友人であれば「ごめんね」「悪気はないんだけど」など心情を伝えることは容易ですが、相手が目上の人やお客様などであればそうはいきません。
しかし、文字にした時に「何だか違う」「こういうことを言いたいのではない」と感じることがあります。「あしからず」のように、自分の心情をわかりやすく、スマートに表現できる言葉は大変貴重です。
「あしからずご了承ください」と「あしからずご容赦ください」の違い
どちらも「あしからず」という言葉の後に付けることで、相手へお願いをする言い方です。とても似ている言葉ですが、本当の意味は少し異なります。
「あしからずご了承ください」
「あしからずご了承ください」という言葉には「今後このことであなたにとって好ましくない状況となるかもしれませんが、悪く思わないでください」ということを言っています。
「あしからずご容赦ください」
一方「あしからずご容赦ください」には「既に起きてしまっている事態について、許してください」という意味があります。
些細な違いですが、使い分けることで「これから起こるかもしれないことなんだな」「このことはもう起こってしまったことなんだな」と判別することができます。