【目上へ】〜ながらの意味・使い方と例文

「~ながら」の意味とは

「~ながら」には、主に2つの意味があります。同じ言葉でも意味によって解釈や使い方が異なります。

2つ以上のことが同時に行われる「~ながら」

「テレビを観ながら本を読む」「仕事をしながら子育てをする」など、2つ以上のことを同時に行う場合に「~ながら」を使います。この場合の「~ながら」とは、2つ以上のことを平行して行う様子を表す働きです。

この意味での「~ながら」は、基本的には「AをしながらB」など、2つのことを同時に行うことを表しますが、「AをしながらBをして、BをしながらCもする」など、状況によっては2つ以上のことを一緒に行う様子にも用いることができます。

2つ以上のことが同時に行われる「〜ながら」の例文

食事でもしながらご相談しましょう。
うとうとしながら、その声を聞いていた。
テレビを見ながら眠ってしまった。
隕石は光り輝きながら町の上空を横切った。

両立することが難しいことが両立する「~ながら」

2つ目の「~ながら」の意味は、「本来であれば両立するはずのないことが、両立している」というものです。「彼は若いながらによくやってくれている」「及ばずながら力を尽くします」など、通常であれば前半と後半がかみ合わないはずのことを「~ながら」で繋いで使います。

この「~ながら」は、「~のに」「~にもかかわらず」など、逆説の言葉と同じ役割をします。さらには「~のに」に比べて言葉に趣があり、それだけ感心している様子や、落胆している様子を強く伝えることもできる表現です。

両立することが難しいことが両立する「〜ながら」の例文

若年ながら礼儀作法をよく心得ている。
残念ながらあきらめざるを得ません。
武家の出ながら、町人との交わりが深かった。
我ながら(吾がことながら)お恥ずかしい限りです。
幸せながら届かぬ想い。

「~ながら」を使った慣用句

「~ながら」を「両立することが難しいことを両立させる」という意味で使う場合、「○○ながら」という慣用句を使うことがあります。「~ながら」は独自にどのような使い方をしても問題はありませんが、一般的に良く使われる表現は知っておいた方が良いでしょう。

「僭越ながら」

「僭越(せんえつ)ながら」とは「出過ぎたことですが」という意味です。自分の地位や立場に不相応なことをするときに使います。「僭越ながら乾杯の音頭を取らせていただきます」などは、「自分のような立場のものがすることではありませんが、乾杯の音頭を取ります」という意味です。

通常は「僭越」なのであればやらないはずのことを、するというときに「僭越ながら」を使います。

「憚りながら」

「憚り(はばかり)ながら」とは「遠慮しながら」という意味です。自分のようなものが出しゃばるところではないけれど、遠慮をしながらでも言わなければならないことがある、などの場合に使います。「憚りながら申し上げます」などは、上司などに反対意見を伝える前置きとしても用いることが可能です。

「○○ながら」の言葉の中でも、「憚りながら」はあまり頻繁には使われません。言葉自体が少し古いということもあり、同じ状況であれば「僭越ながら」が用いられがちです。

「遅まきながら」

「遅まきながら」とは「今さらですが」「遅くなりましたが」という意味です。言葉の意味自体は「本来もっと早く行うべきでしたが」というものですが、実際に日常で使われる「遅まきながら」は、自分が何かに遅れているということを指します。

「遅まきながら、やっとガラケーからスマホに替えました」「遅まきながら、SNSを始めました」など、他の人がすでにやっていることに乗り遅れてしまった自分を自虐する使い方が主流となっています。

ビジネスシーンなどで、仕事について自分が何かに遅れたということを伝えたい場合は、「遅くなりましたが」など一般的な表現を使った方が良いでしょう。