「上申書」の書き方と例文!種類や注意点も解説

「上申書」の意味と種類

ビジネスシーンで上司へ、または官公庁へ提出する書類に「上申書」があります。「上申書」という言葉は聞いたことがあっても、どんなことを書けば良いのかまでわかる人は少ないかもしれません。

以下では「上申書」の意味と2つの種類について解説します。

上申書とは報告や申し立てをするための書類

「上申書」の読み方は「じょうしんしょ」です。「上申書」とは、上司や上の機関へ報告や申し立てをするために作成する書類です。

通常の報告や申請などは、口頭やメールなど簡易的な方法で行われることが多いでしょう。しかし、報告・申し立ての内容によっては、正式な「上申書」が必要になります。

上申書の効力は約束されていない

「上申書」はあくまでも「報告・申し立てをするための書類」です。そのため、上申書を提出したからといって必ず効力を発するとは限りません

効力が約束されていないことを前提に、申し立てをするための書類が「上申書」です。

上申書には2種類ある

「上申書」と呼ばれるものには、主に2種類あります。

  • 企業内で提出するもの
  • 官公庁などに提出するもの

企業内で提出される「上申書」は、課や部の新設、人事についての申し立てや備品購入の申請であることが主でしょう。

一方、官公庁に提出する「上申書」は、警察へ提出するものと裁判所に提出するものがあります。

「上申書」の書き方の見本例文

以下では、「上申書」の書き方見本を提出先別にご紹介します。

備品購入の上申書

令和3年3月3日

総務部長
佐藤一郎様

営業部
田中二郎

備品保管用ロッカーの購入について

社員増員に伴い備品数も増加しております。これまでの保管庫では足りておらず、オフィス環境改善のためにも備品保管を目的としたロッカーをご購入いただきたく存じます。何卒ご検討のほどお願い申し上げます。

・品名
オフィス用ロッカーAタイプ

・価格
84,000円

・数量
1台

以上

購入理由の説明を詳細にしたい場合は、数量の下部分に「購入理由」など適宜項目を設けて記載します。

社内の備品購入についての上申書は、あらかじめ口頭で打診していることが多いため、上申書には最低限の内容を記載すれば足りるかもしれません。

ただし、まったく事前の打診をしていない場合は、誰が読んでも経緯や内容がわかるようにしておく必要があります。

裁判所へ提出する上申書

令和3年 第〇号

申立人 佐藤一郎
債務者 田中一郎

上申書

令和3年3月3日

〇〇地方裁判所 民事第〇号債権執行係 御中

申立代理人弁護士 鈴木一郎

以下の事由により申立人は開示義務者である債務者に対して、民事執行法〇条〇項に基づき過料の制裁が加えられることを求めます。

開示義務者が正当な理由なく財産開示期日に出頭をしなかったためです。

以上

例文は、必要な出頭をしなかった者に対して過料(罰金)を科すように要求するための上申書です。

裁判所へ提出する上申書には多数の種類があるため、この形式に限るわけではありませんが、宛名や日付・差出人など基本的な形式は共通しています。

警察へ提出する上申書

令和3年3月3日

〇〇警察署所長殿

〇〇商店街
会長 田中一郎

駐車違反取締強化に関する上申書

〇〇商店街は午後2時頃より違法駐車が多く、商店街の営業を妨害しています。商店街でも張り紙や口頭で違法駐車に対する注意を行ってきましたが効果が見られません。

これまで以上に警察による違法駐車取締の強化をしていただきたく、ここに上申いたします。

以上

例文は、違法駐車の取り締まり強化を要望する際の上申書です。上司へ提出する上申書と同じで、要点のみを記載したものを例としています。

しかし、事前に口頭での説明ができていない場合はこれまでの経緯などの説明が必要です。

「上申書」の書き方と注意点

最後に、上申書の書き方と注意点について解説します。

日付は右上、宛先は左寄せ

文書に共通することですが、日付は右上に記載します。宛先は左寄せです。

日付は提出する日を記載します。和暦・西暦のどちらでなければならないという決まりはありません。しかし、企業や官公庁では基本的には和暦が使われることが多いようです。

自分の考えを記載する場合は簡潔に

上申書に記載するのは、主に「事実」です。上申の背景や対策と改善に必要な対処、などを簡潔に記載します。その上で、併せて自分の考えを伝える場合はできるだけ簡潔な文章を心がけましょう。

上申書は「文書」であるため、本来であれば個人の感情や感想は記載しません。しかし、上申する内容によっては個人の見解が必要なこともあります。

できるだけ端的で、読んだ人が理解をしやすいよう意識すると良いかもしれません。

先方への要望を記載する

上申書は口頭の会話と違って、相手への要望をきちんと文字にしなくては伝わりません。上申書の中に「〇〇だから××してほしい」と、読んだ相手が正確に理解できるような一文を入れましょう。

背景や経緯だけを書いて、要望が書かれていないと上申書としての役割を果たすことができません。