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「埒が明かない」の意味と語源
「埒が明かない」という言葉は、古くから使われている言葉です。漢字が少し珍しく、言葉の音からもその意味を推測するのは難しい言葉でしょう。
まずは「埒が明かない」の意味と語源について解説します。
埒が明かないとは
「埒が明かない(らちがあかない)」とは、決着がつかない・物事が進展しない・状況がかわらないという意味です。
- 人と人、または人と企業や企業同士などが、何らかの事情で対立し事が進まない
- 力関係が互角の者同士の戦いで、決着が着かない
- 何らかの事情で話が進展せず、事が動かない
基本的には、上記のような状況を「埒が明かない」という言葉で表します。
詳しくは、後の使い方の解説の部分で、例文と一緒にご紹介します。
「埒が明かない」の語源は
「埒が明かない」の語源は、中国の古い言葉だと言われています。
「埒」とは、馬が走る練習をする「馬場(うまば)」というところを囲う柵のことでした。この柵が開かないと、馬は走り出すことができません。
この「埒」が「開かないと始まらない」という状況を、物事に当てはめて「埒が明かない」としました。「開かない」が「明かない」へと変化したのは、「埒が明かない」が意味する状況に合っていたからだ、と言われています。
「埒が明かない」の使い方と例文
以下では、「埒が明かない」の使い方を、例文と一緒に解説します。
「決着がつかない」という意味で使う場合
「埒が明かない」は、物事の決着が着かないという意味で使うことができます。
どちらの言い分も確かに筋が通っている、しかしこれでは埒が明かないから、第三者で協議した方が良いのではないか
このままでは埒が明かない、経験者にはハンデをつけよう
実力が互角で、見ていてとてもおもしろい試合ではあるが、このままでは埒が明かないのではないか
両者の力が互角、またはどちらの言い分も正しいと判断できる場合、などに使われる表現です。
「物事が進展しない」という意味で使う場合
物事が進展しない理由が、誰かのせい、または何かの物事によって阻まれている、という状況でも「埒が明かない」が使えます。
彼の話は回りくどくて、いつまで経っても埒が明かないんだよ
今日中に契約書を作成しなければならない、なのに肝心のパソコンが壊れているなんて埒が明かないよ
あなたの話はまったく要領を得ない、埒が明かないから他の人に代わってください
この場合の「埒が明かない」は、その原因となっている人物や物を責める状況で使われます。
「埒が明かない」の言い換えに使える類語
以下では「埒が明かない」と似た意味を持つ、類義語をご紹介します。
膠着状態(こうちゃくじょうたい)
「膠着状態」とは、その場が固まってしまったかのように、事がまったく動かない様子を表す言葉です。
現場は膠着状態が続いている、犯人がこちらの要求を飲もうとしないからだ
両者はにらみ合ったまま動かない、試合は膠着状態が続いている
A社との取引は膠着状態です、担当の田中さんがどうしても最後の一歩を譲ろうとしません
「埒が明かない」に比べると、緊張感が高い言葉で、事件や事故の現場などでも頻繁に使われている言葉です。
行きつ戻りつ(ゆきつもどりつ)
「行きつ戻りつ」とは、同じところを何度も行ったり来たりする様子を表す言葉です。
相手の話がわかりにくく、いつまでも行きつ戻りつの話で、一向に進展しない
私と彼は将来についての考え方が合わず、結婚の話も行きつ戻りつだ
その人は、担当者との行きつ戻りつの話に嫌気がさしたのか、話の途中で帰ってしまった
物事が進展しない理由が、特定の人や物にある場合の「埒が明かない」の言い換えに使える言葉です。
「埒が明かない」の英語表現
最後に、「埒が明かない」の英語表現について解説します。
「埒が明かない」は英語で「get nowhere」
日本語の「埒が明かない」を英語で表現する場合は、「get nowhere」が使えます。
We’re getting nowhere.(このままではどこにもいけない=埒が明かない)
We’re not getting anywhere.(このままではどうにもならない=埒が明かない)
「get nowhere」とは、「どこにもいけない」という意味です。「get anywhere」として「どうにもならない」を使うこともできます。
いずれにしても、このままではどうしようもない、という意味になり「埒が明かない」の英語表現として、かなり近いでしょう。